盲目
馬車はゆっくりと未舗装の道を進んでいた。車輪がきしみ、馬が息を吐き、朝の日差しがシュウの顔に暖かく当たっていた。それは美しかった。絵画で見るような美しさではなく、胸の奥で感じる種類の美しさだった。道沿いには白やピンクの花を咲かせた木々が並び、花びらが雪のように舞い落ちていた。川が道に沿って流れていて、水は透き通り、底の方を泳ぐ魚まで見えた。空気は蜂蜜と草と、名前を付けられない何かの匂いがした。
マヤは笑っていた。大げさな笑顔じゃなく、偽りの笑顔でもなく、小さな本物の笑顔だった。彼女は手を馬車の外に出して、通り過ぎる背の高い草に指を触れさせていた。
「キレイだね」と彼女は言った。
「ああ」
「あの後で、こんな場所をもう二度とキレイって思えるとは思わなかった」
シュウは答えなかった。答える必要がなかったから。子供は空を見ていた。前みたいに虚ろに見つめるのではなく、ただ見ていた。頭を後ろに傾けて、小さな手を膝の上に置いて、風が彼の髪を揺らしていた。シュウはしばらく彼を見つめてから、前方の道に目を戻した。
遠くから王国が見えた。塔と城壁、三台の馬車が並んで通れる大きさの門。壁には青と金の旗が掲げられ、シュウの知らない紋章が描かれていた。太陽の光で石壁は暖かく、ほとんど黄金色に見えた。服屋の男が馬車を遅くした。
「あれがそうだ」と彼は言った。「ヴァルドリスだ」
マヤは前に身を乗り出して、目を大きく開いた。「まるで——」
「アニメ」とシュウが言った。
マヤは笑った。「『夢』って言おうと思ったんだけど。でもそうだね、アニメ」
子供は反応しなかったが、その目は動いていた。全てをじっくりと見つめていた。馬車が門をくぐると、音の質が変わった。開けた空間が石壁の残響に変わった。そこら中に人がいた。叫びながら商売する商人、走り回る子供たち、籠からパンを売る女の子、彼女の隣で一緒に遠吠えしながらフルートを吹く男。シュウは周囲を見渡した。それはまさにファンタジーの世界だった。彼が昔スクリーンで見てきたのと全く同じで、インスタントラーメンを食べながら「もしも」と考えていたあの種類の場所。今、彼はここにいて、どうすればいいのか全く分からなかった。
服屋の男に礼を言うと、彼は手を振り、舌打ち一つで馬車を走らせていった。シュウは通りの真ん中に立っていた。マヤが隣にいて、子供が彼の手を握っていた。人々が通り過ぎ、中には軽く会釈や小さな笑顔で挨拶する者もいた。ある女の人は、シュウが知らない言葉で「ようこそ」と言った——しかしなぜか彼にはその意味が理解できた。
「私たち、お金がないよ」とマヤは言った。
「知ってる」
「泊まる場所もない」
「知ってる」
「計画もない」
「知ってる」
マヤは彼を見た。「さっきから『知ってる』ってばかり言うね」
「知ってるからだ」
「それ、役に立たないよ」
シュウは微笑んだ。「俺には役に立ってる」
彼らは歩いた。
黒い壁を街の端で見つけた。ペンキで黒く塗ったのではない、文字通り黒かった。まるで誰かが世界の一部を切り取って、その場所に何も残さなかったかのようだった。それは塔よりも高く、旗よりも高く、あり得ないほど高くそびえていた。そしてそれは間違っていた。悪ではない、ただ間違っていた。周囲の空気は止まっていて、風もなければ音もなく、鳥もいなかった。地面の花は壁の十フィート手前で途絶え、まるでそれ以上近づかないと決めたかのようだった。シュウはそれを見つめ、そこがただの壁ではないと感じた。それは障壁だった。あの「間」の場所と同じ圧力、目の奥の同じ重み、左手の平を痒くさせる間違った感覚。
在る
文字は温かかった。熱くも冷たくもなく、ただ意識していた。
マヤが一歩近づいた。
「やめろ」とシュウは言った。
彼女は止まった。「何これ?」
「分からない」
足音と鎧の擦れる音。シュウは振り返った。三人の衛兵、男が二人と女が一人、壁の旗と同じ青と金の服装だった。男たちは槍を持ち、女は腰に剣を佩き、手は柄に置かれていた。彼女は違った。ただの衛兵ではない、顔は冷静すぎて、目は鋭すぎた。立ち方が何かを見てきて、それでも立ち続けることを覚えた人のようだった。
「ここにいるべきじゃない」と彼女は言った。声は安定していて、怒っても怖がってもおらず、ただ断固としていた。
シュウは頭を下げた。「すみません。私たちは旅行者で、知らなかったんです」
マヤも頭を下げた。「本当にすみません。すぐに離れます」
女は彼らを見て、子供を見て、シュウの左手を見て——それから視線を外した。「これが障壁だ」と彼女は言った。「この王国と魔族の世界を隔てている」
マヤの顔が青ざめた。「魔族の世界?」
「触らなくて幸運だったな」女の声は静かだった。「もし誰か、あるいは何かが越えようとしたら、その存在全体が消される。全ての世界から、全ての時間軸から、過去も現在も未来も」
マヤは冷たい指でシュウの腕を掴んだ。「触らなくて良かった——」と彼女はささやいた。
シュウは反応しなかった。障壁を見ていたからだ。その内側の闇を、それが呼吸しているかのような様子を。
