024 羊狩り
「ジンギスカンが食べたい」
俺のその何気ない一言で、今日のおじさん三人組の予定は『羊狩り』に決定した。
王都の城壁を出て、北に広がる丘陵地帯。
俺たち三人は、それぞれテイムしたモンスターに跨がり、風を切って草原を進んでいた。
俺が乗っているのは、いつもの相棒である赤毛の『レッドホース』だ。
隣を走るシュウは、ダチョウのような二足歩行の巨大な鳥型モンスター。
そして、テツが跨がっているのは、立派な角を生やしたデカい黒いヤギだ。
お互いに自分の好みに合ったモンスターを選んでいるため、並んで走るとサーカス団のような異様な光景だった。
「おっ、いたぞ。羊の群れだ」
テツが指差した先、なだらかな丘の向こうに、モコモコとした白い毛皮を持つ羊の群れが草を食んでいた。
「よし、まずは俺の出番だな。行け、お前たち!」
俺はアイテムボックスから『モンスターボックス』を取り出し開放する。
ポンッ、ポンッ! と小気味よい音を立てて現れたのは、俺がテイムしている十頭のウルフたちだ。
「ワォォォーン!」
遠吠えとともに、ウルフの群れが統率の取れた動きで丘を駆け、あっという間に羊たちを包囲して追い詰めていく。
まずは俺が麻痺弾を込めた魔法銃で体力を削ったところで、すかさず捕獲アイテムである『モンスターボックス』を次々と投げつける。
光に包まれ、次々とボックスに吸い込まれていく羊たち。見事、今夜のジンギスカンの食材を大量にゲットした。
「ふぅ、大漁大漁。あとで街で解体してもらおう」
ウルフたちが咥えてきたモンスターボックスを、俺がホクホク顔で回収していると、シュウが首を傾げた。
「ゲン、毎回解体場に持っていってるけど、解体スキルを覚えないのか? スキルがあれば自分で肉にできるんだろ?」
「いやー、あれは自分で覚えるにはハードルが高いぞ……」
俺は顔を引きつらせて首を横に振った。
新しいスキルを習得するためには、その道の師匠の下で実際に作業を行わなければならない。
感触も完全にリアルなこの世界で、動物を刃物で捌く血生臭い作業を繰り返すなんて、現代日本でずっとシステムエンジニアをやっていた俺には精神的なダメージが大きすぎるのだ。
「まあ、餅は餅屋、解体はプロに任せるのが一番さ」
「違いねえ。俺達は冒険者だしな」
「さて、王都の肉不足を解決するためにも、もうひと仕事するか」
その後もウルフ達と共に羊を捕獲して、陽が傾いてきた頃、俺たちは今夜の宴に思いを馳せながら、王都へと進路を向けた。
しかし、王都の城壁の北門まで戻ってくると、どうにも様子がおかしい。
「おい、なんだあれ……?」
「すごい人だかりだな……」
城壁の北門の周辺に、プレイヤーが密集し、騒然とした空気を漂わせていた。
一体、何が起きているというのだろうか。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます!
もしよろしければ、『ブックマーク』と『星評価』をしていただけると、ものすごく嬉しいです。
これからも頑張って更新しますので、引き続きよろしくお願いいたします!
7:00・12:00・18:00に投稿予定。




