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特殊スキル「美」を持つ令息は、道端の石になりたい。  作者: をち。
ウィル17歳

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37/40

ゼオライト7

「それはそうだろうな」


 俺はあっさりと認めた。


「……え? 信じて下さるのですか?」

「ウィル!!」


 驚きの声を上げるハインツ(目は反らしたまま)と、ぱあっと顔を明るくするゼオ。

 そんなに意外か? 当たり前だと思うんだけど。


「だって、俺は特殊スキル持ちだからさ。ゼオだって言っていただろう? 特殊スキル持ちは女神の愛し子。そこにいるだけで幸運がもたらされる存在だ」


 まあ、実際のところ言い過ぎだとは思うが、ここはそう断言しておく。その方が都合がいいからな。


「俺を不幸にすれば、その幸運の恩恵は受けられない。女神の怒りを買うだろう」


 これも証拠はないが、以下同文である。


「だから、どのみち無駄なんだよ。だって俺に色時掛けなんて通用するわけがないんだからさ。まあ、ゼオの言う『俺を絆す』方がまだ可能性が高い。そもそも、俺はアイスの婚約者だって言ってるだろうが! 正式に婚約の契約だって交わしてるんだからな! い、いちおう、アイスのことは……それなりに? あー……俺なりに……そのお、好意を持ってはいるし……」


 イロコイのような愛情だとは言わないが、少なくとも親友としての愛情と家族としての愛情はある。それは確かだ。

 もごもごと言いよどむ俺の代わりにアイスが断言した。


「私とウィルは幼いころからずっと共にいる。私だけがウィルにその距離を許されているんです。その意味、分かりますよね? それに私がどれだけウィルを愛していると? そう簡単に私がィルを渡すわけがないでしょう」

「……というわけだ!」




 がくり。

 今度こそ崩れ落ちたゼオに、俺は告げた。


「ゼオは俺を絆すんだろう? その方法を教えてやるよ。言っただろう? 俺はアイスと共に外交大使として各国を回ろうと思う。その取次ぎを頼む。ゼオにとっても、周辺国にとっても悪い話じゃないだろう?」

「そ、それはもちろん! どうか私もお供させてほしい! 留学はやめにするから! 必ず役に立って見せるよ!」

「えー。どうしようかなあ……」


 実は最初からそれを期待していたんだが、恩を売るべくワザともったいぶって見せる。

 意地が悪い? いや、これが交渉ってもんだ。だろう?


 するとハインツがゼオの横でガバリと頭を下げた。


「私からもお願いいたします! どうか、殿下にチャンスをいただけますでしょうか? その……計画とは違いますが、我々といたしましての、何もなしに帰るわけにはいかないのです! どうか……!」


 アイスがわざとらしくため息をついた。


「仕方ありませんねえ……」






 交渉の結果(というか、俺たちの希望をもったいぶりつつ押しつけただけなんだけど)、ゼオは留学を取りやめ、俺とアイスの「連合国との外交」に同行することとなった。

 あのアルメルトの第二王子も「留学を取りやめ一旦自国に帰るように」と説得してくれるそうだ。もちろん、アルメルトにも俺たちが外交大使として向かうことが条件となるが、それは元からそのつもりだったから問題はない。


 要するに、各国からの留学生の代わりに、俺たちの方が各国に「外交」という名目で留学して回るのである。

 連合国の代表国を通じてその手配をして貰えば、みな喜んで受け入れてくれるはずだ。だって「特殊スキル持ちが行けば、その国にも恩恵がもたらされるはず」なんだから。

 

 各国を回って、ゼオのように俺が誑し込んで回ればいい。スキルの効果らしきものを「あなたたちの国にも定期的にばら撒いてあげますよー」という《《期待を持たせればいい》》のだ。

 本当に恩恵がもたらされるのかどうかはこの際関係ない。ようするに「プラセボ効果」である。

 そう信じることが大事。


 「ゼオ。これからは《《友人として》》よろしくな」

 「! ええ! 任せて下さい! 後悔はさせないから!」


 

読んでくださいましてありがとうございます♡

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作者のモチベーションが爆上がりして踊り狂います。



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