準備
カフェは空いていた。
朝のピークは過ぎ、昼の混雑も過ぎた。カウンターの奥の老女は鼻歌を止め、あくびをし始めていた。
シュウとマヤはまだそこにいた。
空のコーヒーカップが倒れた兵士のように彼らを取り囲んでいた。マヤのスマホは壁に繋がれ、充電中だった。彼女のノート——物理的なノート。紙とインクと手書きの文字——がテーブルの上に開かれていた。
シュウはこれほど速く書く人間を初めて見た。
「それで」マヤはペンでページをトントンと叩きながら言った。「実績」
「実績?」
「レオがやったこと。彼がどれだけ強いかを証明するもの。討論で使えるやつ」
シュウはゆっくりとうなずいた。
「それを見つけるのを手伝ってほしいって?」
「整理するのを手伝ってほしいの。実績はもう知ってる。この小説を——」彼女は指を折りながら数えた。「——七回は読んだ? 八回? でも整理するのは別。カテゴリーが必要なの。層。段階」
彼女はノートを彼の方に押し出した。
「はい。書いて」
シュウは白いページを見た。
それからマヤを見た。
「俺はパワースケーラーじゃないよ」
「あなたは聞き手でしょ。それでいいの」
「どうして?」
「パワースケーラーは自分の議論に固執しちゃう。全体像が見えなくなる。聞き手は——」彼女は彼の手をトントンと叩いた。「——聞き手は私たちが見逃すものを見るの」
シュウはペンを手に取った。
それは彼の手に奇妙な感触を与えた。
白い砂漠の木製のペンではなかった。あのペンには重みがあった。密度があった。意味があった。
これはただのペンだった。プラスチック。安物。十二本入りのパックで買う種類の。
彼はそれをカチッと鳴らした。
「よし」と彼は言った。「どこから始める?」
「第一層ね」マヤは言った。「一番簡単。でも一番誤解されてる」
彼女は椅子にもたれかかった。
彼女の目があの輝きを帯びた——何か重要なことを説明しようとするときの輝き。
「大競技祭のサンドボックスの第一層——それは宇宙の消去について。でしょ?」
シュウはうなずいた。
覚えている。第一層。代表者がサンドボックスに入る。サンドボックスが宇宙を生成する。代表者が自分の存在の密度でそれらの宇宙を消去する。
「大抵の人はそれを『惑星レベル』とか『恒星レベル』とか思ってる。でも——」彼女は彼を指さした。「——それは宇宙を破壊することじゃない。消去することなんだ。違いがある」
「どう違うの?」
「破壊は力を加えること。パンチする。爆破する。エネルギーを使う。消去は——」彼女は手で拭くような仕草をした。「——消去は存在を否定すること。宇宙を壊すんじゃない。最初からなかったことにするんだ」
シュウは書いた。
第一層:宇宙の消去。破壊ではない——消去。存在の否定。
「いいね」マヤは逆さ読みしながら言った。「続けて」
「第二層」マヤは続けた。「ここから哲学的になるの」
彼女はコーヒーカップを手に取った。空だった。置いた。
「概念の枠組み。法則の法則。ルールを可能にするルール」
シュウは書いた。
「大抵のキャラクターは第二層を認識することさえできない。まだ物理学の中、因果関係の中、論理の中での動作。でも第二層は——論理の上なの。何が論理かを決めるもの」
彼女はシュウを見た。
「レオは第二層を生き延びただけじゃない。定義を破ったんだ。層が彼に押し付けようとしていた定義よりも、自分の存在の方がより現実的であることを証明した」
「どうやって?」
「帰る場所があったから」
シュウのペンが止まった。
「それは実績じゃない」と彼は言った。「それは——」
「それが全てなの」マヤの声は強かった。「パワースケーリングでは『ハックス』とか『能力』とか『ステータス』について話す。でも時には——時には最も強力なのは理由を持つことなんだ。レオには理由があった。他の代表者たちにはなかった」
シュウは書いた。
第二層:存在論的密度によって概念の定義を破った。理由:「帰る場所がある」
「第三層」マヤは言った。「証明の層」
彼女はスマホを取り出した。何かをスクロールした。見つけた。
「『なぜここに存在するのか?』それが第三層が問う質問。そして答えられなければ——答えが十分に現実的でなければ——溶ける」
シュウは覚えていた。
レオの答え。
「帰る場所がある」
「それだけ?」マヤは言った。「それだけ言ったの?」
「それだけ言う必要があった」
マヤは首を振った。
「分かる? これが私がこの小説を愛する理由。大抵の作者なら第三層を大げさな劇的な戦いにする。爆発。パワーアップ。機械仕掛けの神。でもこの作者は——」彼女はテーブルをトントンと叩いた。「——この作者は理解してた。最も深い戦いは強さについてじゃない。意味についてなんだって」
シュウは書いた。
第三層:「なぜ存在するのか」という問いに「帰る場所がある」と答えた。層はそれを十分と認めた。
「まとめすぎだよ」マヤは言った。
