3.嵐のような訪問者たち⑤
* * *
「ジル…お前大人げないぞ。」
彼女が部屋を後にし、足音が遠くなると奴がこちらを見ながら言ってくる。
「分かってる。それに、正直な話わたしはもちろん、彼女に非はない。」
この男がわざと自分を挑発するように彼女に接していたことは気づいてはいたし、我慢するべきとは頭で理解していても自分でもない男に尽くしている姿を見ているのはなにより耐え難かった。
「ふっ、そうだな。お前の反応を見るためにしたと言っても過言ではない。」
「……余計なことしないでもらえませんかー?」
「それは無理な頼みだな。」
「彼女にこのまま嫌われでもしたらどうしてくれるんです。」
「そうなればレディはここに居づらいだろうから……そうだなわたしの側、いっつぅ。」
おっと、足が滑って思わず王太子サマの足を蹴ってしまった。
「自分の手元に置いたからと言って安心していると誰かに横から…なんてこともあるからな。」
「……それは嫌だ。」
自分の手元に置いたつもりはなくもないが、安心したつもりはない。ただ、一方的であろうこの気持ちをどうしたらいいかと悩んでいる。
「ではでは。美味しい食事をありがとうございました。辺境伯爵殿。」
ムカつ、腹の立つような微笑みを浮かべると、奴は屋敷を去って行った。グレーの子猫と共に。
そしてその後、どんな顔をして会えばいいのかわからず執務室に戻ると、無言でルドが仕事を運んできた。結果、幸か不幸かこの日彼女と再び顔を合わせることはなかった。
たまに、ルドとアドが混ざってしまいます。
ので、いつかやらかすのではと心配です(笑)




