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行き止まりの神 —全能のパラドックス:封印された僕が世界を終焉させるまで—  作者: Daikon


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守る者


宴は最高潮に達していた。あらゆる柱にランタンが掛けられ、暖かなオレンジ色の光が開けた庭園全体を照らし出していた。長いテーブルには食べ物が山盛りだった——炙った肉、焼きたてのパン、果物の盛り合わせ、蜂蜜で輝く菓子。子供たちは大人の足の間を走り回り、笑い合い、輪になって追いかけっこをしていた。どこか左の方では音楽家たちが楽し気な曲を奏でていて、無意識に足が動き出すような調べだった。


マヤの顔に小さな笑みが浮かんでいた。以前見せた疲れた笑顔ではなく、アパートで見せた無理やりな笑顔でもない。本物の笑顔だった。小さくて、しかし確かにそこにあった。


シュウは何も言わずにそれを見ていた。


子供は二人の間を歩き、まだマヤの手を握り、無表情な顔をランタンに向けていた。光が彼の虚ろな目に反射し、一瞬だけ——それらの目は虚ろには見えなくなった。


彼らは食べ物のテーブルの近くに場所を見つけた。マヤはパンを一枚取り、半分にちぎって子供に渡した。彼はそれを受け取った。最初は食べなかった。ただ持っていた。それからゆっくりと、それを口に運び、かじった。


マヤの笑みが少しだけ大きくなった。


彼女は走り回る子供たちを見た。笑い合う家族たちを見た。心を込めて演奏する音楽家たちを見た。「いいね」と彼女は言った。


「ああ」とシュウは言った。


「もう二度と『いい』って感じることはないと思ってた」


シュウにはその答えがなかった。だから彼はただ彼女の隣に立って、その瞬間をそのまま受け止めた。



セラフィーナはまるで最初からそこにいたかのように群衆の中から現れた。


彼女はもはや鎧を着ていなかった。シンプルな青いドレスをまとい、髪は後ろで束ねるのではなく下ろしていた。兜と剣がなければ、ずっと若く見えた。ほとんど普通に。


「どうだ?」彼女は彼らの横に止まりながら尋ねた。「宴は楽しんでいるか?」


マヤはうなずいた。「素敵です。教えてくれてありがとう」


セラフィーナは肩を竦めた。「お前たちは何か良いものが必要そうに見えたからな」彼女の目は子供へ、そして再びマヤへと移った。「一つ聞いてもいいか?」


マヤは首を傾げた。「もちろん」


「これまでに格闘技のようなものを習ったことはあるか?」


マヤは瞬きをした。その質問はどこからともなく現れた。しかし彼女は考えた——子供の頃に通っていた道場のこと。白い道着。帯。何時間もの練習。「はい」と彼女は言った。「空手と柔道。少しずつだけど」


セラフィーナの表情は変わらなかった。おそらくその言葉の意味は分からなかったのだろう。しかしそれでも彼女は微笑んだ。


「今夜、剣術の競技がある」と彼女は言った。「参加してみないか?」


マヤの目が見開かれた。「剣術の競技?」


「王様がすぐに発表する。お前たちがここにいるのを見て、先に伝えたほうがいいと思ってな」


シュウが一歩前に出た。「剣術の競技? 誰が主催するんだ? なぜマヤが——」


セラフィーナは手を上げた。「王様ご自身だ。王子の誕生日のための催しだ。誰でも参加できる。殺しは許されていない」彼女はマヤを見た。「勝つ必要はない。挑戦すること自体に意味がある」


マヤは口を開け、閉じた。緊張していた。誰の目にも明らかだった。


シュウはセラフィーナを見た。「彼女は剣の振り方すらまともに知らないんだ」


マヤが彼の腕を叩いた。強くはなかった。ただの小突き。「あんた、私のことを馬鹿にしてるの? ふん」


シュウは腕を擦った。「悪かった」


セラフィーナは楽しそうに近い何かを浮かべて二人を眺めた。「心配するな。ルールは簡単だ。相手の剣を弾き飛ばすか、王子に降参を言わせれば勝ちだ」彼女は立ち去ろうと向きを変えた。「考えておけ」


そして彼女は群衆に飲み込まれるように消えた。



子供の握る力がマヤの手の中で強くなった。


彼女は見下ろした。「ねえ、どうしたの?」


子供は言葉で答えなかった。ただ歩き出した。以前のような機械的な足取りではなく、目的を持った本当の歩き方だった。彼はマヤを引っ張り、マヤはシュウを引っ張り、二人が何が起こっているのか尋ねる間もなく、彼らは宴から、ランタンから、音楽から遠ざかっていた。


