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銀髪碧眼の美少女暗殺者から「拒否したら心中する」と激重求婚されたので、ひとまず結婚を確定で同棲することになりました。  作者: 虎柄トラ


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第50話 パパラッチ

 無事、任務を完遂した博希は、同僚を引き連れて二次会へと向かう上司と別れて帰宅しようとしたが、帰り際に上司が言い残した言葉でその願いは儚く消える。


「伊咲君をちゃんと家まで送るんだよ……んじゃおつかれさん。さあ二次会に行くぞ野郎どもぉ!」


 そんなこんなで伊咲を家まで送ることになった。前回のようにタクシーでと思ったら、領収書と七千四百円(お釣り)を手渡してきて『今回は徒歩でお願いします』と、訳の分からない注文をしてきた。


 ありがたく頂戴しますとか言っておいて、この時のためにあえて受け取っていた。必要ないと返そうとするが断固拒否してくる。やはり後輩は先輩に似るのだろうか。


 反対方向だし時間も八時を過ぎている。深夜三時の夜道をエナドリ片手に歩いていた社畜の思想とは到底思えない。いまの博希は真白の健康管理により常人となっている。そんでこんな堅苦しいスーツを脱ぎ捨てて、部屋着でだらけたい。

 なので正直さっさと伊咲をタクシーに乗せて自宅に急行したい。が、手伝ってもらった手前、こちらも彼女の願いを聞き届けるべきだろう。ということで、渋々ながら後輩と夜道を歩くことになった。


 真白には事前に新年会だから遅くなると連絡済みだが、一応念のため帰宅が遅くなる旨を連絡する。彼女の地雷原についてある程度は把握している。それでも未発見の地雷がまだ数多くあるはずだ。保険をかけておいて損はない。


 同じ町内だとしても、少し場所が変われば知らないものが見えてくる。自宅がある西側に比べて、東側は全体的に明るい雰囲気だ。空缶どころかタバコやビニール袋といった街の片隅には、必ず落ちているはずのゴミらしき物もない。というか、そもそもゴミ箱(・・・)自体が一つも見当たらない。


 街灯とか電信柱には、監視カメラまで備え付けられているしで、西側はスラム街かな? と思えてくるほど東側は清廉されていた。会社と自宅の往復だけで一度も来たことはなかったが、西と東で街づくりがここまで別物でだとは思いもしなかった。


「なんで徒歩なんだ。そこいらにタクシー結構みえるし、やっぱこれに乗って帰ってくんない?」

「ははは……倉持先輩の魂胆はわかってますよ。でも、先輩がか弱い後輩のお願いを破ってまで帰るわけないですよね?」

「毎日五キロを徒歩で通勤しているやつに、か弱いと言われてもなんも響かん。ああ分かったよ、このまま家まで送るから、せめて徒歩に執着した理由ぐらいは教えてくれ」

「……特に深い理由はないですよ。ただですね、先輩とこうやって歩きながら話したいなと思っただけです。残業も無くなって、先輩と話す機会もめっきり減って、味気ないというか。まあそんな感じです」


 伊咲は手を組み人差し指をトントンと動かしている。その仕草を見ていると、なんかこっちまで気恥ずかしくなってきた。ただそれよりも先輩として慕ってくれていること、信頼関係が築けていることに胸がいっぱいになる。


「なんだそれ……あーいや確かにそうだな。伊咲と業務以外でここ最近会話した記憶はないな。そっか、そうか……伊咲おまえ寂しかったのか。あっはははそうか、すまんな先輩なのに気づかんかったわ!」


 完全に無意識だった。ただ先輩想いの彼女を構ってあげたくなった。

 そう思った時には、もう伊咲の頭をわしゃわしゃと撫で回していた。

 こんなに高揚とした気分ははじめてだ。足かせが外されたように軽やか。


「わっちょっとなにやってるんですか。先輩、髪がボサボサになっちゃうじゃないですか」

「あっははっは気にすんな。今夜は新年会だろ、無礼講無礼講だよ!」

「先輩が後輩にそれをやったら、ただのパワハラですって……はっ先輩まさか酔ってます?」

「うなわけないだろ、俺が酒を一滴も飲んでいないことは伊咲も知ってるだろ。だから酔ってねぇって……」

「それがまさに酔っぱらっている証拠です。自分としたことが、言動や行動が普通だったから気づかなかった。先輩があの程度の酒気で酔うほど弱いとは迂闊でした」

「何か知らんが、伊咲ミスしたのか? 大丈夫だ、俺が手伝ってやるからな!」

「話が通じない……でも、そういうところは酔ってても変わらないんですね。ああほんと、どうして自分は……」


 伊咲が何やら思い詰めている。

 嫌なことでもあったのだろうか。


 アルコールに支配された脳で思考し、伊咲が顔を曇らせた理由を模索する。


 そこで博希は気がついた。

 彼女は頭を撫でられるのが嫌だったんだと。


「悪いやりすぎた……!?」


 頭から手を放し謝罪の言葉をかけようとした時だった。

 眩い光とともに、カシャっというシャッター音が耳に入った。


 正面を向くと、そこにはスマホを構えた未来(パパラッチ)の姿があった。

最後まで読んでくれてありがとうございます。


面白いな続きが気になるなと思っていただけましたら、是非ともブックマーク、評価、いいねの方よろしくお願いします。作者の励みになります。

特に★★★★★とかついた日には作者のやる気が天元突破します。


他にも色々と書いておりますので、もしよろしければそちらも一読していただけますと幸いです。

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