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神々との契約者  作者: 黄昏の月人
第1章生誕の守護者
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第5節紅蓮の騎士

その解き明かされる、少年の秘密とは。

「今日はありがとうね、神宮君」

「このくらいならなんてことないよ」

朝美が珍しく熱を出して学校を休んだから、

私がプリントを持っていくことになったんだけど、

一人じゃ危ないからって神宮君がついてきてくれた。

朝美の家で結構話し込んじゃったせいで、すっかり遅くなっちゃった。

携帯で時計を確認してみたらもう7時を過ぎていて、

電柱の明かりだけが私たちを照らしてる。

「神宮君、私本当に大丈夫だよ。いつも歩いてる道だから」

「もう日が落ちてるし、白花さんを一人で帰すと逆に僕が落ち着かないよ。

僕が勝手にやってることだから、気にしないで」

この人は、本当に優しいんだ。

私の胸の奥から暖かいものがあふれてくる。






ーーーーーーーーーーーーーー

白花さんの話によると、もうすぐ家に着くそうだ。

万が一を考えて送ることにしたけど、その意必要はなかったのかもしれない。

僕は安堵の息を吐く。

その時、背後に何かを感じた。

これは魔力の波動?

この術式は・・・攻撃型!?まずい!!

僕は目の前の白花さんを抱きかかえると、一気に駆け出す。

「きゃっ!神宮君何を・・・」

彼女の言葉は、背後からの爆音にかき消された。

それと同時に熱風が吹き荒れ、砕けたアスファルトが僕の足元にまで転がってくる。

「これは驚いた。たったあれだけの魔力を感じ取ったのか」

僕は白花さんを下ろすと、背後を振り向く。

そこには真っ黒なコートを羽織った長身の少年が立っている。

「神宮君、もしかしてあの人は・・・」

白花さんの声は恐怖で震えていた。

「初めましてお嬢さん。デストラクターズの庄悟(しょうご)です」

庄悟は満足げに自己紹介をした。

僕は白花さんと庄悟の間に入ると、正面から庄悟を睨む。

「お荷物のいるこの状況じゃ、お前も満足に戦えないだろ。

死ねや。ライトニング!!」

音速を越えた雷が一直線に放たれる。

僕はそれを体をひねって回避すると、

もう一度白花さんを抱えて近くの建物の影に入る。

そしてすぐに戻ろうとした僕の制服の裾を、白花さんがつかんだ。

「神宮君、戻るつもりじゃないよね?」

「でも、行かないと」

「だめ、危なすぎるよ!!

すぐにエージェントの人達が来てくれるから、それまで逃げよう!」

「エージェントなら、もういる」

僕は白花さんの手を振り払って走り出す。

背後から僕を呼ぶ声がするけど、気にせず元の通りに出る。

立ち止まると、じっとこっちを見る視線を感じる。

白花さんは僕を見ているな。

秘密を知られてしまうけど、仕方ない。

静かに目を閉じ、全ての秘密を打ち明ける呪文を紡ぐ。

「日ノ本に君臨せし太陽の女神よ、我が願いを聞き入れ給え。

我は汝を求むる(つるぎ)なり。

我に汝の力を貸し与え給え。

さすれば我は、汝の敵を切り裂く鋭利なる刃と為らん。

我こそは、神々の代行者なり!!」

直後、紅蓮の炎が僕の体を包み込む。

そして炎が消えると、僕の体を包んでいるのはさっきまでの制服ではなく、

白い輝きを放つ純白の服に代わっている。

防具の展開を終えると、腰に鞘に収まった一本の刀が現れる。

それを勢いよく抜き放つと、刀身からわずかに火を噴きだした。

この剣の名は太陽の剣(たいようのつるぎ)

鍔の少し上に太陽が描かれている美しき聖剣だ。

僕が刀を下段に構えると同時に、再び雷が飛んできた。

刀に魔力を込め、大きく振り上げる。

剣身から炎を噴き上げ雷を切り裂く。

斬られた雷は小さな音を立てて消滅した。

「ちっ!お前が代行者化する前に殺っておきたかったんだけどな。

まぁいい。

俺の出世の生贄になってもらうぜ、最強の(・・・)エージェントさんよ!!」

庄悟は腰から剣を抜くと一気に距離を詰めてくる。

黒く輝く剣を大上段に構え、一気に振り下ろしてくる。

こちらも下げていた刀を振り上げることで交戦する。

二つの剣は同じ形をしているものの、まったく別のものだ。

”太陽の剣”が闇を照らすのに対して、庄悟の剣はあたりを闇に塗り替えている。

力は互角だったようで、僕と庄悟は弾かれて後方に流される。

庄悟が剣を振り上げると、剣の軌跡がそのまま黒い斬撃となって飛んでくる。

遠距離技か。

ならばこちらも!

