051 東北の祭り
お祭り実行委員会の事務所こと、産直市場に併設されたシュウの店。テーブルの真ん中に、一枚の紙が広げられていた。
そこには、プレイヤーたちから要望があった祭りの一覧がずらりと書き連ねられている。
『盛岡さんさ踊り』
『青森ねぶた祭』
『秋田竿燈まつり』
『山形花笠まつり』
『仙台七夕まつり』
俺は、たまらず口を開いた。
「なあ……いくらなんでも、これを全部やるのは無理じゃないか?」
「でもなー、全部やらないと要望を出した連中から不平不満が……」
テーブルに突っ伏しそうになりながら答えたテツは、目の下にひどいクマを作っていた。
「これじゃ、さながら東北の祭りの見本市だな」
厨房から冷えた麦茶のグラスを持ってきたシュウが、呆れたように笑う。
「とりあえず、今回は二日に分けて開催する予定だ。1日目に『盛岡さんさ踊り』と『青森ねぶた祭』。2日目に『秋田竿燈まつり』と『山形花笠まつり』をやるつもりでいる」
「なるほど。じゃあ、残った『仙台七夕まつり』はどうするんだ?」
「神社の前に屋台をずらっと並べるから、そのついでに日本人街の通りに豪華な吹き流しを飾って、七夕まつりっぽくするつもりだ」
俺の問いに、テツが淀みなく答える。すでに頭の中では細かな配置まで組み上がっているらしい。
「屋台か……やりたいってプレイヤーは結構いるのか?」
シュウが麦茶を飲みながら尋ねる。
「ああ、かなり希望者がいる。ただ、金魚すくいや焼きそばみたいに、人気の屋台ばかりに偏らないように調整しないとな」
「ちなみに、何店舗くらい建つ予定なんだ?」
「予定だと50店舗くらいだ。……そこでだシュウ。悪いんだが、屋台の取りまとめの方、お前に頼めるか?」
疲労困憊の表情のテツが、シュウに両手を合わせた。これ以上、彼に作業を抱え込ませるのは俺から見ても危険だった。
「分かった、なんとかしてみる。人気の屋台は、くじ引きか何かで決めればいいだろう」
「ありがとう、助かるよ。……それでゲン。お前にも頼みごとがあるんだが、また城壁の中をコースにしたいんだがどうだろう?」
「了解した。また伯爵に手紙を書いて頼んでみるよ。祭りの日程と時間が決まったら、王都の住民たちにも大々的に宣伝しないとな」
「そうだな。住民たちも祭りに慣れてきてるし、きっと喜んでくれるはずだ」
なんとか東北祭り大集合を乗り切れそうで、俺とシュウが安堵の息を吐いた直後。
テツが手元のメモ帳をパラパラとめくりながら、ポツリと言った。
「ちなみに、お盆には『よさこい祭』に『阿波おどり』、それと『五山の送り火』をやる予定だからな。よろしく頼む」
次から次へと出てくるビッグネーム。
「祭りのバーゲンセールだな……」
俺は遠い目をしながら、ツッコミを入れることしかできなかった。
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