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特殊スキル「美」を持つ令息は、道端の石になりたい。  作者: をち。


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8/17

高等学園時代~俺の哀しい学園生活

 こんな生活だったから、俺の期待はすべて「義務教育」である高等部に向けられた。


 高等部に通うのは貴族の義務だ。だからいくら特殊スキル持ちの俺でも、高等部にだけは通わなければならない。

 俺は高等部での生活に夢を見ていた。希望を見出していた。

 きっとその頃には俺も少しは男らしくなっているはずだし、学園には大勢の生徒がいるのだから、メルのように俺に惑わされない生徒だって、数人くらいはいる。きっといる。いてくれ!

 高等部で、俺はアイス以外の友を得るのだ。そして、学園の帰りに街に寄り道をしてカフェでお茶を飲んだり、出店で買い食いをしたりするのだ!

 

 夢と希望に満ちた入学の結果は、先述の通りだ。

 そう、さんざんなものだった。

 俺の夢と希望は、無残に打ち砕かれた。




 入学初日。

 自分の魅力を理解しきれていなかった俺は、喜びのあまり、アイスとメルに挟まれながら愛嬌を振りまいた。


「おはよう! 俺はウィリアム・バークレーだ! よろしく!」


 笑顔の直撃をくらった生徒が、真っ赤になってそのままバタンと後ろに倒れた。

 余波を食らった生徒が、ふらふらと夢遊病者のように俺に向かって歩き出す。


「下がってください!」

「三メートル以上の距離を取ってください!」


アイスの側近コンビが俺とアイスを庇うように前に出て生徒たちを牽制。

すかさずアイスも朗々と声を張る。


「みな、落ち着いてくれ! 私はアイスリード。君たちと共に学べることを嬉しく思う! しかし、私の大切な友を脅かす行為を見逃すことはできない! 私に君たちを処罰させないで欲しい!」


ハッとしたように足を止める生徒たち。


俺の横ではメルが怒り心頭だ。


「ウィルの笑顔は免疫の無い奴らには毒だ。少し抑えろ。とにかく、慣れるまでは無表情で頼む。問題を起こすな」


 え? 俺が悪いのか?

 通学初日に、同級生に笑顔で挨拶しただけだぞ?


 波乱万丈の日々の幕開けだった。

 

 『「特殊スキル美」を持つバークレー公爵家のウィリアム様が入学する』というニュースは入学前から一部の同級生の間で知られていたらしい。

 入り口の俺のロッカーには既に貢物がぎゅうぎゅうと詰め込まれていた。

 唖然としていると、メルがサッと懐から袋を取り出した。


「こんなこともあろうかと」


 凄いな、メル。

 機械的に貢物を紙袋に突っ込むメルとルドとフィス(メルはともかく、ルドとフィス、すまん)

 紙袋を受付に預け、その後は「生徒たちが作っている花道の間を、決して目を合わせず、かといって不愛想にもならぬよう手を軽く振りながら素早く通り過ぎ、最短距離で教室に辿り着く」というなかなかハードなミッションを課せられた。

 

 期待していた学園も、友達ができるどころの話ではなかったのである。

 メルのように特殊な趣味を持つもの、もしくは強固な理性を持つものなど、学園には存在しなかったのだ。

 

 教室に辿り着いた後も、なかなかのしょっぱさだった。

 自己紹介をしただけで教室の温度が三度は上がった。クラスメイトの目力が凄すぎて、泣きたくなった。

 クラスメイトの熱い視線をさりげなく避けつつ教室の一番前の席に着き、両隣をメルとアイス、後ろをルドとフィスに囲まれ、四方からの視線を遮られながら授業を受ける。地獄かよ。

 移動教室では、また朝のように決して目を合わさず、かといって不愛想にならぬように、ルドとフィスを先頭に、アイスとメルに挟まれながら、迅速に廊下を歩き去る羽目になった。


 ちなみにもう察してくれただろうが、学園でも家でも俺には常にメルが張り付いている。

 学園では「特例」として必ず同じクラス、隣の席、ペアになるように配慮されていたし、そうでないときはアイスとセットにされている。なのでこの布陣は学園入学以来不動の布陣なのだ。

 普通はこういう扱い、王族であるアイスがされるべきなんじゃないのか? なんで俺、アイスの側近とアイス本人にもガードされてるんだ? 俺はただちょっと顔がいいだけの高位貴族の息子なのに……。本来なら護衛されるべき王族(アイス)すらも俺の護衛になってしまう。これが悲しき俺の学園生活だったのである。

 

 

 

 ぶっちゃけよう。要するに、高等部で俺は友人をつくることはできなかった! 今後もできることはないだろう。

 こういうわけで、俺は数少ない友人であるメルとアイス、レオ兄を心から大切に思っているのである。(アイスの側近であるルドとフィスに関しては「アイス様の側近として鋼鉄の意志で耐えているだけ」らしいので除外した)

 メルは俺の側近だから置いておくとして、レオ兄は兄のようなものだからこれも置いておくとして、実際のところ、俺が親友と呼べるのは、アイスしかいないのだ。

 

 事実、俺の楽しい記憶には必ずといっていいほどメルとアイスがいる。そういう意味でも、俺は親友アイスに執着していた。

 家族とメル以外で、アイスだけが俺に「子供らしく」あることを許してくれたから。俺が俺らしくあることを許してくれたから。




 

読んでくださいましてありがとうございます♡

少しでもいいねと思っていただけましたら、ぜひ☆をポチっと……|ω・)チラリ


作者のモチベーションが爆上がりして踊り狂います。



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