上段から振り下ろした刀の軌道が真紅の輝きを放ちながら飛来していく。

二つの斬撃はぶつかり合い、黒い斬撃が消滅した。

庄悟の顔に焦りが浮かび、後方に大きく飛び退った。

一瞬前まで庄悟の立っていた場所の地面が砕け散り、大きな砂煙が巻き起こる。

剣を横薙ぎに払い、剣風で砂煙を吹き飛ばすと、そこにはもう庄悟の姿はなかった。

周囲を探ってみたけど、気配は感じられない。

どうやら逃げられたようだ。

追おうと思えば出来たかもしれないけど、やめた。

「コネクション、コードネーム紅蓮の騎士(クリムゾンナイト)

耳に入っている通信機に向かってそう言うと、

わずかなノイズの後に不機嫌そうな少女の声が聞こえてきた。

(何よこんな時間に。私そろそろ帰るんだけど?)

「エリアD、ポイント27襲撃。民間人1名を保護。

双方共に怪我は無いけど、建物には結構被害が出てしまった」

僕がそう言うと、彼女の声が真剣なものになった。

(分かったわ。司令官に報告した後、すぐに事後処理班を送るわ。

ちなみに敵は?)

「逃げられてしまったよ。敵は庄悟と名乗る魔法剣士(マジックナイト)だった」

(雄一と同じタイプの敵ね。

分かった、そっちも報告しておくわ。で、民間人の方わ?)

「彼女は僕の知り合い、というかクラスメイトだから僕が送っていくよ」

(そう。でもあんたの正体は知られちゃったんだから、気をつけなさいよ)

「分かってる。いろいろありがとう姫木」

(べ、別にあんたのためにやってるわけじゃないし!通信終わり!)

通信は一方的に切られてしまった。

「神々の任は果たした。我は鞘へと変える」

呪文を唱えると、刀と服は消え、元の制服に戻った。

後ろを振り返ると、白花さんが立っていた。

僕は彼女から目をそらすと、苦笑いを浮かべる。

「もう分かったよね。これが僕の真実、僕の正体。

僕はエージェントなんだ。

僕と一緒にいると、必ず君を巻き込んでしまう。

だから・・・」

「ねぇ、神宮君」

静かだけど、力強い声。

その声に導かれるようにして顔を上げると、白花さんと目が合った。

彼女の瞳には今まで見たことのない強い光が宿っていて、

思わずその瞳に引き込まれてしまう。

「私は神宮君のこと怖いとは思わないよ。

確かにびっくりはしたけど、それだけだよ。

だから自分がエージェントだからとか、

私が危ないからなんて理由は、必要ないよ。

そんな理由で、私から離れようとしないで。

私は、神宮君の友達でいたい」

白花さんがまた一歩近づいてくる。

今ではもう、手を伸ばせば届く距離に彼女がいる。

それだけのことで、僕の心は激しく揺れ動く。

「・・・ありがとう」

気が付いた時にはもう、その言葉が口から出ていた。

白花さんは思わず惹きつけられるような柔らかな笑顔を浮かべる。

その笑顔に、僕は一瞬彼女に惹きつけられた。

「これからは、真君って呼んでいい?」

「もちろんだよ」

「じゃあ、私のことも雪って呼んで」

「分かったよ。雪」

「うん、真君」

地面は砕け、建物にはヒビが入っている殺風景な景色だけど、

空に浮かぶ月だけは優しい月光を浴びせていて、

まるでこれからの僕達を祝福しているかのようだった。


これから二人を待ち受ける運命とは。

次回を乞うご期待。

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