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008 討伐依頼

教会での検証を終えた俺たちは、ヒゲオヤジのいる裏路地の小さなギルド支部へと直行し、冒険者としての初仕事――『平原のスライム討伐』のクエストを受注した。


そして今、俺たちは王都郊外の草原に立っている。


俺たち三人が身を包んでいるのは、ゲーム時代に手に入れた最高峰の武具一式だ。伝説級の金属で鍛えられた重厚な鎧や、あらゆる属性耐性が付与された魔法衣でガチガチに身を固めており、見た目だけならボス討伐に向かうパーティそのものである。


普段なら消耗するのがもったいないので、滅多なことでは使用しないのだが、異世界転移してリアルの体での初戦闘。相手が「スライム」だからといって油断は出来ない。


「よし……まずはあの群れだな」


テツが指さした先、数百メートルほど離れた草むらに、ぷるぷると揺れる青い物体――スライムが数匹溜まっていた。


「全員、接近戦は厳禁だぞ。リアルになった世界、何が起こるかわからないからな」

「分かってるって。安全地帯からつぶすぞ」


俺たちは距離を十分に保ったまま、それぞれの武器とスキルを構えた。


「――まずは俺から行くぞ」


俺はアイテムボックスから、古代樹とオリハルコンで作られたスナイパーライフル型の魔法銃を取り出した。弾をセットし、遠距離射撃スキルを発動して引き金を引く。


ドン!――――――ドォォォン!!


放たれた弾丸は、音速を超えて突き進み、スライムの一匹に着弾した瞬間、まるで爆撃でも受けたかのように大爆発を起こした。爆風で周囲の草木が消し飛び、スライムは跡形もなく破裂する。


「……うわっ、オーバーキルすぎるだろそれ。恐ろしいな農家」

「うるさいな! 次、シュウ行けよ!」


「任せろ。――炎魔法【フレア】!」

シュウが魔法を発動すると目の前に青白い火の玉が現れる。火の玉がスライムに襲いかかると、周囲の草むらごと一瞬にして焼き尽くし灰も残らない。料理人の魔法とは思えない殺傷力である。


「なら俺はこれでいくか。――【ストーン・ゴーレム作成】」

テツが地面に手を突くと、ズズズ……と地響きが立て、見上げるような巨体の岩石の巨人が姿を現した。ゴーレムは丸太のような太い腕を振り上げ、残っていたスライムたちをドスン!ドスン!と叩き潰した。


わずか数分。

平原の一角がクレーターと化し、スライムの群れは跡形もなく消滅した。


「「「………………」」」


沈黙が流れる。

土煙が舞う平原を見つめながら、シュウがぽつりと呟いた。


「……なぁ、相手スライムだよね? ちょっとやりすぎじゃないか?」

「いやいや、命がかかってるんだぞ? 獅子は兎を狩るにも全力を尽くすっていうし」

「ま、まあ……最初だし、これくらい慎重で丁度いいんじゃないか」


お互いに自分を納得させるように頷き合うと、俺たちは安全を確認してから爆心地へと近づいた。

クレーターの底には、ドロップアイテムである透明な『スライム玉』がいくつか転がっていた。それを回収しクレーターを土魔法で直してから、俺たちは隠れ家ギルドへと戻った。






カウンターでスライム玉を差し出すと、ヒゲのオヤジさんは少し呆れながら、笑って依頼料を払ってくれた。


「次はもっと上の依頼を頼むぜ」


こうして俺たちの異世界初クエストは、何の危険もなく無事に達成されたのだった。




ここまで読んでいただき、ありがとうございます!

もしよろしければ、『ブックマーク』と『星評価』をしていただけると、ものすごく嬉しいです。

これからも頑張って更新しますので、引き続きよろしくお願いいたします!


7:00・12:00・18:00に投稿予定。

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