↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
銀髪碧眼の美少女暗殺者から「拒否したら心中する」と激重求婚されたので、ひとまず結婚を確定で同棲することになりました。  作者: 虎柄トラ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
42/73

第42話 死屍累々

 ウェアハウスランドの代表格とするエリアは四つ。他のエリアはそれらに付随するようなかたちで、自然と各エリアに含まれるようになった。

 ゲート正面から見て、左手には子供向けのアトラクションがあり、右手にはグッズやレストランなどが数多く常設されている。真っすぐ前進していくと大きな十字路に行きあたる。そこを境に大人向けのエリアに切り替わる。左手には屋内メインの刺激たっぷりなアトラクションが、右手には精神修行かなと思わせる絶叫マシンが数多く備わっている。


 生半可な気持ちで挑むと大変な目に遭うこと請け合い。だからこそ、その刺激を求めずにはいられない。その中毒性と、必ず無傷で生還してやるという熱き想いを抱き、再挑戦すべきゲートを通る。町民の三人に一人は年パス保持者だと、まことしやかに囁かれている。

 倉神町(くらかみちょう)の総人口が三万人なことを考えれば、その三分の一、つまり一万人は保持していることになる。


 さすがに盛りすぎだろと辰爾から聞かされた時は思ったが、いまこうやってパーク内を歩いてみると、あながち噓じゃなさそうな気がしてきた。というか、この空間に滞在すればするほど真実味が出てくる。


 そんな感想を抱きつつ彷徨うこと約三十分、やっと真白たちと合流することができた。


 連絡がつかなかった理由は、アトラクションに夢中で単純に今まで気づかなかったらしい。ただ合流場所を聞いた時は、さすがに耳を疑った。が、そこで再会した真白のひと際にこやかな笑顔を見たことで、心の底から楽しんでいたのが分かった。


 絶叫マシンが蔓延る上級者向けエリア。ウェアハウスランドは奥に行けば行くほど、アトラクションもまたよりスリリングなものが設置されている。

 真白たちが居た場所は、そのなかでも特に魔境とされる最奥。ウェアハウスランドの名物にして、初回はほぼ百パーセントの確率でベンチに転がり死にたいとなる。

 実際にここに来るまでに数多のベンチで、このアトラクションに挑んで力尽きた人々を見てきた。青ざめた顔で遠方を見つめたまま動かない。死屍累々のロードを通り抜ける勇気がある者だけが、たどり着ける場所。


 そのアトラクションの名は、ドゥームコースター。またの名を破滅の道しるべという。急加速急降下を立て続けに行い、内臓が浮き上がる感覚と、内臓が押し潰される感覚を、幾重にも味わわせてくる。縦回転と横回転も止めどなく続き、方向感覚も失う。

 ホームに着いて降りようとすると、膝が言うことを聞かずその場で崩れ落ちる。スタッフの肩を借りて出口へと向かう。その勇姿を温かい目で見送る。そこまでが一連の流れというか様式美となっている。


「博希来るの遅い!」

「そうは言ってもだな、スマホに出なかったのはそっちだろ……で、実弥さんは?」

「あー実弥ならそこで休憩してる」


 真白は右斜めのベンチを指差し答える。そこにはベンチと一体化したかのように仰向けで眠る刺賀姉弟の片割れがいた。ハンカチで顔を覆っているため縁起でもない雰囲気を醸し出しているが、命に別状はなさそうだ。


 顔を合わせるたびに喧嘩腰な態度をとる。姉の無様な姿を笑い飛ばすかと思いきや、その表情からは心配の色が見える。敗者に鞭打つような行為はしない。少しばかり愛情表現がヘタなだけで、どこにでもいる姉弟と何ら変わらない。


「……なあおまえの姉さんってドゥームコースターに乗るの初めてじゃないよな?」

「ああそのはずだぜ。余裕で二桁は乗ってるんじゃねぇかな」

「そんだけ乗ってたら、普通はああはならんよな……あーでも実弥さんって寝不足なんだっけか?」

「いやいやバカ姉が寝不足程度で、ノックダウンすることはねぇよ。一度や二度ぐらいならな……」

「つうことは、あれか? それ以上連続で乗ったってことか……」

「だろうな、連絡がつかなかった時間と、あのツヤツヤな真白ちゃんを見る限り、最低でも五周はしてんじゃねぇかな」


 アトラクションに限らず、大半のものは一回遊んだらまた列に並び直す。ごく当たり前のことなのだが、一部のアトラクションに限り、並び直さなくても連続して遊ぶことが可能となっている。これはVIP特権だからとかじゃなくて、そのアトラクションに対して適正があると、担当スタッフが判断した場合にのみ許可される。


 実弥さんも認められる逸材ではあったが、真白はそれ以上だったということだ。バケモノじみた身体能力を有する真白に、万全な状態じゃないにもかかわらず、ここまで付き合えた時点で称賛に値する。


(名誉の負傷に敬礼……)


 右手を顔横の位置で斜めで固定し目をつむる。五秒ほど行ったところで、目を開けると首を傾げて不思議そうに見つめる真白と目が合った。

最後まで読んでくれてありがとうございます。


面白いな続きが気になるなと思っていただけましたら、是非ともブックマーク、評価、いいねの方よろしくお願いします。作者の励みになります。

特に★★★★★とかついた日には作者のやる気が天元突破します。


他にも色々と書いておりますので、もしよろしければそちらも一読していただけますと幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。