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銀髪碧眼の美少女暗殺者から「拒否したら心中する」と激重求婚されたので、ひとまず結婚を確定で同棲することになりました。  作者: 虎柄トラ


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第44話 水で水を洗う

 これが、これこそが銃撃戦の開始を知らせる合図。


 コンテナ車からスタッフがアクロバティックに飛び降りると、目にも留まらぬ早業で、水鉄砲を持つゲストを次々と射貫いていく。どのスタッフを見てもワンショットワンキルと水の消費を抑えて戦っている。対してゲストは、水の消費などお構いなしに全力で迎撃を行う。肉を切らせて骨を切る戦法で応戦している。


 水の補充は、ゲストもスタッフも各コンテナ車から自由に行える。が、圧倒的に補充に関していえばゲストが不利となっている。敵味方と水が飛び交うなかで、コンテナ車に駆け込み補充するなんて無謀すぎるからだ。


「なにこれなにこれなにこれぇ!!」


 ぴょんぴょんと真白がその場で跳ねている。目は燦々と輝き、夜空を照らす星がくすんで見えるほどだ。ここまで興奮するとは予想外だった。暗殺者の血が騒いでしまったのだろうか。次回また来ることがあったら、その時は参戦するのも一興かもしれない。部屋着にしてもいい服と、着替えだけは絶対に忘れてはならない。


 新年早々、ずぶ濡れで帰るのは倉神町の風物詩ではある。問題なのは、この季節に水浴びをすると風邪をひく危険性が大。それ以上に問題なのは、あの発射される赤く染まった水だ。一滴でも服にかかると、プロでも落とすのに苦労するほどマジで落ちない。一回着たら終わりってぐらいのブルジョワな人間や、前衛的なデザインとして捉えて着こなすような逸材。当日参戦するのはそういった意味で難しいのだ。本人が風邪でダウンするのと服がお亡くなりになることから、ショー名にデッド(・・)がついたとさえいわれている。


 フェンスに両肘をつきイベントを眺めていると辰爾が話しかけてきた。


「このイベントとは思えない殺伐とした雰囲気……ウェアハウスランドに来たって感じがして、やっぱいいよな。真白ちゃんもあんなに喜んでるし、準備しとくべきだったかもな?」

「だな、次は参戦すっかな。つうかさ、これを見るたびに思うけどさ、あの人たちマジですげぇよな。気概が違うというか、目が本気だもんな……」

「ああそりゃそうだろ? あれおまえまさか、このイベントのルール知らねぇのか? 倉神町民なのに?」


 珍獣でも見たかのような顔で本意気の声を出している。その奥では実弥さんもまた同様の顔をこちらに向けている。


「……えっ好き勝手にただ撃ち合うだけじゃないのか? ルールなんてあったのか……?」

「マジかよ、真白ちゃんはともかく……おまえが知らねぇのはさすがにひくわ。しゃーねぇ、辰爾様が教えて進ぜよう」

「ウゼェな……だが、確かに町民として知らなかったのは俺の不徳の致すところではある。ああくそ……ご教授いただけますでしょうか」

「良い心がけだ。つっことでだな、簡単にルールを説明するぞ――」


 このクリムゾンデッド(イベント)ショーのルールを知ったことで、彼らが熱中する理由もまた知ることができた。

 ルール自体はとてもシンプルなもので、ゾンビを模したスタッフの水鉄砲を一度も被弾せずに当てれたら勝ち、先にやられたら負けというものだった。いま現在この目で見ている状況をそのまま言葉にしたかのようなサルでもわかるルール。


 問題はここからで、スタッフに水鉄砲を命中させたゲストの中から抽選で、お得意様用年間パスポート――通称VIPを《《購入する権利》》が与えられる。その当選数は被弾したスタッフの人数に依存するため、ゲストは真紅に染まった同志を踏み越えて死地に赴く。

 もう一つVIPを入手する方法がある。それはイベント中、一度も被弾することなくスタッフに水鉄砲を当てること。この場合だと、VIPの購入権ではなくて賞状とともに贈呈される。

 年間で一人、二人出るかどうかという超絶貴重な代物となっている。しかもこのVIPは年会費も不要と死ぬ時まで、ずっと無料という大盤振る舞い。さらに条件次第では、その権利を譲り渡すことも可能らしい。ただ公言はされておらず眉唾物となっている。実際に手にした者だけがその真実を知ることができるというわけだ。


 そんな貴重品を四枚も入手している刺賀家とはいったい何者なのか、そのことを考えた時ちょっとだけ寒気がした。


 イベントは佳境に入る。


 赤と青、紫に彩られた鮮やかな十字路。最後の攻撃だと防御を捨てて、スタッフめがけて突撃するゲスト、地べたに座り見守るゲスト。

 案の定、突撃組は全て返り討ちに遭い全身真っ赤になっている。その状態でも果敢に攻め入ろうとするが、一斉射撃により立ち上がる気力を全て削り取られていた。


 そして――貨物列車は右端へと到着して、イベントは終焉を迎えた。

最後まで読んでくれてありがとうございます。


面白いな続きが気になるなと思っていただけましたら、是非ともブックマーク、評価、いいねの方よろしくお願いします。作者の励みになります。

特に★★★★★とかついた日には作者のやる気が天元突破します。


他にも色々と書いておりますので、もしよろしければそちらも一読していただけますと幸いです。

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