表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『辺境伯令嬢と竜の子』 ―滅び行く者たちと未来に向かう者たち―  作者: 鶴見 日向子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/38

第二十八話(前編) ―リュカの発想―

1話の中にいろいろな話題が入ってしまってすみません

文字数が少ないので、これも前後に分けます


その頃、フィンとセレシアは同時にくしゃみをしていた。


2人そろってくしゃみをしたので、グレースが「おほほ」と笑う。


グレースに案内され、城下町を歩いていた。


グレースは全身に布を巻きつけ、つばの広い帽子を被っていた。

ある意味、とても目立つ。


「日差しに弱いのです。日に焼けると、すぐに水ぶくれになってしまうのです」


そのままでも目立つし、日よけをしても目立つ。

かなり気の毒である。


「あれは何ですか?」


セレシアが尋ねた。


塔の上には丸い板のような物があり、長い針と短い針が中央についている。

円形の端には数字らしきものが書かれていた。


「ああ、時計です。あれで時を知るのです」


2人は目を見張った。


「時計を知らないなんて……」


グレースは逆に驚いている。


「あれは魔力で動いているのですか?」

フィンが尋ねた。


「いいえ。平民の職人が、魔力なしで作っているものです」

グレースが答える。


「私たちは各自で、太陽の位置で時間を確認する訓練を受けます。

平民達には、細かい時間の感覚はありません」


セレシアが説明した。


(魔力なしで動く時間計とは!やっぱり、四兄さまに合っていた!)


セレシアは胸が高鳴った。


他にも、ゼンマイ仕掛けで動くオルゴール。

馬車の乗り心地も、故郷のそれとは全然違っていた。


とにかく、驚く事ばかりである。


「早く四兄さまにお見せしたいわ」


セレシアは目を輝かせる。


その頃、四兄は新しい部屋で、ヴァルドから基本的な魔法の訓練を受けていた。


「さすが、覚えが早い。

魔力がだいぶ減っているのではないか?」


ヴァルドが、リュカが首から下げている袋を取り上げ、中を確認する。


「ふむ。瞬間移動で消費が激しいのであろう。

もう一度戻って、石を1つ足しなさい。


……待てよ。そうだな。

石のある場所の魔法陣を教えよう。

そこを覚えて、自分で拾えるようにするといい」


「それなら安心です」


リュカも笑った。


ヴァルドは大きな紙を取り出し、そこに魔法陣を書いていく。


「真ん中以外は同じなのですから、金属に彫って刷ればよいのでは?」


ヴァルドは天を仰いだ。


「そなたは鋭すぎる。

それをしたら、転移陣が簡単に作れてしまう。


フィンが飛ばされた事件。

あれは、転移陣を見つけたこちらの“技術者”が、地面の模様を魔力のこもった金粉で書き直したのだ。

線がずれてしまい、それでフィンだけが飛んだ。


誰かの陰謀かと思ったが、単なる書き損じによる事故だったのだよ。

真実とはそんなものだ。


グレース殿が飛んだのも、彼女はすっかり忘れているようだが、側にいた侍女の話では、

『あら、転移陣がある』

と、自分から乗ってしまったらしい。


だから、その考え方は忘れなさい。


一度に5人運べる転移陣も不可能ではない。

だが、魔力を恐ろしく消費する。

王族など、一部の者にしか使えぬ。


手間と費用の割に、効果が現実的ではないので、とりやめになった」


「そういう事だったのですね……。

わかりました。その考えは忘れます」


リュカは素直にうなずいた。


「さあ、できたぞ。頭に叩き込め」


リュカはその転移陣をじっと見つめた。


そして――消えた。


ヴァルドもすぐに後を追う。


「誰だ?そなた」


リュカが飛んだ先には、大型の竜が2頭と、小さめの竜が1頭いた。


「リュカと申します。竜殿。突然失礼いたします」


リュカは丁寧に頭を下げた。


四兄竜が飛び出してくる。


「同胞だ!

私は野生の同胞を見るのは初めてだ。うれしいぞ!」


四兄竜も元の大きさに戻る。


「おお、辺境伯家の竜であったか。

まさか、ヴァルド殿以外が飛んでくるとは!

長く生きているが、初めてだ」


「ヴァルド様から、いろいろ聞いております。

草は足りていますか?

不足しているなら、もっと送りますのでおっしゃってください」


「いや、充分足りている。

そなたであったのだな。毎日草を送ってくれていたのは。

礼を申す」


「いえ、お礼を言うのはこちらの方です。

おかげで、このような能力が身につきました」


そこへヴァルドが現れた。


「大鳥達はどうだ?」


「この子もだいぶ大きくなったので、もう大丈夫です。

本当に世話になりました」


「いや、途中で忘れていた。詫びを言う」


ヴァルドはさらりと言った。


「それで、例の魔石の件だが。

実はこのリュカ殿、元々魔力があまりない。

あの魔石のおかげで、ここまで飛べるようになった。

時々、魔石を取りに来るのを許してもらえぬか?」


「許すも何もない。好きなだけ持っていくがいい。

竜の一生分以上の量があるぞ」


竜が笑う。


「ありがとうございます。時々伺わせていただきます」


リュカは再び頭を下げた。


「ところで、魔石はどこに?」


「そこだよ」


ヴァルドが指さした先には山があった。


「普通の山に見えますが……?」


「土やホコリが上に堆積しているからな。

それが幸いした。

むき出しのままだったら、人間にすぐ見つかっていただろう」


ヴァルドはリュカを連れて、山に空いた穴の中へ入っていく。


「うわあああ……!」


穴の中は、あちこちから七色の光が輝いていた。


足元にも、大小さまざまな石が転がっている。


「そなたと、私と、そなたの竜だけの秘密だからな」


「わかっております」


「では、帰ろう」


「また伺わせていただきます」


四兄竜が慌てて小さくなり、リュカの肩に乗った。


「では」


2人は消えた。


「人間の進化はすさまじいな……」


残った竜がつぶやく。


「私達は、もう滅びていくばかりですのに……」


小さな竜が両親を見上げる。


「大丈夫だ。ヴァルド様と、あのリュカ様も力になってくださる」


竜は2頭を励ました。


その時、転移陣から草が山盛りせり上がってきた。


「あの人間のお兄さんは信頼できると思う」


娘竜が言う。


「そうだな。さて、いただくとするか」


3頭は草を食べ始めた。


==================


リュカは草を入れた後、隣国へ戻った。


部屋に気配を感じた三兄が駆けつけたが、もう飛び立った後だった。


「焼き鳥のありかを教えろ~~~!!」


飛んだ後のリュカの耳には届かなかった。


キリのいいところで終わらせると文章が短くなってしまうのがこの頃の悩みです

次もお読みいただけますと幸いです

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