表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
特殊スキル「美」を持つ令息は、道端の石になりたい。  作者: をち。


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/17

初めての夏休み2

 結局、苦肉の策として、俺の顔には炭が塗られることになった。全体的に汚してしまおう、作戦だ。

 ハンカチに暖炉の炭を付けたメルが、その眉間に皺を寄せる。


「ウィル様の顔が美しいのは理解できますが、それに価値を見出してはいなかったはずなのに……。どうしてでしょうか。いざ汚すとなると、なにか悪いことをするような背徳感を感じます」


 なんてこった! 俺の美しさのせいで、メルがいけないものに目覚めてしまった。

 

 メルという犠牲を出したが、炭自体は大変効果を発揮した。

 見えている箇所全体に薄く伸ばしてみたのだが、程よく薄汚い感じになって、一気に平民感が増す。


「なあなあ! 俺、カッコよくないか? 炭ってすごいな!」 


 興奮のあまりアイスの襟元を掴んで揺さぶれば、アイスが驚いたように目を見張った。


「確かにこの距離でも耐えられる! カッコいいかどうかはおいておくとして、炭に効果があるのは間違いないようだな」


 耐えられる? いつもの俺はなんなんだ? ちょっとコイツの言い草も酷い。

 が、メルの提案した炭のおかげで俺は大満足である!


「なあ、メル、これでいいだろう? ルドとフィスを連れて来いよ。俺だって気付かれなければ合格ってことでいいよな?」

「……はあ。まあ、そこが妥協点でしょうね」




 果たして、ルドとフィスは俺に気付かなかった。


「アイス様、どうされました?……あれ? ウィル様はどうされたのですか?」

「そこの平民は何故ここに?」


 首をかしげる二人に、俺はマントを外して見せた。


「はーっはっは! 俺だよ俺! どうだ、気付かなかっただろう! 平民に見えたよな?」

「「ウィル様?! 何をされているのですか?!」」

「平民に見えただろう? 見えたよな? 見えたって言えよ!」


グイグイと迫る俺に、側近コンビが困惑しながら後ずさる。

そして言いにくそうに口を開いて曰く。


「一応見えましたけれど……でもあなた、背を向けていらしたじゃないですか」とルド。

「顔に何を塗っていらっしゃるのですか? よくアイス様とメルが許しましたね。その顔を汚すなんて、神への冒涜です」とフィス。


「よし! ルドは合格だ! フィスはアウト! フィスも俺の顔には引っ掛からないと思っていたのにっ! お前も俺の信者だったのか! 俺の信頼を返せっ!」


 慌ててフィスと距離をとる俺に、フィスが焦ったような声をあげた。


「ちょ、ちょ! 一般的な話ですって! 別に信者というわけではありません! アイス様の従者としての誇りがありますから!」


 いや、それ従者じゃなかったらアウトってことじゃん。

 ジト目の俺にアイスが苦笑。


「まあまあ。そんなにイジメないでやってよ。ウィルといて理性を保てているだけ凄いと思うよ?」

「お前だって理性を保ってるだろ」

「私と兄上は、生まれた時からウィルに接しているからね。耐性がある」


 人を黴菌のように言うな。幼馴染の親友でもこれだ。

 生来の美貌のせいかスキルのせいなのか、どっちだ? マジで俺の「スキル美」はクソだと思う。





 とにもかくにも、ルド&フィスがギリギリ俺を平民だと認識したため、お忍びは決行されることとなった。

 

「アイスに庭を案内してくる。その後は王城に行くかも」


 そう執事に告げ、アイスが「ルドとフィスが居るから公爵家の使用人は必要ない。いつも監視されているのだ。たまには人の目の無いところでゆっくりさせてくれ」と言えば下準備完了だ。



 庭を見ているふりをして、こっそりと裏門から外に出る。

 ちなみに門番は俺がたらし込んだ。

 マントと眼鏡を外してそっとその手を握り「ちょっとだけ外に出て来る。みんなには内緒にしておいてくれ」とやるだけの簡単なお仕事だ。

 こういうことくらいしかこの顔の使い道はないからな。

 普段辛酸を舐めさせられているんだ、これくらいの利点はあってもいいだろう。



 しっかりとマントを被り直し、眼鏡をかけたら準備完了。


「おい、ウィル。もっとスカーフをあげておけ」


 アイスがグイっと俺のスカーフを持ち上げた。


「あ、ああ。ありがとう」


 準備完了だ。


読んでくださいましてありがとうございます♡

少しでもいいねと思っていただけましたら、ぜひ☆をポチっと……|ω・)チラリ


作者のモチベーションが爆上がりして踊り狂います。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