第二十九話(後編)―慣れ―
続きです
そのまま、繭を放置していくわけにもいかず、セレシアはたまたま目に入った転移の魔法陣を見つめていた。
「これって、どういう仕組みなのかな?
文字のような、記号のような・・・いろいろなのが組み合わさっているのね」
セレシアはその魔法陣をそのまま脳に焼き付ける
「記憶の魔法」だ
映像等をそのまま、頭に刻み込む魔法である。
紙等に焼き付けて、再現する事もできる。
「今度、他のところのと違いを見つけてみようっと。暇つぶしにいいわ」
「お嬢様、ここにいらしたのですね。お探ししました。お食事の時間です。
それともここで何か召し上がりました?廊下に鳥の焼いた匂いが漂っています」
侍女が尋ねてきた
「ああ、ごめんなさい。もうそんな時間なのね。
でも、ちょっとこの部屋からしばらく動けそうにないわ。
悪いけど、ここに食事を運んでもらっていいかな?」
「ここで召し上がられるのですか?」
侍女が顔をしかめた。
先ほど刻んだ、草の匂いが充満している。
「うん・・・・もう、慣れたから」
「構いませんが。今回の食事は、三兄様が養殖しておられる鳥のヒナ鳥の試食も兼ねています。」
「えっ???」
その言葉にセレシアはギョッとする
「それは、1人当たり、どのくらいの量?」
恐る恐る聞いてみる。
「貴重なので、一口大だけです。何でも、誰かが4分の1ぐらい丸かじりしたとかで、三兄さま、すごく怒っていらっしゃいました。」
あれ?さっきと話が違っている・・・
セレシアの目が宙をさまよう・・
「まさか、お嬢様が丸かじり?そんなはしたない・・・・」
侍女の目が丸くなる
「なんで、そういう発想になるの?違うわよ!!」
ヴァルドが現れる
「繭は私が見ておくので、食事に行きなさい」
セレシアに言った
「いいのですか?助かります。ありがとうございます」
セレシアは侍女と共に食事の場にむかった。
ヴァルドは部屋に入り、匂いに顔をしかめるが
「もしかしたら、もしかするな・・・」
椅子に腰かけ、繭を見つめる
しばらくすると、四兄が帰ってきた
「あちらでも貴重品なので、めったに口にすることがないので、わからないそうです」
四兄が言った。
「そうか、そなたも食事へ行くがよい。一口分だけだが、試食できるそうだ。私はいらぬ。
鶏肉は苦手だ。飛行魔獣は竜の天敵だから余計に」
「えっ?三兄上が1人で食べたのでは?」
その頃、食堂では、三兄の大きなくしゃみが響き渡っていた。
「美味しいですけど、慣れたら普通です
今まで食べてきた鳥肉が固すぎるのです。
普通の鶏を品種改良した方が場所も手間もかからずいいと思います」
三兄が結果報告を皆の前でする。
「あちらの国では、鳥の他にもいろいろな肉を食べるようです。
あと、『魚』も食するとか・・・うちの領地には小川しかないので、食べられるような魚は取れないですね。
あと、土地を耕して、農地にする方法も見てきました。
とにかく、子供達の体格をよくしたいので、栄養のある物を食べさせるべく、これからも努力していきます」
「これからも励んでくれ」
辺境伯が言う
「はい。私は、とにかく、この地の食糧事情をよくすることに全力を注ぐつもりです」
三兄が言う
セレシアと後から来た四兄は2人で顔を見合わせ、
「三兄が鶏肉を独り占めした」
と思い込んだ事を深く反省していたのだが・・・
「『慣れたら普通』って言う事は、慣れるほど食べたということでは?」
四兄竜が出てきてツッコミを入れた
「反省して損した!!」
2人は再び顔を見合わせた。
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