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050 Low and Slow

大盛況のうちに『牛鬼まつり』が無事に終わり、俺たちは久しぶりに羽を伸ばしていた。


今日は農場の片隅に陣取り、青空の下でアウトドアクッキングだ。


メイン食材は、うちの農場で元気に育った丸ごとの一羽の鶏。これに塩、黒こしょう、すりおろしたにんにく、オリーブオイル、ローズマリーとタイムのハーブ、そして爽やかなレモン汁を揉み込み、たっぷりと下地を塗り込んでいく。


太い鉄の串を豪快に突き刺したら、準備完了。


焚き火の炎の上で、テツが土魔法で作成した小さなゴーレムが、一定のスピードでハンドルをぐるぐると回し始めた。


「遠火でじっくりと焼く、Low and Slowだ」


シュウが腕を組み、炎を見つめながらピットマスターっぽく呟く。


「スキルで作らないのか?」

「初めての料理は一度、手作業でちゃんと作らないとレシピ登録できないんだよ」

「そうなのか。で、どのくらいで完成するんだ?」

「まあ、二時間くらいかな?」

「大仕事だなあ」


テツが苦笑いすると、シュウはパッと手を振った。


「いやいや、本格的な本場のBBQだと十時間以上とかかかるから、楽なもんだよ」

「十時間……!」


恐るべきBBQの世界に慄きながら、俺たちは冷えたビールを飲みながら焼き上がりを待つのだった。






二時間後——


ゴーレムが回す鉄串の上で、鶏皮は余分な脂が落ち、芸術的なまでに美しい黄金色に輝いていた。滴り落ちる肉汁が下の炭に触れるたび、パチッと香ばしい煙を立ち上らせる。ニンニクとローズマリーの芳醇な香りが風に乗って鼻腔をくすぐり、俺たちの胃袋を容赦なく刺激した。


「よし、でき上がりだ!」


シュウが手際よくナイフを入れ、鶏の丸焼きをきり分ける。

皮が弾ける心地よい音が響き、熱々の肉汁が滝のようにジュワッと溢れ出す。湯気とともに広がる、スパイスとハーブの香り。


「それじゃ、二人とも食べてみてくれ!」

「「いただきます!!」」


俺とテツは、熱々の骨付き肉を手で掴み、思い切りかぶりついた。


噛み締めた瞬間、表面の皮がパリッと軽快な音を立てて砕け、続いて驚くほど柔らかくジューシーな肉が口の中でほぐれていく。噛むほどに、肉の中に閉じ込められていた濃密な旨味とあふれんばかりの肉汁が爆発する。


黒こしょうのピリッとした刺激、ガツンと効いたニンニクのコク、そして鼻から抜ける爽快なローズマリーの香り。最後にほのかなレモンの酸味が後味をキュッと引き締め、いくらでも食べられそうな絶妙な味わいに仕上がっている。


「う、う、 美味いぞーーーーー!!!」

「これはビールを飲まずにいられない!」


俺とテツが大絶賛すると、シュウは満足そうに口角を上げた。


「成功らしいな。それじゃ、レシピ登録して、一生懸命働くノームたちにもごちそうしますか」


そう言ってシュウが料理スキルを発動させると、一瞬で大量の鶏の丸焼きがドーンと出現した。それを見たノームたちが歓声を上げて集まってくる。


青空の下、肉を頬張るノームたちと俺たち。爽やかな風が吹き抜ける農場で、至福の時間がゆっくりと流れていった。




ここまで読んでいただき、ありがとうございます!

もしよろしければ、『ブックマーク』と『星評価』をしていただけると、ものすごく嬉しいです。

これからも頑張って更新しますので、引き続きよろしくお願いいたします!


7:00・12:00・18:00に投稿予定。

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