表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天才料理人は異世界でも料理を続けるそうです  作者: 巨大林檎
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/9

ギルドへ到着

※変更点


この世界の通貨表記を硬貨からゼニに変更致しました

 ギルドの扉を開けると、広い空間が広がっていた。

 受付カウンターに数人の職員が並んでいる。依頼書らしき紙が壁一面に貼られていて、冒険者とおぼしき人間が何人か列を作っていた。活気はあるが、騒がしすぎない。


 衛兵が受付に声をかけた。


 「身分証の発行をお願いしたいんですが。遠方から来た方で、証明できるものが何もないそうで」


 「わかりました。こちらへどうぞ」


 受付の女性が迅を別のカウンターへ案内した。名前と出身地、年齢を聞かれた。


 「佐藤迅、32歳です。出身地はかなり遠い場所です。この国の地図には載っていないと思います。それと魔力検査も受けられると聞いたのですが今受けられますか?」


 「わかりました。では便宜上、出身不明で登録しますね。あと身分証の作成と一緒に魔力検査もされますか?」


 「お願いします」


 「では先に魔力検査からどうぞ。こちらの魔力玉に手を当ててください」


 受付の女性が透明な球体を差し出した。迅は言われた通り手を当てた。


 球体がうっすら光った。しかしすぐに消えた。

 女性が少し首を傾けた。


 「……少し珍しい状態ですね」


 「何かありましたか?」


 「魔力はちゃんとあります。量も普通の人より少し多いくらいで。ただ、体と魔力が繋がっていないというか……魔力を使ったことが一度もない状態に近いです。これだと自分では魔法が使えないんですよ」


 「なるほど...」

 (異世界人というのも関係しているのか?...)


 「稀にですが。よかったら手伝いましょうか。少し時間かかりますが」


 「お願いします」


 女性に背中に手を当ててもらった。しばらくそのままの状態が続いた。


 突然、体の奥から何かが動いた感覚があった。ぞわりとした、不思議な感覚だった。


 「繋がりましたよ。これで魔法の練習ができるようになります。最初はうまくいかないかもしれませんが、使っていれば慣れてきますよ!」


 「ありがとうございます、練習してみます。」


 次に魔力玉に再度手を当てると、今度は球体がしっかりと光った。その光が板状の証明書に移り、迅の顔と名前がじわりと浮き出てきた。


 「これが身分証です。王都内はこれで動けます。正式なものが必要であれば後日また来てください」


 「助かりました」


 迅は身分証を受け取りながら、体の奥にある感覚を確認した。何かが変わった気がする。

(魔力、か)


 料理に使えるかどうかはまだわからない。ただ、悪くない。 


 衛兵が軽く手を上げた。


 「お疲れ様でした、では私はここで。王都での生活、うまくいくといいですね」


 「ありがとうございました」


 迅はギルドの中を改めて見渡した。壁に貼られた依頼書の中に、食材の買い付けや料理人募集の紙もある。この世界でも料理人の需要はあるようだ。


 屋台を出すには食材と道具と場所が必要だ。食材は市場で揃えられる。道具と場所はリアに聞けばわかるだろう。


 問題は資金だ。今手元に金はない。

 迅は自分の服を見下ろした。黒のスウェットにジーパン。この世界では明らかに浮いている。目立つのは都合が悪い。それにこの素材はこの世界には珍しいはずだ。


 (軽い資金にはなりそうかもな)

 店を当たってみるか


 繊維を扱う店を探して路地を歩いた。しばらくして、布や衣類を扱う店が並ぶ一角に出た。


 一軒の店の前で足を止めた。他より品揃えが多く、客の出入りも多い。


 中に入ると、すぐに奥から女性が出てきた。三十代ほどで、目が鋭い。品定めをする目だとすぐにわかった。


 「いらっしゃい。何かお探しですか」


 「売りたいものがあります」


 「ほう」


 女性の目が迅の服に止まった。一瞬で表情が変わった。

 「……その服、どこで手に入れたんですか」


 「遠い場所からです。この国では手に入らないと思います」


 「触っていいですか」


 迅は頷いた。女性がスウェットの袖を指でつまみ、引っ張り、裏側を確認した。次にジーパンの縫い目を丁寧に見た。その間、一言も話さなかった。


 「……これは」


 女性が顔を上げた。


 「ぜひ売ってもらえませんか。この縫製、この素材は珍しい。うちで扱えるなら相当な値がつきます」


 「いくらで」


 「二着合わせて6000ゼニ出します」


 迅は少し間を置いた。


 「相場はわかりませんが、妥当な額ですか」


 女性は少し頬を上げてから、真っ直ぐ迅を見た。


 「正直に言います。うちが出せる上限です。この素材はここでしか手に入らないとなれば、買い手はいくらでもつきます。ふっかけるより長く付き合える方がいい、というのがうちの方針なので」


馬車代が800ゼニ。串焼きが100ゼニ。それを基準にすれば、かなりの額だ。


 「わかりました。売ります」


 「助かります。代わりの服はこちらで用意しますよ」


 女性が奥から何着か持ってきた。この世界で一般的な麻の服だった。迅は一番動きやすそうなものを選んだ。


 着替えを終えて店を出た。手元に6000ゼニ。


 屋台を始めるには十分そうだ。


 迅は次にやることを頭の中で整理しながら、リアの家へ向かって歩き始めた。

この作品が少しでも面白い、続きが気になると思われましたら、ブックマーク登録を是非よろしくお願いいたします。

この作品を気に入って頂けた方は↓の☆での評価で応援よろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