表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/26

第二十六話

カテリーナ様を訪問する日──


コンコン、と扉をノックすると、はい、と中から返事が聞こえた。

「失礼します」

扉を開け中に入ると、ベットの縁に可愛らしい女の子が腰掛けていた。こちらに視線を向け、ぼーっとしたように見つめてきた。

「初めまして、カテリーナ様。リラ・クラークでございます」

挨拶をすると、はっとしたように女の子が立ち上がった。

「初めまして、リラ様。カテリーナ・ジェラルドです」

髪は肩ぐらいのところで切りそろえられており、軽くウェーブがかっている。窓から入る光で赤い髪が反射していた。瞳は薄い緑で、こちらもカテリーナ様の可愛らしさを引き立てていた。

「今日は急にごめんなさい。リラ様とお話してみたくて、お兄様に頼んだんです」

「えぇ、ヘンリーから聞きました」

(何を話せばいいのかしら...)

小さな頃から森にある城に住んでいたため、あまり交友関係を持ったことがない。ましては、メイ以外の自分より小さな女の子と喋るなんて、初めてのことだった。

なんとなく気まづさを感じていると、カテリーナ様がこちらをチラチラと見ていることに気がついた。

「何かありましたか?」

「え、えっと、その...」

にっこりと微笑みかけると、くりくりとした薄い緑の瞳がキラキラと輝いた。



「リラ様!こっちです!」

カテリーナ様から手を引かれ、連れてこられたのは温室だった。

(温室の存在は知っていたけど...来るのは初めてだわ)

最初、カテリーナ様から「一緒に温室に行きませんか!?」と誘われたときには疑問に思ったが、温室にきたカテリーナ様は花をみると、嬉しそうに目を輝かせた。

「花がお好きなんですか?」

「はい...!私、小さなころから外で遊ぶことができなくて...でも、ここの温室だけはよく許可をもらって遊びに来ていたんです」

そういう彼女はとても愛らしく、花の妖精のようだった。

「あの、リラ様...お願いがあるんです」

「お願い...ですか?」

(一体どんなお願いかしら...)

私が叶えてあげられることは少ないが、どんなことでもできる限り叶えてあげよう...そう思っていた私は、カテリーナ様のお願いに拍子抜けしてしまった。

「リラ様のこと...リラお姉様って呼んでもいいですか?」

「...え?」

(ぜんっぜん予想していなかった...!!)

「えぇ。構いませんよ」

困惑しながらも了承すると、カテリーナ様は嬉しそうに笑った。

「あ、あと、敬語もやめてください!私のことも、カテリーナと、呼んで下さると嬉しいです...」

うるうると上目遣いで言ってくるカテリーナ様のお願いが、聞けないわけがなかった。

(可愛い...!可愛すぎる...!)

「わ、わかったわ...カテリーナ」

そう呼んであげると、カテリーナはぱぁあ!と表情が明るくなり、「はいっ!」と元気よく返事をした。

(こんなに可愛い生き物が存在するのね...)

この日は一日、カテリーナと温室で遊んだり、カテリーナの部屋でお喋りをして過ごした。カテリーナはずっと本に出てくるような姉妹に憧れており、私にとても懐いてくれた。帰り際に、

「また会いに来てくださいますか...?」

と寂しそうに聞かれたときには、可愛さのあまり固まってしまった。

「もちろん。また遊びましょう」

そう言って手を振ると、嬉しそうに手を振り返し、私の姿が見えなくなるまで見送ってくれた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