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シャンテル王女は見捨てられない〜虐げられてきた頑張り屋王女は婚約者候補たちに求婚される〜  作者: 大月 津美姫
3章

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71 誰よりも近くて遠い人

いつもお読みくださりありがとうございます!


執筆に少し時間が掛かってしまっているため、

次の更新は4/20(月)とさせていただきます。

お待たせしてしまいますが、これからも応援よろしくお願いいたします!

 シャンテルたち一行は最後の目的の街に到着した。


 街の視察の間、国賓たちは視察に付いてこないことを条件に自由時間とし、街を歩く場合は護衛騎士を最低二人は付けている。

 ルベリオ王国の街を見るいい機会と捉えてもらっているようで、全員が街に繰り出していた。


 因みに、ジョアンヌは視察の間、一度も視察らしいことをしていない。せいぜい、行く先々で買い物をしたぐらいだろう。今回も例に漏れず、彼女は国賓と行動しており、特にセオ国の王子たちと一緒にいることが多かった。そこへ、マーティンも付いてくるため、シャンテルは王城を出発してからロルフとホルストと殆ど会話できない。


 視察中、どの街でも路地に座り込む大人や子どもを見つけ次第、シャンテルたちは保護して、それぞれ教会や孤児院を紹介した。それを終えると、街の様子を探るため、シャンテルは身分を隠して買い物を行う。

 特にシャンテルは王女とバレると、まともに対応してもらえない為、大抵は旅人の装いに身を包んでいる。旅人であれば、街のことを尋ねても不自然ではないからだ。


 今回の視察では、王都や他の街と比べて物価が高い街が二つあった。一つはセレナルド、そしてもう一つはタールムだ。セレナルドはトラスー伯爵領、タールムはワテナム子爵領にある。


「旅人のお嬢さん、随分悩んでるようだが、丁度今焼きたてが上がったんだ。買うなら今だよ」


 ジッと値段を見ていたシャンテルに、パン屋の店主がそう声を掛けた。どうやら、店主にはシャンテルがどのパンを買うか悩んでいるように見えたらしい。


 ふわりと、いい匂いをさせながら焼きたてのパンが店先に並べられていく。


「では、その焼きたてのパンとスコーンを一ついただけるかしら?」

「はいよ!」


 店主が注文したパンを袋に詰めてくれる。それを眺めながら、シャンテルは流れるように話を振った。


「この街、ここより北の街より物価が高いみたいだけれど、いつからこうなのかしら? 以前ここの街に来た時は、他の街とあまり変わらなかったと思うのだけど?」

「あぁ、それはな──」


 快く教えてくれた店主によると、一年前からその土地に住む人々が領主に納める税が徐々に上がり始め、半年前に倍になったらしい。その影響で、生活のために少しでもお金を増やそうと、各々の業種が値上げをした結果、売り物自体の値段が徐々に上がったということだった。

 店を持つ人たちはみな「働いても働いても金がない」と、口を揃えて嘆いているそうだ。


「ところで後ろの兄ちゃんは、お嬢さんのツレか?」


 店主は視線をカールに向けてそう尋ねた。


「えぇ。そうよ」


 シャンテルが頷くと、店主が何かを見定めるように、穴が開きそうなほどじぃっとカールを見た。


 流石のカールも居たたまれないようで、「あの……」と声を掛ける。


「……あんたら、もしかして恋人か?」


 その瞬間、シャンテルとカールが「え?」と揃えて声を上げる。


 何故そう思うのかしら?


 実は、視察中に似たようなことを何度か言われたことがある。その度に「いえ、違います。友人です」とシャンテルは否定してきた。だから今回も同じように否定した。


「そうか。……何か悪かったな」


 答えた店主がカールに視線を向ける。

 そして、シャンテルが見ていないところで、エールを送るように、「がんばれよ」と口を動かした。


 シャンテルと二人で街の視察に出ている時、カールは愛しさの滲んだ眼差しで彼女の姿を追っていた。勿論、普段は出さないように気を付けている。だが、いつも王城の中で継母や妹の仕打ちに耐えながら過ごす彼女が、外の環境で自由に歩き回る姿に安心してしまうからだった。


 周囲から蔑まれ、家族から蔑ろにされても、国のために一生懸命なシャンテル。そんな彼女に、もう随分前からカールは惹かれている。

 カールの僅かな表情の変化を様々な客を相手にしてきた年配の店主たちは、見逃さなかったのだ。


 騎士団に所属してから、カールはサリーの次に誰よりも近くでシャンテルを見てきた。恋心を自覚するのにそれほど時間は掛からなかった。


 だが、彼女はこの国の王女であり、第二騎士団団長である。

 この想いは決してバレてはいけない。


 カールは心にそう決意を刻んでいた。

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婚約解消寸前まで冷えきっていた王太子殿下の様子がおかしいです!

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