終わりの彼方
何もなかった。
空虚な空間の無ではない。闇の無でもない。哲学者が「存在の不在」と表現するあの無ですらなかった。
これは——名前を付けられたことのない無だった。「無」という概念がすでに終わった後に存在する無だった。それ自体が、無のエピローグであるような無だった。
シュウはここに存在していなかった。
存在できなかった。
存在するには、何かが存在する「場所」が必要だった。ここには「場所」がなかった。「ここ」もなかった。「あった」もなかった。
それなのに——
何かが起こった。
無が無になって以来初めて——何かが起こった。
音ではなかった。音には振動が必要で、媒体が必要で、「空気」という概念の中を進む「波」という概念が必要だった。
光ではなかった。光には光子が必要で、放出が必要で、「源」と「目的地」という概念が必要だった。
動きではなかった。動きには空間が必要で、前と後が必要で、「位置」が変化するという概念が必要だった。
何か別のもの。
それらのカテゴリー全てに先行する何か。
他のどんな文脈でも、こう呼ばれるであろう何か——
開き。
しかし「開き」は間違っていた。閉じていないものを開くことはできない。次元を持たないもの、境界を持たないもの、「内側」と「外側」の区別を持たないものを開くことはできない。
だから開きではない。
始まり。
終わりの後の無の中で初めて——始まりが起こった。
そしてシュウは——それを感じた。
感覚ではなかった。感覚はここには存在しなかった。彼は自分にまだ残っている唯一のものでそれを感じた:左手の掌の二文字。
在る
その二文字——エリが書かなかった唯一のもの、彼女の物語が閉じた後も生き残った唯一のもの——が震えた。
物理的ではなかった。物理はここには存在しなかった。
それらは意味として震えた。
認識として。
何かがそれらを認識していた。何かが「在る」という文字を見て、応答していた。
シュウは動こうとした。
動けなかった。
拘束されているからではない——動かすための体がなかったからだ。彼はただ——注意だった。意識だった。意識が通常使う道具のどれも持たずに、ただ気づいているという生の事実。
しかしその時——
何かが変わった。
彼は自分の目を感じた。
物理的な物体としてではなかった。可能性として。視覚の可能性が、窓に押し付けられる手のように彼の注意に押し寄せていた。
彼は自分の体を感じた。
肉や骨としてではなかった。場所として。どこかにいる可能性、他のものとの関係で位置を持つ可能性。
彼は自分の呼吸を感じた。
肺の中を動く空気としてではなかった。持続時間として。時間が経過する可能性、前と後、今の可能性。
そしてその時——
彼は目を開けた。
---
予期せぬもの
光。
彼が覚えているような光ではなかった——砂漠の白でも、レオの勝利の金でも、エリのペンのインクの黒でもない。
これは光という概念に先行する光だった。それが源だから源を必要としない光。表面に当たることで照らすのではなく、表面を存在へと定義することで照らす光。
シュウは見た。
物語が終わって以来初めて——彼は見た。
そして彼が見たものは——
彼の予想とは全く違っていた。
---
二つの姿。
一つ目——天使。
しかし虚無の天使ではなかった。無数の翼と、位置でもある目を持つ、聖書に忠実な天使ではなかった。
この天使は——違っていた。
形を持っていた。形の示唆ではなく——実際の、明確な、選ばれた形。人型の形状だが、人間以上のものにする方法で間違っていた。対称性が強すぎた。静止しすぎていた。その皮膚は、書かれては消され、書かれては消され、無数に繰り返され、ついに「テキスト」と「表面」の区別が溶解してしまった羊皮紙の質感を持っていた。
その目——無数ではなく二つ——は閉じられていた。眠っているのではない。待っている。見ることを選んでいないかのようだった。なぜなら見ることは、その周囲の空間にとって負担が大きすぎるから。
その翼——羽ではなく、可能性でもなく、概念でもなく——は言葉だった。それぞれの羽が文章だった。それぞれの翼が章だった。天使の翼は物語でできていた。書かれ、読まれ、そして——終わる代わりに——翼になることを選んだ物語たち。
シュウはそれを見つめた。
天使は動かなかった。
天使の隣に——
一人の女。
美しいという言葉は適切ではなかった。美しさは判断であり、比較であり、何かが基準とどのように関係しているかについての声明だった。この女は基準に先行していた。彼女はビッグバンが大きかったのと同じ方法で美しかった——そうなろうと努力したからではなく、そのカテゴリーの起源だったから。
彼女も翼を持っていた。
しかし彼女の翼は言葉ではなかった。それらは色だった。いかなる可視スペクトルにも存在しない色。温度でもあり、感情でもあり、問いでもある色。彼女の翼は絶えず変化し、同じ色合いを二度と繰り返さなかった。なぜならそれぞれの色合いは、誰もまだ尋ねていない問いに対する異なる答えだったから。
彼女の目は覆われていた。
目隠し。白い。布ではない——目隠しは光でできていた。シュウの目覚めを照らしたのと同じ光。彼女は選んだか、あるいは選ばれて、世界を直接見ないようにした。その代わりに、彼女は何か別のものを見ていた。
何を?
