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第21話 眠りの中心で ―影は露わになり、人族と魔族が対面する―

 森の中心は、淡い光と静寂に包まれていた。


 ネムリネの蕾は進化の眠りの中で脈打ち、

 その前で巨大なドラゴンが静かに佇んでいる。


 森全体が、ネムリネの夢の中に沈んでいるようだった。


---


 レオンたちが先導し、調査団は慎重に森を進んでいた。


 「……魔力が濃い……」

 隊長が小声で呟く。


 カイルが頷く。

 「ネムリネに近づいている証拠だよ。

  中心はもうすぐだ」


 ミナは胸を押さえながら言う。

 「……ネムリネ、無事でいて……」


 そして――

 木々の間から淡い光が見えた。


 レオンが息を呑む。


 「……あれだ。

  ネムリネの……ねどこ」


 調査団は静かに森の中心へ足を踏み入れた。


---


 森の中心に入った瞬間、

 巨大な影がゆっくりと目を開いた。


 ドラゴンだった。


 レオンたちを見て、

 ドラゴンはわずかに目を細める。


 「……また来たか、人の子らよ。

  眠りの子を刺激しに来たわけではあるまいな」


 レオンはすぐに頭を下げる。


 「もちろんです。

  ネムリネを守りに来ました」


 ミナも続ける。


 「ネムリネは……大事な友達です」


 ドラゴンは静かに頷いた。


 「ならばよい。

  眠りの子は進化の眠りの最中だ。

  静かに見守るがいい」


 調査団の緊張が少しだけ緩んだ。


 しかしその直後――

 ドラゴンの視線が森の奥へ向いた。


 「……そこにいる魔族たち。

  隠れていないで出てこい」


 人族は驚き、

 魔族影部隊は息を呑んだ。


 リュシアは静かに姿を現した。


 「……気づかれてしまいましたね」


 影部隊も木々の影から姿を現す。


 隊長が驚愕の声を上げる。


 「魔族……!」


 レオンはすぐに隊長の前に立ち、

 緊張を抑えるように言った。


 「待ってください!

  彼らは……戦う気はないはずです!」


 リュシアは静かに頭を下げた。


 「人族の調査団。

  我々も森の主を害するつもりはありません。

  ただ、状況を確認しに来ただけです」


 ドラゴンは二つの勢力を見渡し、

 低く言った。


 「眠りの子は進化の眠りの最中だ。

  争いは許さぬ。

  ここでは、互いに客人だ」


 そして――

 ドラゴンの声がわずかに低くなる。


 「……害意がないのなら、な。

  眠りの子に牙を向ける者がいれば――

  我が牙がその者を砕く」


 人族も魔族も、

 その威圧に思わず息を呑んだ。


 しかし、ドラゴンは静かに続ける。


 「静かにしていればよい。

  眠りの子は、ただ眠りたいだけだ」


---


 人族と魔族は距離を保ちながら、

 ネムリネの蕾を見つめていた。


 淡い光が脈打ち、

 森全体が静かに呼吸している。


 ミナが小さく呟く。


 「……ネムリネ……

  こんなにたくさんの人が見守ってるよ……」


 リュシアはその言葉を聞き、

 静かに微笑んだ。


 「眠りの主は……本当に愛される存在ですね」


 レオンは頷いた。


 「そうだ。

  だから……守りたいんだ」


 ドラゴンは静かに目を閉じた。


 「眠りの子が目覚めるまで……

  静かに見守るがいい。

  人族も魔族も、ここでは客人だ」


 森の中心は、

 緊張と静寂が混ざり合う神聖な空間となった。


 人族と魔族――

 二つの影が並び立ち、

 眠りの主の誕生を見守ることになった。

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