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『辺境伯令嬢と竜の子』 ―滅び行く者たちと未来に向かう者たち―  作者: 鶴見 日向子


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第二十四話 ―ヴィルの告白―

タイトルの通りです

「ところで、何で私の出産で、ヴィル様が打ちひしがれていたのですか?」


「そ、それは……」


ヴィルが顔を真っ赤にした。


「わ、私は、そなたに惹かれている。

できれば将来、我が妻として迎えたいと思っているからだ」


ヴィルが言った。


フィーユはきょとんとした。


「それは、私と結婚したいという事ですか?」


「そ、そうだ!」


ヴィルの声が震えている。


「お父様にぶちのめされますよ?

覚悟はおありですか?」


「ヴァルド様には許可をいただいている。

義母上様にもだ。


ご両親ともに、そなたがよければ結婚を許してくださると言ってくれた」


「それは本当です。

私もその場にいました」


四兄が言う。


夫人もうなずいた。


「フィーユちゃん、焦らなくていいわ。

あなたはまだ若いのですもの。


でも、真剣に考えてあげてほしいわ」


夫人が優しく言った。


「私でいいのですか?

後悔しても知りませんよ。


両親がいいのであれば、私もヴィル様の事、いいなって思っていましたので、ありがたいお話です」


フィーユが言う。


「本当か?」


ヴィルが目を見開く。


「でも、まだそんなに長くお付き合いしていませんよね。

もう少し、お互いを知らないといけないと思いますわ」


フィーユが言った。


「そうしよう。

だが、私の気持ちは変わらぬ。


今は妹君の生育に全力を尽くしてくれ。

私は全力で応援する!」


「わかりました。

真剣に考えます」


こうして、ヴィルとフィーユの婚約は、あっさりと内輪で成立したのだった。


(そんな年頃なのねえ……。

セレシアもそろそろ考えないといけないかしら?)


夫人は内心、そんな事を考えていた。


その話を後で聞いたフィンは、


「なぜ、そんな重要な場面だったのに、私はその場にいなかったのだ……」


と打ちひしがれていた。


「ですよねー」


セレシアと四兄は、深くフィンに同情した。


「まあ、でも、まだまだ先ですよ。


ところで、フィンって何歳だっけ?」


「捨て子でしたので、正確な年齢はわかりませんが……

セレシア様よりは年上ですね」


「ヴィル様はおいくつなのかしら?

肝心な事を聞いていなかったわ。


ここじゃ、年齢とか外見とか、そういうの、誰も気にしないからねー」


いつまでも年を取らない侍女。


年齢不詳のヴァルドとメアリー。


そして竜達。


「フィーユは私と同じ年って言っていたけど、実際どうだかわからないわね」


セレシアが言う。


「まあ、いいのではないか?

本人達がよければ。


できれば、私達普通の人間が生きている間に、竜達の人間化を成し遂げたいものだ」


四兄がつぶやく。


「なんですか、それ!?

私は聞いていません!」


フィンが叫んだ。


「あ、言っちゃった」


セレシアが四兄を見る。


「フィンも引き入れないと……。

あちらに住む条件が、『フィンと一緒』だったであろう」


「そうでしたね。

フィン、そういう事だから、よろしく」


自分が笑い転げたばかりに――。


「なぜだ……」


フィンは力が抜けたようにうなだれた。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


「どうやって身につけるかなあ……。


指輪だと作業の時に邪魔だし、

腕輪も面倒くさい。


ペンダントもぶらぶらするのが嫌だし。


だけど、身につけていないと困るし……」


四兄が魔石を持ちながら、ぶつぶつ言っている。


「足環は?」


アーチャが言う。


「靴を履く時に困る」


「じゃあ、耳飾り!」


セレシアが言った。


「男が耳飾りか……。

あちらではどう思われるのであろうか?


しかも、これ、ぴかぴか光りまくっているぞ」


四兄が考え込む。


「ペンダントが無難じゃないですか?

服の中に隠せばいいですし」


フィンが言った。


「女性ならアクセサリーでよいが、こちらでは男がアクセサリーを付ける習慣がないからなあ……」


「少量で大丈夫みたいですし、首から下げれば目立ちませんわ」


セレシアも言った。


魔石はとても硬い。


細工も大変そうである。


「もう少し小粒なのが欲しいのだが……」


「確かに、これは首から下げるにはちょっと大きいわね」


セレシアも魔石を見ながら言った。


その時、ヴァルドが現れた。


手にした袋には、小粒の魔石がぎっしり詰まっている。


「見た目が大変美しいので、メアリーに贈ろうと思ってな。

指輪がよいだろうか?

それともペンダントだろうか?」


ヴァルドが言う。


「育児中にアクセサリーは邪魔ですよ。

形のきれいなものを、そのまま渡しておけばよいのでは?」


四兄が言った。


「四兄様、詳しいのね」


セレシアが目を丸くする。


「そなたの子守りを兄上達とよくしていたからな」


四兄の目が遠くなる。


「それもそうだ。自分は身につけないから気が付かなかった。そうしよう」


ヴァルドは嬉しそうに石を選び始めた。


「なかなか形のよいものがないな……よし!」


ヴァルドは一つ石を選ぶと、魔力を流し、ダイヤモンド型へと変形させた。


「これなら飾っていてもよかろう」


ヴァルドは満足そうにうなずく。


「すみません、もしよければ、これを『楕円』に変えていただけませんか?」


四兄が頼むと、


「お安い御用だ」


ヴァルドは受け取った魔石を、親指ほどの大きさの楕円へ変えた。


「これなら首から下げても邪魔に感じません。

ありがとうございます」


四兄は嬉しそうだった。


小さな袋へそれを入れ、紐で首から下げる。


「袋が破れたり、紐が切れたりしてはいかん」


ヴァルドは紐と袋へ魔法をかけた。


「これで切れる事も破れる事もない。


ついでに、同じものをたくさん作っておこう」


ヴァルドが持ち帰った魔石は、次々と楕円型へ変えられていった。


「魔石に溜まった魔力が減ったら交換するといい。

これで準備は万全だな」


ヴァルドが言う。


「はい」


ヴィルの国への出発は、翌日に迫っていた。


「では、私は妻の部屋へ行く。

セイラは大きくなったであろう」


そう言って、ヴァルドは消えた。


「今朝、会ったばかりだよね……」


セレシアとフィンは顔を見合わせた。


フィーユの妹は『セイラ』と名付けられた。


ヴァルドの親バカぶりは凄まじかった。


暇さえあれば母子の部屋へ入り浸り、

時にはフィーユと侍女へセイラを預け、夫婦二人きりで話し込む事も多かった。


「三人目も生まれるかもしれない勢いだわ」


セレシアがぽつりとつぶやく。


フィンは、そっと目を伏せた。


ここのタイトルは私とチャッピーの意見が一致しました。

もうそれしかない!(笑)


四兄さんがこれから大活躍していきます

魔力がなくて、頭脳派でしたが、だんだん進化していきます

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