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銀髪碧眼の美少女暗殺者から「拒否したら心中する」と激重求婚されたので、ひとまず結婚を確定で同棲することになりました。  作者: 虎柄トラ


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第51話 エンカウント

 未来の第一声は「スクープゲッツォー!」であった。


 スマホに視線を落としたまま片手で操作しつつ、もう片方は『どうぞ続きを』とばかりに指先だけをピコピコと動かしてアピールしている。


 そんな簡単にアルコールが抜けるわけじゃないが、未来襲来という突発イベントにより、一度は手放していた理性を確保することに成功した。自分よりも変なやつを見たらスンとなる。劇物ではあるけど即効性は折り紙付きだ。


「……未来なにしてんだ?」

「なにって見てわからん? このスクープを真白ちゃんに送るとこ♪」

「……ふむ、一旦それやめておこうか。別にやましいことはないけど、一旦やめとこう……な?」

「やましい気持ちがないなら別にええやん?」

「よし分かった。俺に何か話があんだろ、おまえがこういう手段を取る時は大概裏がある」

「さすがうちの親友やな。よぉ~わかっておるやん。じゃこれは一旦ナイナイしといたる」


 満面の笑顔で未来はスマホを胸元に仕舞い込む。

 スマホを谷間に挟んで大丈夫なのかと不安がよぎる。


 火傷の心配や熱が逃げないからバッテリーの持ちが悪くなるんじゃないかとか、人前でそんなことをするから変な輩に絡まれるんじゃないか。そんな心配事が浮かんでは消える。


「……せ、先輩の知り合いですか? あーえーっと、結構主張の激しい方ですね? あの寒くはないのですか?」


 伊咲は言葉を選びに選んで口にしているのが読み取れる。足元から顔へ、顔から足元へと何度も往復している。言わずとも理解できてしまう。


 ピンクのダウンジャケットを全開にしていて、胸元が深いタンクトップが丸見え。ショートパンツにロングブーツと、一月初旬を寒さをなめているとしか思えないような服装をしていた。


「伊咲、言葉を濁さなくてもいいぞ。あいつは痴女だ……」

「このやり取り二回目! なんか日に日にうちの扱いひどなってない? あーなんやろう無性に真白ちゃんに電話かけたくなってきたかも」


 博希に目配せしながら未来は右手を谷間に入れる素振りを行う。


「……ううん、ごほん……彼女は来宮未来(きのみやみらい)と言って、小学校からの親友だ。未来が攻めた服装をしているのは、彼女自身が広告塔を兼ねているからなんだよ」

「自分は伊咲璃奈といいます。よろしくお願いいたします。それはそうと広告塔ですか? ということは、その服も未来さんはデザイナーしたものという認識であっていますか?」


 めずらしく伊咲の目がキラキラと輝いている。

 デザイナーという職業に興味があるらしい。


 あれおかしいな? 実弥さんも服を仕立てる職業のはずなのに、あの人にその目を向けたことはないような……。


「せやで、これは春用のやつやねんけど、今時分から次の新作はこんなんやでって、みんなに知らせるために着てんねん。つってもこれサンプルやけど」

「……はあそうなのですね。サンプルということは、まだ予約はできない?」


 今度はため息を吐いて残念そうにしている。

 先ほどの目の輝きも薄れ平常に戻っている。


「せやけど、それがどうしたん?」

「いえ、どうせならせめて予約可能な時期からにすればいいのにって思っただけです。だって、未来さんが着ているのを見て欲しいと思っても、購入どころか予約すらできない。それが何を意味するか、未来さんは理解していますか?」

「……うん? なんか問題あるん?」

「はぁ……未来さんはセンスは一流なのに、商売人としては三流です。欲しいと思わせた時に、ポチらせないと客は逃げますよ。少しでも考える時間を与えてはダメなんです。未来さん、分かりますか? いまあなたは目の前で、客を一人失ったと言っているんです」


 伊咲に指摘された未来は両手を広げて彼女に飛びかかる。先のスマホのように顔面を谷間に押し込み言葉を続ける。


「…………博希、この子うちにくれへん?」

「このやり取りなんかデジャブを感じるわ」

「奇遇やな、うちもや」

「分かっていると思うけど、答えはノーだ」

「せやろな、うちも手放さへんわ。こんな優秀で可愛い子。博希いい思いしすぎちゃうか!? 真白ちゃんといい、両手に花どころか両手足に花やんか!!」

「真白、伊咲、実弥さん……もしかして未来おまえ、自分もカウントにいれてる?」

「当たり前やん。うち以上にエロカワな女おらんやろ……?」


 被害者(伊咲)を放置して未来と道端で語ること五分。


「……自分はともかく先輩の帰りが遅くなるんで、もうそろそろいいですか?」


 あの状態で五分間も耐えていたというのに平然としている。それどころか先輩の帰宅時間について案じている。その言動に博希と未来を無言のまま顔を合わせると、彼女は手を緩めて伊咲を解放するのであった。

最後まで読んでくれてありがとうございます。


面白いな続きが気になるなと思っていただけましたら、是非ともブックマーク、評価、いいねの方よろしくお願いします。作者の励みになります。

特に★★★★★とかついた日には作者のやる気が天元突破します。


他にも色々と書いておりますので、もしよろしければそちらも一読していただけますと幸いです。

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