015 システム
ホワイトビーバーたちがせっせと木を切り倒す小気味よい音をBGMに、俺はレッドホースの広い背に揺られながら後ろのリンに尋ねた。
「なあリン、このゲームのシステムについてどこまで知ってるんだ?」
「うーん……実は何も知らないのよね。こっちで友達に教えてもらう予定だったから。チュートリアルで基本の操作を教えてもらったくらいよ」
俺の背中でリンが正直に白状する。どうやら正真正銘の初心者らしい。
「そうか……じゃあ説明するぞ。このゲーム……いや、この世界には、いわゆる『ジョブシステム』というものが存在しない。俺たちが農家とか料理人って名乗っているのは、あくまでプレイスタイルのことなんだ」
「へえ、そうなんだ! てっきり職業とかを選択してるんだと思ってた。でも、それならどうやってあんな大量の農産物を作れるの?」
「そこはプレイヤーの知恵と工夫、そしてスキルの組み合わせだな。AWOは、レベルアップしたからといって自動でステータスが上がったり、勝手にスキルや魔法を覚えたりはしないんだ」
俺はホワイトビーバーが切り倒した巨木を回収しながら説明を続ける。
「ステータスは、レベルアップ時にもらえるポイントを自分で割り振って上げる。スキルが欲しければその道の達人に弟子入りして習得する。魔法を使いたければ『魔導書』を手に入れて覚える仕組みだ」
「なるほど……それなら、剣と魔法を両方覚えて、魔法剣士になったりもできるのね」
「まあ、そういうことだ。ただ、もし本気で魔法剣士ビルドを目指すなら、まずは剣か魔法、どちらか一つを極めてからにした方がいいぞ。器用貧乏になってどっちつかずになる奴が多いからな」
俺のアドバイスに、リンは「ふむふむ」と真剣に頷いている。
「じゃあ、ゲンさんはテイマービルド?なの? ノームとか馬とかビーバーとか、いっぱい引き連れてるけど」
「いや、俺は『魔法銃ビルド』だ。最初は魔法メインで戦っていたけど、生産職をしたくて器用値にステータスを振っていったら、適性のあう武器が魔法銃になったってわけだ」
「ふーん、そうなんだ。ステータスの上げ方って、最初はどうしたらいいの? もし間違えちゃったら、やり直しはできないの?」
「最初は、装備品に『必要ステータス』が設定されているから、それを参考に振り分けるのが無難だな。全て振らずに残しておくのも手だな。やり直し自体はできるんだが……かなり面倒くさいぞ。教会に金を払ってレベルを下げてもらうって、方法になるからな」
「うわ、それはめんどくさいわね……絶対間違えたくないわ」
リンはため息をついた後、森の中をゴブリンを踏み潰しながら駆け回るレッドホースを眺める。
「それじゃ、この子たち……テイムモンスターはどうやって仲間にしたの? スキル?」
「テイム自体はシンプルだ。モンスターにある程度ダメージを与えてから、『モンスターボックス』っていう専用のアイテムを投げつけるとテイムできるんだよ」
「えっ、それならスキルとか職業関係なく、皆テイマーになれるの?」
「そういうこと。戦闘用、移動用、もふもふ用、あとは俺みたいに生産作業を手伝わせたり、使い方はいろいろだな。自分よりレベルの高いモンスターは、言うことを聞かなかったりするから気をつけろよ。あと食事の世話もしないといけないから余裕がないうちは厳しいかな」
「なるほどねー。自由度が高いのね、この世界」
その後も、ホワイトビーバーたちが切り出した木材をアイテムボックスに回収しながら、レクチャーは続いた。
気がつけば空が茜色に染まり始める夕方になるまで、AWOの細かなシステムや、初心者が優先して取ったほうがいい魔法、おすすめのスキルなどについて話し合った。
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7:00・12:00・18:00に投稿予定。




