6、カラオケ行こーっ!
「お兄さん!
氷、溶けてるよ!
ぬるくなっちゃうよ!
何、ポケッとしてるの?
こんな、カワイイ女子高生を二人も、はべらせて!」
駅地下構内のスタバでコーヒーを飲んでいる。
女子高生二人も一緒だ。
もう、会社は休む事にした。
いや、休むように託された。
「あっ、ああ…そうだった。
ちょっと、物思いに…」
「だから、それが、いかんのだよ!
普通、おじさんなら
女子高生の生態を知りたがるもんでしょ!
なんか、無関心なところが、あるんだよ!
その癖、お尻は触るんだから…
まぁ、そのアンバランスさって言うのかな…
ギャップが良いってのもあるけど…
あっ、会社には
ちゃんと、連絡したほうがイイよ!」
「そっ、そうだね…
何て、言おうかな…」
「体調不良でいいでしょ!
本当、なんだから…
何で、そこを無理して出てくるかな?
私は、会えて嬉しかったけど…
二日酔いなんて、寝てないと治らないでしょ!
無理して出社しても…
ずっと、乗り物酔いをしたまま
仕事してるみたいな感じでしょ!
だったら、思い切って休んだ方が良いのよ。
責任感も、ほどほどにしないと
逆に、他の人に迷惑だよ!
お兄さん、一人が、休んだくらいで
会社は倒産したりしないでしょ!
ちゃんと、組織で運営してるんだから…」
「ああ…そうだね!
もっともだ!
でも、君達は良かったのかな。
ズル休みして…良かったのかな…」
「私は、遅刻と言う事で、もうすぐしたら
戦線離脱します!」
「私は、もちろん付き合うよ!
折角、こうして、また、会えんたんだもの?
カラオケボックスか何かで
ボケーッと、してましょうよ!
歌なんか、歌わなくていいから…
なんなら、そこで…
ずっと、お尻、触っててもいいよ!」
「いやいや、そう言う訳には…
自宅に帰って寝るよ!」
「なんてーーっ?
ウソッ!
それは、ないでしょ!
あなたを好きだ!…って、公言している娘が
目の前にいるんだよ!
それを放ったらかしで、帰宅ですとっ!
許せん!
着いて行きます。
お兄さんの自宅に…
いい機会だ。おじゃまさせて頂きます!」
「いや!それは、さすがに…
やっぱり、カラオケにしよう!
そうだ、そうしよう!」
「なんだか、面白そうになってきましたね。
じゃあ、私も、方向転換です!
参加します。このまま合流です。」
「ええ〜!
アンタ、学校、行きなよ!
お兄さんと、水入らずを邪魔しないでよ!」
「嫌ですよ!
自分が帰った後で、何か、面白い事があったら
癪じゃないですか!
だ、か、ら、帰りま…せん!」
「好きにすれば、このまま、押し問答しても
キリがないからね。
この女は、しつこいネーサンだから…」
「また、そう言う、言い方!」
「だから、名前を知らないんだから
しゃうがないでしょ!」
「だったら、名乗りますよ!
私の名前は…」
「あーっ!いい、いい!
聞かんでいいから!
それで、距離を縮めようと、してるでしょ!
そんなん、いらんから!
距離感って、大事だよ!
遠すぎたら、疎遠になるけど…
近過ぎたら、ぶつかり合う。
トラブルの元だ。
だから、これ以上は
近づかないで…寄ってこないで…」
「つれないなぁ…
私だって、あなたの事好きだって言ってるんですよ!
ちゃんと告白したのに…
なのに…冷たいなぁ…」
「好きって言っただけだろ!
こっちの、気持ちなんて、二の次で…
しかも、私は、このお兄さんが好きって
宣言したのに…
アンタが敢えて、言ったんだろ!
無謀なんだよ!
無防備なんだよ。やってる事が…
躊躇とか、怖気付くとか…ないのかね!
図太いヤツだね!
無神経なの?」
「酷い言われようですね!
そこまで、言いますか?
でも、今や、何を言われようとも
嫌いになんかなれないですよ!
グサッ!グサッ!と、心臓を貫く刃が
キュウピットの矢のように
ドキッ!ドキッ!と、胸を高鳴らせるんです!」
「やっば!アンタ、変態だ!
マゾだろ!
でも、私はSじゃないからね!
お生憎様!」
「よく言いますよ!
あなたこそ…生粋のサディストじゃないですか!
女子高生の衣を纏った真のサディストですよ!
ここまで、私を魅了させておいて
それこそ、今更ですよ!」
「それって、褒めてる?」
「貶しては、いないと思いますけど…
むしろ、賛辞を述べています。」
「それにしては、気持ち良くないんだよな。
外連なき言葉だが、今は、響かない…
私の胸には、届かないよ!
なぜなんだろう?」
「あなたが…
変わってしまわれたって事でしょう。
昨日と全く違うあなたが
今、ここに存在していると言う事ですよ。
日々、変化し、続けていると言う証拠です。
進化し、続けている。
それに、私が着いて来れなかっただけの話。
私は昨日の私のまま…
そこに、留まったままだった。
昨日、あなたが、気に入ってくれた私を
維持したかった。
でも、あなたは、着実に一歩先に進んでいた。
進歩していた。
だから、私の言葉に何も感じなかった。
引っかかりも、矛盾さへも
何も感じなかった………
やっぱり…今日は…
帰ります…」
「ええっ!じゃあ、学校に行きなよ!」
「いえ!それこそ、今更、ですよ!
今日は、学校はお休みします。
では、失礼致します。
ごきげんよう!」
「ああ、ごきげんよう!」
「今時、ご機嫌ようなんて…
宝塚の挨拶かってーの!
つられて、私まで、言ったじゃん!」
「ハハハッ!あの子も面白い子だね!」
「あの子も‥って事は
私も…って、事だよね!
私…おもしろい?
私って、おもしろいの?
ねえ、ねえ!お兄さん!
どうなの?」
「うん!相当、おもしろいよ!
凄くおもしろい!」
「ヤッターッ!
あのね!
もっと、私の事知ったら
もっと、おもしろくなるよ!
本当だよ!」
「そっかぁ!
それは、楽しみだな!」
「うん、じゃあ…行こう!
カラオケ…ねっ!
そこで、ゆっくりしよう!」
「わかった!じゃあ、そろそろ出ようか!」
「うん!行こ行こ!」
続く




