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銀髪碧眼の美少女暗殺者から「拒否したら心中する」と激重求婚されたので、ひとまず結婚を確定で同棲することになりました。  作者: 虎柄トラ


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第57話 バカップル

 対策が見いだせず、呆然と立ち尽くしているとスマホが震えた。

 ポケットから取り出し画面を確認してみると、実弥さんから通知が入っていた。

 そこには『この方法があんだろ』とだけ書かれていた。


 実弥さんより伝授された方法を早速実行に移す。

 迎えに行けない理由を書き入れて連絡を飛ばす。

 待つこと、三秒――真白が隣に立っていた。


「……いつ出てきた? 俺、目を逸らした覚えないけど……?」

「女には秘密の一つや二つあるものよ?」


 人差し指を唇に当てて、それっぽい動きをしている。

 ただただ可愛いだけで色気は露ほどにも感じない。


「それで? なんか良さそうな服とかあったか?」

「もっちのろんよ。辰爾が“絶対に博希は狼なること間違いなし”だって♪」

「そうかそうか、それは楽しみだ。あとで辰爾にお礼参りに行かないとな」


 聞き覚えの無い言葉らしく、真白は首をひねり「お礼参り……?」と聞き返してきた。その一挙手一投足までもがいちいち可愛い。服装もいつもと同じ、行動も普段どおりのはずなのに、なぜかさっきから妙に可愛く見えて仕方がない。


「真白の服を選んでくれてありがとうって、文字どおりお礼をしに行くんだ。さて、立ち話もなんだし、歩きながら六階を目指そうぜ」

「あーそういえば早く来た理由って、それが目的だったっけ? すっかり忘れてた……」

「でしょうな、つうか……今朝の必殺技について後で話を聞かせてもらうからな。発勁《はっけい》はまだいいとして、どうやって俺のロボットのように操作したのだけは是が非で教えてもらう……」

「最初から教えるつもりだったし、別にいいよ。んじゃ私も質問、あの子たちをずっと眺めてたのは、どんな意図があったの?」

「……いや意図なんてねぇよ。押しのけて入店するわけにもいかないだろ。だから、こうやって真白を呼んだんじゃねぇか」


 光なき瞳が、それが最終回答かと言わんばかりに見つめてくる。重い沈黙が続くが、ここで変に取り繕っては裏目に出る。ならばこそ、いまは静観するべし、と見つめ返して彼女が口を開くのを待つことにした。


 約十秒後――。


「…………な~んだ、最初からそう言ってよ。ほら六階行くんでしょ!」


 表情豊かな真白に戻ると早速エスカレーターに向かって歩き出した。


 後ろをついて行きながら博希は違和感を覚えていた。

 機嫌は戻ったけどやっぱりどこか不自然、空元気のようにみえる。


(でも顔色は悪くない……)


 体内のカフェインが枯渇していた時の俺を見ているかのような情緒不安定さ。

 感情の揺れ幅が大きすぎる、開幕心中を口走っていた頃の方がまだ全然マシだ。

 この感じは、それらとは全く異なる。感情が起伏して、伊咲や未来に向けて放ったものとも違う。


 説明はできないけど何か言い知れぬ、とても嫌な予感がする。


 俺の知らないところで何かが起きている? もしそうなら暗殺者(そっち)方面以外に考えられない。他人に見せるようにわざとやっていたのは、自分の能力が落ちていないか確認するため? 予想が当たっているとするなら、まずおしおきついでに確認するなよ。っと思考がされた……。

 あの日以降、真白が依頼を受けた素振りはない。結婚資金が十二分に貯まったから、もうやらないと以前に言っていた。ならどうして今ごろになって能力を再確認する必要がある?


(なるほど……俺のためか……)


 即座に博希は先を行く真白の手首を掴んで動きを止める。


「……えっどしたの博希? 私と手をつなぎたくなった」


 掴む手に自然と力が入る。

 いま手を放したらもう二度と会えない。


「痛いんだけど……」


 気づかれないように真白はひとり胸の内に抱えていた。

 出会ってしまったからこそ離れたくない、その想いが恐怖となり心を蝕んでいく。


 それがいつしか彼女の中で限界を迎え溢れ出ていたのだ。ただの焼きもちかと思っていたけど、あれは真白の嘆きそのものだった。何ともはた迷惑な艱難(かんなん)。俺にも半分よこせと言いたいところだけど、そうはいかないのだろう。


 暗殺者の裏事情をぺらぺらと話していた真白が、口を閉ざさなければならないほどの最重要事項。それを聞き出すそうとするのは、二人にとっても良い結果を生むとは思えない。

 目標者(ターゲット)を手にかけた暗殺者だとしても、彼女はまだ十六歳の少女にすぎない。そんなこと分かっていたはずなのに、俺は正しく理解できていなかった。


「真白、俺には何もできないかもしれない……だけどな、どうしてもってなったら、その時は絶対に話せよ……約束だ……」

「…………うん、その時がきたら絶対に話す。約束する」


 暫し、二人の間に沈黙が続いた。


 ただその沈黙は永久に感じていたと思えるほど心地が良いものだった。

 だが二人は気づいていなかった。手をつなぎ黙ったまま異性が見つめ合う。

 恋バナが大好きな彼女たちがいる階層で、それを行うことがどれほどの愚行かということを。


 その日から彼女たちが通う学校では、その話で持ちきりになり二人を真似る人が大量発生する。最終的には、町を越えて大バズりすることになるのだが、それもまた別のお話。

最後まで読んでくれてありがとうございます。


面白いな続きが気になるなと思っていただけましたら、是非ともブックマーク、評価、いいねの方よろしくお願いします。作者の励みになります。

特に★★★★★とかついた日には作者のやる気が天元突破します。


他にも色々と書いておりますので、もしよろしければそちらも一読していただけますと幸いです。

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