「メモを書いてるんであって、小説を書いてるんじゃない」
「はいはい」
彼女は笑った。
「第四層」マヤはゆっくりと言った。「審判の層」
彼女は真剣な表情になった。
怒っているのではなかった。興奮しているのでもなかった。
真剣だった。
「ここでレオは赤い光の管理者と戦う。定義する力を持つ者」
シュウは覚えていた。
壁。消えた指。レオの存在に押し寄せる定義の重み。
「マヤ——」
「最後まで聞いて」
彼女は息を吸った。
「赤い光の管理者は何でも存在するように定義できた。『ここに壁がある』——すると壁があった。『この壁は越えられない』——すると越えられなかった。彼女の力は絶対的だった——第四層のルールの中では」
「でもレオはそれを越えた」
「レオは自分自身を壁に書き写した」マヤの目は見開かれていた。「定義を破ったんじゃない。上書きしたんだ。自分の存在で。自分が誰であるかの密度で」
シュウは黙っていた。
「それは——」マヤは言葉を探した。「——それは力じゃない。能力じゃない。在ることなんだ。現実が曲がるしかなくなるほど、強く在ること」
シュウは書いた。
第四層:現実を定義できる存在と戦った。自分の存在で彼女の定義を上書きして勝利した。力ではない——存在感。
マヤはそれを読んだ。
うなずいた。
「いいよ。じゃあ——第五層」
マヤはしばらく黙っていた。
「第五層ね」彼女はようやく言った。「ここで大抵の人は混乱するの」
「なぜ?」
「第五層は一つの層じゃないから。無限の層。内部階層。自己増殖する深さ」
彼女はスマホを取り出した。シュウに図を見せた。複雑だった。意味のない方向を指す矢印。
「レオは第五層に入った。どんどん深く進んだ。第五層の内部の十七層——それが彼の限界だった。五十年前」
「そして今回は?」
「今回は——」マヤは微笑んだ。「——今回は十八層まで行ったの」
彼女はスマホを置いた。
「第五層の十八層。誰も到達したことがなかった。誰も見たことさえなかった。でもレオは——レオはそこに足を踏み入れた」
「どうやって?」
「シュウが彼の掌に『在る』と書いたから。そしてその『在る』が——」彼女は自分の胸をトントンと叩いた。「——その『在る』が十七層でレオに届いた。十分な密度を与えた。十分な理由を与えた。もう一歩進むための」
シュウは左手を見た。
在る
かすかに。しかしそこに。
「そしてそれが理由」マヤは言った。「レオがアウターバーサルである理由」
シュウは背もたれにもたれた。
「説明して。五歳の子供にするみたいに」
マヤは笑った。
「よし。じゃあ。アウターバーサルは次元の枠組みの外側に存在することを意味する。空間の彼方。時間の彼方。因果関係の彼方。概念の彼方」
「うん」
「第五層——内部階層——には次元がない。空間がない。時間がない。音さえない。覚えてる? 小説は明確に言ってる。音という概念はそこには存在しないって」
シュウはうなずいた。
「レオは存在の概念がまだ定義されている場所に存在した。ただ生き延びただけじゃない——彼は動いた。進んだ。より深く行くことを選んだ」
マヤは前に寄った。
「次元的存在にはできないこと。次元的存在が動くには次元が必要。レオは定義の層を通って動いた。それぞれの層は異なるルールの集合だった——そして彼はその全てに適応した」
「だから——」
「だから彼はアウターバーサル。次元の枠組みの外側で動作するから。彼の力は破壊についてじゃない——存在が不可能な場所に存在することについてだから」
シュウは書いた。
第五層:無限の内部階層に入った。誰も到達したことのない十八層に到達した。存在の概念がまだ定義されている場所に存在した。次元の枠組みの外側で動作する。
「完璧」マヤは言った。
「次はスクリーンショットが必要」マヤは言った。
「スクリーンショット?」
「小説の画像。証拠。証明」
彼女は再びスマホを取り出した。
「ほとんどは持ってる。でも足りないのは——」彼女はスクロールした。「——シュウが自分の掌に『在る』と書く場面。それとレオが『帰る場所がある』と言う場面。それと第四層の審判が変わる場面」
シュウは彼女のスマホを見た。
「小説のスクリーンショットを持ってるのか?」
「もちろん。どうやって議論を証明するの?」
彼女は彼に見せた。
ページの後ろのページ。白い砂漠。尖塔。薄く消えかけたレオの輪郭。第四層の審判の目。
シュウは自分の顔を見つめた。
マヤのスマホの中で。
彼はキャラクターだった。ピクセルの集合。画面上の言葉。
しかし彼はまたここに座っていた。コーヒーを飲みながら。友達が討論の準備をするのを手伝いながら。
その矛盾は彼を壊すはずだった。
しかしなぜか——
壊れなかった。
「これ」マヤは言った。「これ」
彼女はスクリーンショットを見せた。
レオ。第四層に立っている。審判の目が彼を取り囲んでいる。
キャプション:「帰る場所がある」
「それがそれだ」シュウは言った。