森は暗かった。障壁の闇ではなく、「間」の場所の闇でもない。ただの森の闇。木々と影と湿った土の匂い。子供は二人を森の半ばまで連れて行き、そこで止まった。


シュウは周りを見回した。「どうしたんだ、坊や。自分の足で動けるようになったのか。大丈夫か? 答えてくれ」


子供は小さく静かにそこに立った。背中を彼らに向けて。


それから振り返った。


彼の顔はまだ無表情だった。まだ仮面のようだった。しかしその目は——その目は違っていた。虚ろではなかった。かといって満ちてもいなかった。その中間のどこかだった。


「守る」と彼は言った。


その声は静かだった。錆びついていた。何年も開けられていない扉のように。


シュウの息が止まった。「何だって?」


「彼女を守りたい」子供はマヤを見た。


マヤの手が口元に当たった。


シュウは一歩近づいた。「どうやって? どうやって彼女を守るんだ?」


子供は手を上げた。


光。


ランタンの暖かな光ではなかった。星の冷たい光でもなかった。別の光。どこか別の場所から来る何か——深い場所、古い場所、この世界には属していない場所。


空気が割れた。


大きな音ではなかった。暴力的でもなかった。ただ——裂けた。子供の手のひらの前の空間に、細い線が現れた。森の影よりも暗く、夜の空よりも深い。


そしてそのひび割れから——


剣が現れた。


落ちてこなかった。カチカチと音を立てなかった。それは宙に浮かび、ゆっくりと回転し、握られるのを待っているかのようだった。刃は青白く、ほとんど白く、銀色の脈が地図上の川のように走っていた。柄は暗く、いつまでも握っていられそうなほど柔らかそうな革で巻かれていた。柄頭には、子供の手のひらの光と同じ光を放つ小さな水晶が嵌められていた。


マヤはそれを見つめた。「何、それ?」


子供は彼女を見た。「剣。あなたのために」


「私のために?」


「今、作った」彼の声はまだ静かで、まだ錆びついていた。しかし以前より強くなっていた。話せば話すほど、その方法を思い出していくようだった。「あなたを守る」


シュウは剣を見た。空気のひび割れを見た。子供を見た。「どうやって?」


子供は首を傾げた。「あなたが触れると、この剣はあなたと融合する。力を与える。剣がなくても使える力もある。チートだと思ってくれ」


マヤの目が見開かれた。「チート」


「そう」子供は宙に浮く刃を指さした。「この剣にはいろんなモードがある。物理、形而上学、霊的、概念的、基底的、非存在的」


シュウは瞬きをした。「それって——」


「今夜の試合では、物理モードだけ使え」と子供は続けた。「さもなければ、周りにある全てのものが壊れるかもしれない」


マヤは唾を飲み込んだ。「全てのもの?」


「全てのもの」


シュウは再び剣を見た。危険には見えなかった。美しく見えた。しかし美しさは、決して安全の約束ではないということを彼は学んでいた。


「あなたがそれを握っている間」と子供は言った。「剣があなたの体の動きをコントロールする。誰か他の人があなたの体に憑いて動かしているように感じるだろう。でもあなたはそれに指示を出せる。何をすべきか、何をすべきでないかを」


マヤはゆっくりとうなずいた。「つまり、私が剣の振り方を知らなくてもいいってことね」


「剣が知っている」


シュウは子供に向き直った。その声は静かだった。「あなたは誰なんだ? 本当に」


子供は彼を見た。虚ろでも満ちてもいないその目は、長い間シュウの視線を捉えていた。


「今は知る必要はない。覚えておいてほしいのはこれだけだ」彼は間を置いた。「私は神々でさえ恐れる者のアバターだ」


マヤの顔が青ざめた。「神々でさえ——」


「そうだ」


シュウは怯まなかった。彼は天使に会った。光の目隠しをした女に会った。物語の終わりの外側に立ったことがあった。「神々でさえ」という言葉は、あるべきほどの衝撃ではなかった。


「じゃあ、私たちはあなたを何て呼べばいい?」シュウは尋ねた。「名前はあるのか?」


子供は首を振った。「ない」


シュウはしばらく黙っていた。それから彼は笑った。小さな笑い声、疲れていたが本物だった。「誰にだって名前は必要だよ、坊や」彼は考えた。子供の無表情な顔を見て、彼の手のひらにかすかに輝く光を見て、ゆっくりと閉じていく空気のひび割れを見た。


「じゃあ——」8


王の声が庭園中に響き渡った。


音楽が止んだ。会話が途絶えた。全ての視線が遠くの高台に上がった。そこに王族が座っていた。


シュウはマヤを見た。「行かないと」


マヤは宙に浮く剣を見た。子供を見た。シュウを見た。


彼女は手を伸ばした。


彼女の指が柄に触れた。


剣が唸った。


そして彼女の内側の何か——自分でも気づいていなかった何かが——目を覚ました。


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