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天才料理人は異世界でも料理を続けるそうです  作者: 巨大林檎
第一章

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9/9

王都巡り開始

 リアに教えられた道を辿り、しばらく歩くと目的の建物が見えてきた。

 二階建ての木造建築で丁寧に手入れされているのがわかる。


 「ここか」


 迅は扉をノックした。

 返事はない。

 代わりに、二階の窓がガタリと開いた。


 「あっ、ジンさーん! 待ってました!」

 リアが窓から身を乗り出し、大きく手を振る。

 

 「今降りますね! ちょっと待っててください!」

 直後、ドタドタと慌ただしい足音が響き――勢いよく扉が開いた。


 「お疲れ様でした!身分証の手続き終わりましたか?」


 「ああ。身分証は取れた。魔力検査も受けてきた」


 「魔力検査までしたんですね!結果はどうでした?」


 「魔力自体はあった。ただ、体とうまく繋がっていなかったらしい。職員に調整してもらった」


 「そんな状態の人、私も初めて聞きました……。でも、繋がったならよかったです。魔力量はどのくらいだったんですか?」


 「普通より少し多い程度だと言われた」


 「それなら十分すごいですよ。練習すれば生活魔法くらいならすぐ使えるようになります。よかったら私が教えますよ!」


 「ぜひ頼む」

 即答すると、リアは嬉しそうに笑った。


 「任せてください!あ、服も変わってますね。さっきと全然違う」


 「あの服ならもう売った」


 「えっ、あの服売ったんですか?」


 「珍しい素材らしくて良い値がついた」


 そう言いながら、迅はポケットから400ゼニを取り出した。

 「あと、馬車代を返す」


 「えー、別に気にしなくていいのに」


 「借りたものは返す」


 リアは困ったように唇を尖らせた。


 「んー……でも、現金で返されるのってなんか嫌なんですよね」


 「じゃあどうする」


 「ご飯奢ってください。その方が嬉しいです」


 「そうだな分かった、どこにする?」


 「やった」


 ぱっと表情を明るくしたリアは、そのまま歩き出す。

 「じゃあ、おすすめのお店に連れていきますね。この辺で人気のお肉料理のお店なんですよ。地元の人にも観光客にも有名で――」


 「そこにする」


 「決断早いですね!ご飯食べながら魔力の使い方についても教えますよー!」


 リアはくすっと笑い前を歩いていく


「そうだ、その前に少し寄ってもいいか」


「どこですか?」


「食材を売っている店だ。この辺りで手に入るものを見ておきたい」


「あー、食材店ですね!夕飯まで時間もありますし全然大丈夫ですよ。ちょうど中央広場の近くを通るので寄っていきましょう」


「助かる」


「食材見るの楽しみなんですか?」


「仕込みをするなら何があるか把握しておく必要がある。それだけだ」


「……なんか、ジンさんって本当にどんな時でも料理のこと考えてるんですね」


 迅は答えなかった。

 否定はできなかった。

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