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銀髪碧眼の美少女暗殺者から「拒否したら心中する」と激重求婚されたので、ひとまず結婚を確定で同棲することになりました。  作者: 虎柄トラ


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第24話 相棒の居場所

 そんな帰宅時のやり取りから早二時間が経過した。


 その間ずっと何をしていたかというと、今朝の続き再戦である。三十戦して十五勝十四敗一引分。辛勝ではあったが、今回も博希に軍配が上がった。ダブルKOによる引分と、三十戦まで制限時間は二時間と事前に決めていなければ、今ごろ勝利の女神は真白に微笑んでいたはずだ。


「危ねぇ危ねぇ……さて、買い物に行くぞ」


 博希は額の汗を拭う素振りをしながらコントローラーを床に置き、外出の身支度をはじめる。その様子をふてぶてしい態度で眺める真白。


「もう一戦もう一戦だけやらない?」

「やりません」

「……買い物から帰ったら、やる?」

「やりません」

「ううううううううう……」


 言葉にもならない言葉を発しながら真白は、渋々コントローラーを手放しゲーム機の電源を落とす。


「そう不機嫌になるなよ。十六時までって前もって決めただろ。それにだな、デリバリーは嫌だって言ったのもそっちだろ」

「そうだけど、そうなんだけどもぉ!」


 リモコンから壊滅的な音が聞こえてくる。


「博希の……ご飯は……つ……」


 泣き叫ぶリモコンと真白の声が重なり、上手く聞き取れない。


「俺のご飯がなんだって?」

「……なんでもにゃい!」

「はぁ……仕方ないやつだな。分かったよ、寝る前に少しだけなら相手をしてやる。それでいいか?」


 三日天下どころか半日天下。次やると確実に勝敗はひっくり返る。予感ではなく予言に近しい確信。それでもレジェンドという昔取った杵柄がある以上、こちらとして簡単に王座を譲る気はない。


「ほ、ほんとそれじゃ……いや、大丈夫。早く買い出しに行こ、博希」

「えっ……ああ……」


 ゲーム熱が急激に冷めていく。燃え上がっているのがバカらしい気がしてきた。向こうから誘ってきたのになぜWHY? そんな疑問が頭に浮かぶが、決して口には出さない。せっかく買い物に行く気になってくれたというのに、それを削ぐような言動は控えないと。


「なにやってんの置いてくよぉ~」

「あっと十秒……!」


 あれほど熱望していたのが嘘のように見向きもしない。机上のリモコンを無造作に掴み電源ボタンを押すと、勢いそのままに真白は手早くお出かけの準備を終える。エコバッグをいくつかポケットに収納して玄関棚から鍵を回収。ドアノブに手をかけて、あとは相手()の準備が整うのを待つばかりとなっていた。


 急に梯子を外してきた真白に戸惑いつつも博希は、財布とスマホを確認したのち最後にコートを羽織る。ゲームをしていたとはいえ二時間休憩したことで、少なからず体力は回復していた。買い物をするぐらいなら支障はないはずだ。ただ踏ん張ろうとすると、小鹿が顔を覗かしてくる点だけは注意が必要かもしれん。

 そんなこんなで急かされるように戸締りをして部屋を出る。先を行く真白越しに階段が視界に入る。そこまではまだ全然余裕イケると思っていた。自分の考えがどれほど浅はかなものだったのか、スーパーの帰りに痛感することになる。




 ◇◇◇◇◇◇




「ぜぇはぁ……ぜぇぜぇ……きっつぃ……」

「博希だらしない、もう少し体力をつけることを勧める」

「うっさいわ……と言いたいところだが、確かにそうかも……」

「しかたないな~博希は休んでていいよ。あとは私がやっておく」

「ああ悪いな、ちょっと休憩させてもらうよ」


 玄関ホールに買い物袋を置き、ゾンビのように足を引きずりながら居間に向かう。昨夜同様にベッドに背を預けて座りテレビを点ける。その際、壁に手を沿わせて移動したことや、座る時には腰が砕けるように滑り落ちた。


「…………」


 階段の上り下りやらで乳酸が溜まりに溜まった両脚。パンパンに食材が入った袋が地面に擦れないように持ち上げ続けた両腕。四肢が気だるく鉛のように重たい。真白と追いかけっこした時に、筋肉痛になることは覚悟していたけど、ここまでだと明日の仕事、いや通勤するだけでも一苦労かもしれない。


 国民的アニメをぼんやりと眺めていた博希は、ふとキッチンに視線を移した。鼻歌を歌いながら楽しそうに食材を冷蔵庫に入れる真白の姿が映った。感謝とともに愛らしい姿に自然と笑みをこぼすところだが、その感情はすぐさま返却となる。


「……えっあの何をしている?」

「なにって見てわかんない? 冷蔵庫のスペースを空けてるんだけど?」


 博希の問いに真白は首を傾げて聞き返す。


「いやだから……あーなんでもない。好きにしてください……」

「……そぉ? 変な博希。これ終わったらご飯作るからね」

「ああはい、よろしくお願いします」


 真白の手により、次々と冷蔵庫のスペースが空いていく。それはつまり冷蔵庫を占領していたエナドリたちがポイポイと外に放り出されることを意味していた。

 もしここで反論の一つでも口走ろうものならエナドリ(彼ら)は容赦なく破棄される。そのことを直感的に理解した博希は、貝のように口を閉ざし行く末を見守るしかなかった。

最後まで読んでくれてありがとうございます。


面白いな続きが気になるなと思っていただけましたら、是非ともブックマーク、評価、いいねの方よろしくお願いします。作者の励みになります。

特に★★★★★とかついた日には作者のやる気が天元突破します。


他にも色々と書いておりますので、もしよろしければそちらも一読していただけますと幸いです。

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