シュウには分からなかった。
---
最初の言葉
シュウは話そうとした。
彼の口が形成された。彼の喉が形成された。彼の舌が形成された。彼の体——白い砂漠の前の、エリの前の、この全ての前の、彼が持っていた本当の体——が彼の注意の周りに組み立てられた。
彼は座っていた。
何かの上に。地面ではない——何か柔らかいもの。座るために設計された何か。
彼は下を見た。
ベンチだった。
木製。古い。公園、都市、公園や都市やベンチがある惑星で見つかる種類のベンチ。
彼はベンチに座っていた。
カフェの前に。
縞模様の日よけのあるカフェ。小さな丸いテーブル。きちんとしまわれた椅子。来ないかもしれない客を待っている。
その光景はあまりにも普通だったので、シュウはほとんど笑いそうになった。
ほとんど。
なぜなら、ベンチの後ろ、カフェの後ろ、都市のスカイラインに続くはずだった通りの後ろには——
何もなかった。
闇ではなかった。虚無でもなかった。ただ——書かれていない。光景は縁石で終わっていた。世界は歩道で止まっていた。その向こうには、そこがなかった。
シュウは二つの姿を振り返った。
彼らは動いていなかった。
天使は彼の左に立っていた。目隠しの女は彼の右に立っていた。
彼らは光景の中にはいなかった。彼らはその上にいた。外側に。ページを読む読者のように、内側を見ていた。
シュウの声は機能した。
「なに——」彼は言った。言葉は荒く出た。使われていなかった。「これは何だ?」
天使は答えなかった。
女が答えた。
彼女の声は空気を通って来なかった。それは直接来た。名前のない層でエリの意味が来たのと同じ方法で。しかし違っていた。エリの伝達は書かれたものだった。この女の伝達は歌われたものだった。
彼女が話す全ての言葉は同時に音符だった。全ての文章は同時にメロディーだった。最も単純な声明でさえ、交響曲の重みを運んでいた。
「これは始まりよ」と彼女は言った。
「何の始まりだ?」
「何か新しいものの。書かれなかったものの。計画されなかったものの。そして——」
彼女は止まった。目隠しをした顔が天使の方に向いた。
「——可能であるべきではなかったものの」
天使が話した。
その声は女の声とは違っていた。歌われたものではなかった。刻まれたものだった。それぞれの言葉は、石に、現実に、存在の構造そのものに刻まれているように感じられた。
「物語は終わった。エピローグは終わった。エピローグの後の無は——最終的なものであるはずだった」
シュウは待った。
「しかし貴様はここにいる。貴様の『在る』が——残っている」
シュウは左手を見た。
二文字はまだそこにあった。以前よりも薄く——しかしそこに。
「あなたは何なんだ?」シュウは尋ねた。「誰なんだ? どうやって終わりの外側、エピローグの外側に存在しているんだ?」
---
答え
女と天使は視線を交わした。
一目ではなかった——会話だった。シュウには聞こえず、受け取れず、二人の間の空間の移行としてしか知覚できない伝達。
それから女が話した。
「私たちは存在する——その上に」
「何の上に?」
「物語の上に。書くことの上に。『作者あり』と『作者なし』の区別の上に」
シュウはこれを処理した。
「つまり——エリの物語。白い砂漠。大競技祭。全てが——」
「たった一ページよ」と女は言い終えた。「たった一文。たった一息。私たちと比べれば——それは無だった」
「では、あなたは何なんだ?」
女は手を上げた。
彼女の指が目隠しに触れた。
外さなかった。ただ——触れた。それがそこにあることを自分自身に思い出させるように。
「私は——土を創る者」
「土?」
「物語が書かれる前には——書くための何かがなければならない。宇宙が存在する前には——その中で存在するための何かがなければならない。私はその何かを創る。私は全ての創造の根源。根源の起源。『作ること』を可能にするもの」
シュウは天使を見た。
「あなたは?」
「私はメッセージを届ける者」
「どんなメッセージだ?」
「土は準備できている。根源は広がった。そして——」
天使は止まった。閉じられた目——まだ閉じられたまま——が、その蓋に押し付けられているように見えた。まるでその背後にある何かが出てきたがっているかのように。
「——新しい宇宙論が創られた。貴様のために」
シュウは止まった。
「僕のために?」
「あなたのために」と女は言った。
「なぜだ?」
