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銀髪碧眼の美少女暗殺者から「拒否したら心中する」と激重求婚されたので、ひとまず結婚を確定で同棲することになりました。  作者: 虎柄トラ


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第33話 今日は何の日

 会社が生まれ変わってから約十日、アットホームな環境で笑顔ニコニコ業務に励む。


 伊咲を筆頭に頼りになる同僚に、真価を発揮した役員の方々。互いに協力し合って今日も今日とて、足踏み揃えて定時退社。


 師走、十二月下旬。今年も残すところあとわずか。毎年この時期になると、博希を含めた一部の社員は交代制で会社に寝泊まりしていた。そうでもしなければ、仕事が終わらないからだ。幸いにもシャワー室や仮眠室などが完備されている。なので、慣れれば存外居心地は悪くない。静まり返った環境ということもあり、昼間よりも断然仕事が捗ると、自ら夜勤業務というなの残業をかって出る社員まで現れるほどだった。


 その一人がバイタリティのバケモノこと伊咲璃奈(いさきりな)である。


「お疲れ様です、倉持先輩」


 いつもの帰宅ルートを歩いていると、背後から声をかけられた。顔を見ずとも即座に誰か特定できる。元気溌剌(げんきはつらつ)すぎる声と、自分のことを先輩呼びする人物など、一人しか思い当たらない。だからこそ頭を傾げてしまう。該当者であるとしたら帰り道がまるっきり逆、反対方向だからだ。


 博希は足を止め振り返る。


「ああお疲れさん。で、伊咲どうした?」

「あの……その……ですね……」


 いつものハキハキした態度が嘘のように俯き何やら口ごもり、両手をすり合わせてモジモジしている。言葉だけじゃなくて行動もおかしい。


(……なんだ? どういうことだ? ま、まさか……伊咲のやつ!?)


 その異常な違和感に博希はピンときた。


「伊咲、もしかしてミスがあったのか……!」

「……は? 何のことでしょう?」

「何か重大なミスが発覚したんだろ! そのことを言い出せなくて、言葉に詰まっていたんだな! そうなんだろ!?」


 博希は伊咲の両肩を掴んで前後に揺さぶり、質問攻めを繰り出す。


「せせせ先輩、違います! 倉持先輩、違いますってミスなんてないです!!」

「どこを見落とした? 詳しいことは会社に戻ってから聞く! 伊咲悪いが付き合ってくれ!!」

「……付き合う……先輩と……はっ!? だから、先輩違いますって! いい加減、自分の話を聞けえぇぇぇ!!」




 ◇◇◇◇◇◇




 経年劣化で遊具が回収されたこともあってか、今では子供ではなくて主にサラリーマンの憩い場として扱われている公園。その一角にあるベンチに博希は座り項垂れていた。


「倉持先輩、少しは頭冷めましたか……?」

「ああ……もう大丈夫だ。伊咲、嫌な思いさせて悪かった」

「いえ先輩を勘違いさせてしまった自分の責任でもあるので、気にしないでください」


 隣で申し訳なさそうに頭を下げる伊咲を見て、博希の頭はさらに深く地へと向かう。


「はあ……おあいこってことで、この話は終わりです。で、ですね……自分が先輩に声をかけたのはですね。今日の予定を聞きたかったんです」

「今日の予定……?」

「はい、本当なら会社にいる時に聞こうと思っていたのですが、聞きそびれてしまいまして、それで今日って暇ですか? あのですね、自分いい店を見つけまして、良ければ一緒にどうかと思いまして? あのその、少し早めの納会的な感じで? で、どうでしょうか先輩?」


 俺の知っている伊咲は、こういった催し物が大の苦手だったはずだ。お金を取り立てられた上に、興味のない人らと無益な時を過ごすとかあり得ない。新年会やら忘年会とかも、強制参加じゃなければ絶対に出席しない。以前、散々愚痴っていたのを覚えている。

 それに対して俺も全くもって同意見なわけだが、そんな彼女が俺を誘ってくれている。先輩として慕ってくれるのは嬉しいけど、いったいどんな心境の変化だろうか。


(今日ってなんか予定あったかな。一応確認してみるか……?)


 真白と一緒に暮らすようになってからというもの、空白だらけだった予定が埋まるようになった。会社と自宅を往復していた生活の名残か、予定表を作っても確認するという習慣ができていない。本当の意味でブラック企業から解放されるまで、もうしばらくかかりそうだ。


 スマホを取り出しロック画面に目を向ける。日時が視界に入った瞬間に、予定表を確認する間もなく今日が何の日か思い出した。決して違えてはいけない大切な日。


(……ヤバい!? 早くケーキを買って帰らないと真白に殺される!!)


 今日が十二月二十五日(クリスマス)じゃなければ、彼女の誘いに応じていた。後輩から初めてのお誘いなんだから、そりゃ受けるに決まっている。


 いや待てよ、この場合は受けない方がいいのか? 先輩後輩の仲とはいえど、男女二人っきりで食事をする。世間体的にあまりよろしくない感じがする。それに焼きもち焼きな真白が、そのことを知ったら……。

最後まで読んでくれてありがとうございます。


面白いな続きが気になるなと思っていただけましたら、是非ともブックマーク、評価、いいねの方よろしくお願いします。作者の励みになります。

特に★★★★★とかついた日には作者のやる気が天元突破します。


他にも色々と書いておりますので、もしよろしければそちらも一読していただけますと幸いです。

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