「でしょ。私のお気に入り」
彼らは夕方まで作業を続けた。
カフェは暗くなった。老女が灯りをつけた。夕食の客が来ては去っていった。
シュウの手は書いて痛かった。マヤの声は説明して嗄れていた。
「休憩が必要」マヤは言った。
「そうだな」
「何か食べよう」
「そうだな」
彼女は彼を見た。
「料理できる?」
シュウは考えた。
白い砂漠では、レンが料理をしていた。概念スープ。安定スープ。アイデアとして存在する食べ物。
その前——砂漠の前——シュウは一人暮らしをしていた。料理をしていた。簡単なもの。ご飯。卵。インスタントラーメン。
「できるよ」と彼は言った。
「証明して」
彼らはマヤのアパートへ行った。
それは狭かった。
一部屋。角にベッド。本と書類と空のエナジードリンクの缶で覆われた机。壁にはポスター——ほとんどがアニメキャラクター。フィギュアの棚。
「散らかってるんじゃないの」マヤは言った。「整理されてるの」
シュウは何も言わなかった。
キッチンは部屋の隅だった。小さなコンロ。小さな冷蔵庫。皿のある流し。
マヤは冷蔵庫を開けた。
「あるのは——卵。ご飯。野菜。肉も少し、かな。これまだ食べられる?」彼女は何かを嗅いだ。顔をしかめた。「ダメ。食べられない」
「卵とご飯でいいよ」
「卵とご飯ね」
シュウは手を洗った。
フライパンを見つけた。油を見つけた。コンロを見つけた。
マヤはベッドに座って見ていた。
「手伝わないの?」シュウは尋ねた。
「監督してるの」
彼はボウルに卵を割った。
殻が入った。彼は指でそれらを取り出した。
マヤは笑った。
「とてもプロフェッショナル」
「うるさい」
彼は卵をかき混ぜた。強くしすぎた。いくつかがカウンターに飛び散った。
「大丈夫」彼は言った。「大丈夫」
彼はフライパンに油を注いだ。
コンロの火をつけた。
油が熱くなった。
彼は卵を注いだ。
ジュージューという音がした。
良い。ジュージューは良い兆候だった。
それから——
彼は気を散らした。
マヤが討論について何かを話していた。相手について。予想される議論について。
シュウはうなずいた。
聞いた。
卵のことを忘れた。
煙は小さく始まった。一筋。ほとんど見えない。
それからそれは大きくなった。
「シュウ——」マヤが言った。
「聞こえてる」
「あなたの卵——」
「見えてる」
卵は黒かった。
茶色ではなかった。カリカリでもなかった。黒。火葬場に属する種類の黒。
シュウはコンロを消した。
フライパンを見つめた。
卵が見つめ返した。
目はなかった。しかしもしあったなら——彼を裁いているだろう。
マヤが歩いてきた。
フライパンを見た。
シュウを見た。
「料理できるって言ったじゃん」
「できるんだ」
「これは料理じゃない」
「これは——」シュウは言葉を探した。「——これは高度な炭化だ」
マヤは彼を見つめた。
それから——彼女は笑った。
小さな笑いではなかった。上品な笑いでもなかった。
大きな笑い。腹の底から来て、全身を揺らす種類の。
彼女は笑いすぎてカウンターにつかまらなければならなかった。
彼女の顔は赤くなった。
彼女の目に涙が浮かんだ。
シュウは彼女を見た。
彼の顔は熱かった。恥ずかしかった。
しかし——彼は我慢できなかった。
彼も笑い始めた。
彼らは小さなキッチンに、小さなアパートに、ポスターとフィギュアと空のエナジードリンクの缶に囲まれて立っていた——焦げた卵で笑っている。
「ごめん」マヤは息を切らして言った。「ごめん。笑っちゃダメだよね。あなたは頑張ったのに」
「笑い事じゃない」
「超笑い事だよ」
シュウはもう一度フライパンを見た。
卵は救いようがなかった。
彼はため息をついた。
「ピザ頼む?」
「ピザ頼もう」
ピザが到着した。
彼らはマヤのベッドで食べた。あぐらをかいて。箱を行ったり来たり回しながら。
討論のノートは彼らの周りに散らばっていた。スクリーンショットと手書きの議論。
シュウはマヤを見た。
彼女は噛んでいた。考えていた。彼女のスマホは彼女の膝の上にあり、通知がまだ殺到していた。
「ねえ、マヤ」
「うん?」
「ありがとう」
「何のために?」
「だって——」彼は漠然とジェスチャーをした。「——これ。手伝ってくれて。説明してくれて。それに——」彼は焦げたフライパンを指さした。「——キッチンをめちゃくちゃにした後、追い出さなかったこと」
マヤは微笑んだ。
「あなたは変だよ、シュウ」
「知ってる」
「でもいい意味で変」
「それって褒め言葉?」
「宣言ね」
彼女はもう一枚ピザを取った。
シュウは壁にもたれかかった。
アパートは暖かかった。ピザは美味しかった。マヤは彼の隣で、次元階層付けについて誰かとスマホで議論していた。
普通。
日常。
本物。
初めて——シュウはどこかに属していると感じた。
物語の中ではなかった。
宇宙論の中でもなかった。
ただ——ここに。
彼女と共に。