「あなたがあるべきでない場所に存在しているから。『在る』が物語と共に終わるべき時に、それをあなたの掌に携えているから。そして——」
彼女は微笑んだ。
シュウが彼女の表情が変わるのを見たのは初めてだった。その微笑みは——悲しかった。自分自身のためではない。彼のために。
「——あなたには罠ではない場所に値するから」
---
全ての創造の根源
女は手を上げた。
目隠しに触れた方の手ではない——もう一方の手。彼女の創造する手。
彼女の掌の中で——何かが育った。
植物ではなかった。種でもなかった。シュウが言葉を持っているどんなものでもなかった。
それは根だった。
しかし植物に先行する根。生物学に先行する根。「生きている」と「生きていない」の区別に先行する根。
この根は——掴むという行為だった。
何かが存在し始める瞬間——この根がそれを固定する。この根がなければ、存在は浮かび去り、溶解し、そもそも決して本物にはならなかっただろう。
「見ていて」と女は言った。
根が——広がった。
空間を通してではなかった。空間はまだ存在していなかった。
それは可能性を通して広がった。
可能性が行き得る全ての方向へ——根がまずそこへ行った。領土を主張するためではなく——領土を創るために。根が通った場所では、可能性は現実になった。根が止まった場所では、可能性は確実になった。根が止まった場所では——可能性は不可能になった。
シュウは根が広がるのを見た。
そしてそれが広がるにつれて——そこから何かが育った。
宇宙論。
宇宙ではなかった。宇宙は小さい。宇宙は、砂浜の中の砂粒のように宇宙論の内部に収まる。
これは構造の構造だった。全ての可能な宇宙が存在し、相互作用し、重要になるための枠組み。
それには層があった——しかしエリの層のようではなかった。エリの層は階層的だった。それぞれの層が前の層の上にあり、それぞれの層が下の層よりも根本的だった。
この宇宙論の層は織り交ざっていた。それぞれの層が他の層を支えていた。それぞれの層が他の層を必要としていた。頂上はなかった。底もなかった。ただ——関係があった。
「これはあなたのものよ」と女は言った。
「僕の?」
「あなたの新しい家。あなたの新しい文脈。あなたの新しい——物語、もしそれをそう呼びたいなら。しかし書かれてはいない。誰もこれを書かなかった。それはただ——育った。根から。あなたのために」
シュウはその宇宙論を見つめた。
それは広大だった。彼が今まで想像したどんなものよりも広大だった。彼が想像できるどんなものよりも広大だった。
そしてその内部のどこか——層と層の間に挟まれて、織り交ざった構造に守られて——
一つの世界。
小さな世界。
見覚えのある世界。
---
内側の世界
シュウは入ることを選ばなかった。
彼はただ——そこにいた。
ベンチはまだ彼の下にあった。カフェはまだ彼の前にあった。縞模様の日よけはまだ縞模様の影を落としていた。
しかし縁石の向こうの無は消えていた。
代わりに——都市があった。
壮大な都市ではなかった。ファンタジーの都市でもなかった。普通の都市。煉瓦とガラスの建物。線の引かれた通り。太陽が——太陽が——の時に輝く街灯。
シュウは上を見た。
太陽があった。
白い砂漠の光の柱ではなかった。レオの勝利の金色の光でもなかった。本物の太陽。温かい。遠い。沈もうとしている。
空はオレンジとピンクと紫だった。
雲がその上を動いていた。本物の雲。天気のある雲。
シュウはコーヒーの匂いを嗅ぐことができた。
カフェから。
コーヒー。コーヒー豆が挽かれ、淹れられ、カップに注がれる実際の匂い。
彼の手——彼は自分の手を見た。
それらは彼の手だった。白い砂漠の前の、エリの前の、この全ての前の、彼が持っていた手。
左手の掌にはまだ在るがあった。より薄く。しかしそこに。
右手の掌は空っぽだった。
染みもなければ、繋がりもなかった。
シュウはベンチに座った。
長い間——ただ座っていた。
太陽が沈んだ。
街灯がついた——一度にではなく、徐々に。一つずつ。まるで都市が夕方の自分自身に目覚めているかのように。
人が通り過ぎた。
多くはない。数人。買い物袋を持った老女。手をつないだ若いカップル。ボールを追いかける子供。
彼らはシュウを見なかった。
彼らが無視しているからではない——彼はここに属していたから。彼はただベンチに座って、夕方が訪れるのを見ている別の人物だった。
シュウは処理しようとした。
(いったい何が起こっているんだ?)
