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特殊スキル「美」を持つ令息は、平和に生きるために周辺諸国を制圧したい。  作者: をち。
ウィル17歳

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俺のスキルの解明

一方で、俺の新スキル「勇者」。

俺がダブルスキル持ちになったことは、さすがにごく一部ーー俺の家族と王族のみに共有されることとなった。


幸いなことに、特殊スキル「美」とは違い、特殊スキル「勇者」に関しては過去に幾人か例がある。

幼い頃勇者に憧れた俺は、子供向けの勇者関連の本は読破していた。

(男子で勇者に興味ない奴なんていないだろ?)

だから最低下の知識もある。

それに、数百年前の伝説にはなるが、勇者の側近の残した手記もあるし、立ち寄り先の領主が残した勇者に関する記述をまとめた本も出ている。こちらは大人向けの参考文献、学術書の類になるが、読んでおくにこしたことはない。


アイスとメルと一緒に分担して読み込んだ結果、大体のことは理解した。


勇者のスキルは、やはり戦闘に特化したスキルらしい。

過去の勇者によると

●剣術と体術の底上げ

●統率(敵や味方に「この人に従いたい」と思わせる)

●勇者の威圧(一定の距離の敵を一定の時間その場に足止めする)

というのが大体の能力。

そもそも勇者のスキルが与えられたものは、もともと剣術や体術に長けていたそうだし、人望も厚く多くの人から愛される人物だったという。

それを考えると上の二つのスキルに関しては、通常のスキルにみられる「元からの資質の底上げ」と見ていいだろう。それが国内だけでなく他国に行っても継続されると考えればいい。

特殊なのは三番目。威圧だ。

これは元からの資質というレベルのものではない。

正に「戦場を生き抜くための能力」だ。


試しに、王城の牢に行って俺の顔を見せ、荒くれ共が大騒ぎになったところで「勇者の威圧」を発動してみることにした。

アイスは大反対したが「牢の鍵を二重に付けてから」ということでなんとか納得してもらう。


案の定、牢に入るような輩は牢に入るだけのことはあった。

地下の牢獄に足を踏み入れた途端、俺を見てガタガタと檻を掴んで大騒ぎ。


「綺麗な兄ちゃん! こっちにこいよ! はぁはぁ」

「顔をもっとよく見せてくれえ!」


「……」


アイスが無言で俺の耳を塞ぎ、射殺さんばかりの視線でそいつらを睨む。

過保護だなあ。


とにかく、こいつらになら、威圧してみても良心は痛まない。

どうやったら発動するのか、試してみよう。

発動法などは文献に乗っていなかったので、とりあえずビシっと彼らを指さし「動くな!」と言ってみた。


「動かないでいたら触れさせてくれるのか? はぁはぁ」

「動きませんので、もっとこっちに……!! はぁはぁ」


ガッタガッタ ガッシャガッシャ


…………ダメだった。むしろ悪化した気がする。


「ウィル……」

「アイス、うるさいぞ。いきなりできるわけないだろうが。今のはテストだよテスト!」

「ウィル様……」

「だぁっ! 待てって! もっかいやって見るから、俺の後ろで待機しててくれ! 気が散る!」


威圧か。

この人には逆らえないというイメージ。

足を竦ませその場に縫い留めるほどの、圧倒的な存在感。

想像しろ。信じ込め。

俺は強い。何者も俺を従えることはできぬ。

俺こそが覇者だ。

全てをねじ伏せるイメージで目前の空間を満たす。


「……ひれ伏せ、愚民共」


ナイフのような殺気が空気を震わせた。


バッ!


荒くれ者たちが一斉に地面に伏した。

真っ青になってガタガタと震えている。

声に含まれる何かが、荒れ事に慣れた彼らの背筋をすら一瞬で凍らせたのだ。

原始的な本能に近いのかもしれない。


俺は渾身のドヤ顔で後ろを振り返った。


「出来たぞ、威圧! いざって時はこれで制圧して来ようぜ!」



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