「一つ聞いていいですか?」シュウが言った。
女は首を傾げた。「何を?」
「どうして人間と魔族は一緒に暮らせないんですか?」
女は瞬きをした。そんな質問は予想していなかった。しばらく考えてから、ゆっくりと慎重に話し始めた。まるで頭の中の本を読み上げているかのように。「我々の古代の書物には、魔族は危険で邪悪だと書かれている。神々は我々の守護者であり、彼らを信じなければならない。そうすれば彼らは永遠に人類を守ってくれる」
シュウは聞いた。「その書物を書いたのは誰ですか?」
女は眉をひそめた。「古代の誰かだ」
「古代の誰か」シュウはうなずいた。「魔族が書いた書物を読んだことはありますか?」
女の眉間のしわが深くなった。「いいえ」
「じゃあ、片方の側面しか読んでいないんですね」
「存在するものを読んだまでだ」
「そうですか」とシュウは言った。声は穏やかだったが、冷たくはなかった。「魔族の側に存在するもの、彼らが自分たちの神や守護者について書いたもの、人間がどれほど危険かについて書いたもの」
女の手が剣の柄を握り締めた。「言葉を慎め——」
「あなたは盲目だ」とシュウは言った。
女が止まった。「何ですって?」
シュウは彼女を見た。疲れた目で、怒った目ではなかった。「この世界には無限の可能性がある。物事が進み得た無限の道がある。人間が神ではなく魔族を信じた可能性が、少なくとも一つは必ず存在する。魔族が守護者だった可能性が、あなたたちがこの壁の向こう側にいる可能性が」
女は何も言わなかった。「神々や天使たち——」シュウは続けた。「彼らが存在することは知ってる。実際に見たことがある。しかし彼らは全ての外側に存在する。可能性の外側に、古代の書物の外側に、王様の規則の外側に。あなたはたった一つの視点からしか見たことのないものを信じているんだ」
マヤが彼の腕に触れた。「シュウ、もう——」
シュウは彼女を見た。「マヤ、君はパワースケーラーだろ。誰かと議論する時、片方の側面だけから論じるのは馬鹿げてる。自分の好きなシリーズだけを見て、相手側の全てを無視するようなものだ」彼はそこで止めた。「ああいう人たちのことを何て呼ぶか知ってるよな? ワンカーだ」
マヤは口を開けて閉じた。言葉が出なかった。彼女は彼を見た——本当に見た。なぜならこれは彼女の知っているシュウではなかったから。彼女の知っているシュウは穏やかで静かで、自分が話すより相手の話を聞く人だった。彼は議論なんかしなかった。このシュウは違っていた。眠くて疲れているのではなく、うんざりして疲れていた。壁に、障壁に、誰かに言われたからという理由だけで物事を信じる人々にうんざりしていた。
「シュウ」とマヤは静かに言った。「あなた、こんな風じゃなかったよね」
シュウはしばらく黙って、それから息を吐いた。「そうだな」
女の衛兵は緊張を解き、剣の柄から手を離した。「変わった人だな、でも間違ってはない」彼女は障壁を見た。彼らの世界と向こう側を隔てる黒い壁を。「七年間、ここに立って見張ってきた。誰もあの質問をしたのを聞いたことがない」
「どの質問です?」
「なぜ一緒に暮らせないのか、っていう質問」
シュウは何も言わなかった。
女は彼に向き直った。「今夜、宴がある。第二王子が十七歳になる。来るといい」
マヤの目が見開かれた。「宴?」
「誕生日の祝いだ。食べ物も音楽も踊りもある」女はほとんど笑いかけた。「街にいる者なら誰でも参加できる。君たちは街にいる」
シュウは考えた。彼は疲れていて、空腹で、金も計画もなく、次に何が起こるかも分からなかった。宴はこの世で最も悪いアイデアに聞こえた。同時に、まさに必要なもののようにも聞こえた。
「行きます」と彼は言った。
女はうなずいた。「よし」
彼女は去ろうと背を向けた。衛兵たちも続いた。
「待ってください」とシュウは言った。彼女は立ち止まった。「名前を聞いてもいいですか?」
彼女は振り返り、鋭い目がほんの少しだけ和らいだ。「セラフィーナ」
「セラフィーナ」とシュウは繰り返した。
「使い古すなよ」
彼女は向きを変えて歩き去った。衛兵たちも続いたが、彼女が角を曲がる前に男の一人と目を合わせた。小さなうなずき、マヤの方へ軽く目配せ。衛兵はポーチに手を入れ、小さな袋を取り出してマヤに手渡した。マヤが開けると銀貨と銅貨が入っていた。食べ物を買うのに十分な量、宿を取るのに十分な量、しばらくは持つだろう量。顔を上げると衛兵たちはもういなかった。
マヤはその袋を握りしめて立っていた。「お金をくれたよ」
「お金をくれたね」とシュウも同意した。
「どうして?」
シュウは黒い壁を見た。その内側の闇を、それが呼吸する様子を。「彼女は完全には盲目じゃないからだ」
マヤには理解できなかったが、理解する必要はなかった。彼らには見つけるべき宿があり、食べるべき食事があり、行くべき宴があった。そして何日ぶりかで、彼女は空腹を感じていた。食べ物への空腹ではなく、普通への空腹だった。