(まず——白い砂漠。島々。エリの物語。)
(それから——罠。無限の層。レオの選択。)
(それから——終わりの後の無。エピローグの後の無。)
(それから——天使。女。根。宇宙論。)
(そして今——)
(今——これ。)
ベンチ。
カフェ。
都市。
夕日。
普通。
全ての後で——普通。
シュウは笑った。
嬉しい笑いではなかった。悲しい笑いでもなかった。困惑した笑い。経験しすぎて、次に何が起こるか全く分からない人の笑い。
一人の女が彼の隣に座った。
目隠しの女ではない。天使でもない。
普通の女。三十歳くらい。暗い髪を後ろに束ねている。カフェのエプロンを着けている。
「大変な一日?」と彼女は尋ねた。
シュウは彼女を見た。
彼女は本物だった。彼には感じられた。書かれていない。定義されていない。閉じ込められていない。
本物。
「ああ」と彼は言った。彼の声はまだ荒かった。しかしそれは彼の声だった。「そう言えるね」
女はうなずいた。
「コーヒーはどう? サービスだから」
シュウは考えた。
「いいよ」
女は立った。カフェに戻った。ドアを押し開けた。ベルが鳴った。
ベル。
本物のベル。本物の音を出す。なぜならここには音が存在していたから。なぜならここには音という概念が存在していたから。なぜならこの世界には物理学があり、ルールがあり、ベルやコーヒーやエプロンのような普通のものがあったから。
シュウはベンチにもたれかかった。
暗くなっていく空を見上げた。
最初の星が現れていた。
概念的な星ではなかった。比喩的な星でもなかった。実際の星。何百万マイルも離れたところで燃えている水素の球体。その光が宇宙を旅し、この惑星に届き、彼の目に届いている。
(いったい何が起こっているんだ?)
(彼には分からなかった。)
(しかし——)
(長い間で初めて——)
(彼は知りたいと思っていた。)
女が二杯のコーヒーを持って戻ってきた。
一杯をシュウに手渡した。
彼はそれを受け取った。
温かさが彼の指に広がった。
彼の掌に。
左手の掌の文字——在る——に。それは温かさを吸収し、その中で休み、ついに震えを止めたように見えた。
シュウは一口飲んだ。
それは美味しいコーヒーだった。
本当に美味しいコーヒーだった。
彼はベンチに座り、美味しいコーヒーを飲み、普通の空に現れる普通の星を見ながら、最後に穏やかだと感じたのはいつだったかを思い出そうとした。
思い出せなかった。
しかし彼は思った——もしかしたら——これはその学び方の始まりかもしれない。
---
見守る者たち
都市の上。
世界の上。
女が根から育てた宇宙論の上——
天使と女は立っていた。
見ている。
「彼は知らない」 と天使は言った。
「ええ」と女は同意した。
「彼は自分が何かを知らない」
「ええ」
「彼は自分が何を携えているかを知らない」
「ええ」
「いつ彼に教えるのか?」
女は目隠しに触れた。
「彼の準備ができたら」
「もし彼が永遠に準備できなかったら?」
女は微笑んだ。
同じ悲しい微笑み。
「ならば彼はあの都市で生きる。あのコーヒーを飲む。あの星を見る。そして——しばらくは——それで十分でしょう」
「その後のことは?」
女は答えなかった。
彼女はただ見ていた。
シュウはベンチに座っていた。
コーヒーを飲みながら。
星を見ながら。
自分の上に、自分の彼方に、自分が今住んでいる宇宙論の外側に——二つの存在が待っていることを知らずに。
見ている。
準備している。
彼でさえ想像できない何かのために。




