王都巡り開始
リアに教えられた道を辿り、しばらく歩くと目的の建物が見えてきた。
二階建ての木造建築で丁寧に手入れされているのがわかる。
「ここか」
迅は扉をノックした。
返事はない。
代わりに、二階の窓がガタリと開いた。
「あっ、ジンさーん! 待ってました!」
リアが窓から身を乗り出し、大きく手を振る。
「今降りますね! ちょっと待っててください!」
直後、ドタドタと慌ただしい足音が響き――勢いよく扉が開いた。
「お疲れ様でした!身分証の手続き終わりましたか?」
「ああ。身分証は取れた。魔力検査も受けてきた」
「魔力検査までしたんですね!結果はどうでした?」
「魔力自体はあった。ただ、体とうまく繋がっていなかったらしい。職員に調整してもらった」
「そんな状態の人、私も初めて聞きました……。でも、繋がったならよかったです。魔力量はどのくらいだったんですか?」
「普通より少し多い程度だと言われた」
「それなら十分すごいですよ。練習すれば生活魔法くらいならすぐ使えるようになります。よかったら私が教えますよ!」
「ぜひ頼む」
即答すると、リアは嬉しそうに笑った。
「任せてください!あ、服も変わってますね。さっきと全然違う」
「あの服ならもう売った」
「えっ、あの服売ったんですか?」
「珍しい素材らしくて良い値がついた」
そう言いながら、迅はポケットから400ゼニを取り出した。
「あと、馬車代を返す」
「えー、別に気にしなくていいのに」
「借りたものは返す」
リアは困ったように唇を尖らせた。
「んー……でも、現金で返されるのってなんか嫌なんですよね」
「じゃあどうする」
「ご飯奢ってください。その方が嬉しいです」
「そうだな分かった、どこにする?」
「やった」
ぱっと表情を明るくしたリアは、そのまま歩き出す。
「じゃあ、おすすめのお店に連れていきますね。この辺で人気のお肉料理のお店なんですよ。地元の人にも観光客にも有名で――」
「そこにする」
「決断早いですね!ご飯食べながら魔力の使い方についても教えますよー!」
リアはくすっと笑い前を歩いていく
「そうだ、その前に少し寄ってもいいか」
「どこですか?」
「食材を売っている店だ。この辺りで手に入るものを見ておきたい」
「あー、食材店ですね!夕飯まで時間もありますし全然大丈夫ですよ。ちょうど中央広場の近くを通るので寄っていきましょう」
「助かる」
「食材見るの楽しみなんですか?」
「仕込みをするなら何があるか把握しておく必要がある。それだけだ」
「……なんか、ジンさんって本当にどんな時でも料理のこと考えてるんですね」
迅は答えなかった。
否定はできなかった。
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