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銀髪碧眼の美少女暗殺者から「拒否したら心中する」と激重求婚されたので、ひとまず結婚を確定で同棲することになりました。  作者: 虎柄トラ


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第21話 見ているだけで胃もたれ

 ガッツリと食事がしたい博希にとっては、その選択肢は存在しないものだった。だが、真白はこれまでにないぐらいに目を輝かせている。展示ガラスは彼女の指紋でベタベタとなっており、媒体によっては、この後ホラー的な展開が待っていたとしても何ら不思議じゃない。


(糖分補給もしたいっちゃしたいが……)


 今日は彼女が食べたい物を一緒に食べる。部屋を出た時から心に誓っていた博希に逃走という二文字はなかった。死地に赴く武士のごとく固い決意を胸に話しかける。


「真白どれにするか決めたか?」

「……いいの?」

「そんな状態でよく言うよ。とりあえず店に入ろう、ここにいると他の人にも迷惑がかかる」

「わかった。ありがとう、博希」

「感謝されるいわれなどないけどな」


 入店し空いている席に座りメニュー表を開く。


 ページをめくってもめくってもめくっても、しょっぱい物は見る影もなく甘い物が延々と載っている。


 フライドポテトの一つでもあれば、まだ何とかなると踏んでいた博希にとって、その事実は受け入れがたいものであった。それでも心が折れることは決してなかった。神々しく煌めく碧眼を右へ左と動かして、どれを注文するか悩む彼女を特等席で堪能できる。その貴重な時間を台無しになどできようものか。


 その揺るがぬ意志が予期せぬ結果を生むことになる。


(はぁ――俺の嫁マァジかあーい……)


 実弥によって気づかされた真白に対する想い。睡眠不足や糖分の不足による影響、提示されるメニューの脅威、それらが博希の精神を徐々に蝕んでいく。

 そして最終的には、考えるのをやめて本能に従うようになる。その本能がよりにもよって、真白が発症していた好き好き脳であった。




 スイーツとはなぜにこうも女性を魅了するのだろうか。空腹だったはずなのに、対面に座る少女の食べっぷりを見て、食欲はいずこかへと消えた。テーブルには空のグラスが六個……もうそろそろ七個になりそうである。


(どこにそんだけ入るんだろうか……)


 博希は優雅にコーヒーを啜りながら一心不乱にパフェに挑む、その雄姿を静観する。


 メニュー表の一番後ろにドリンクが載っていた。ほとんど甘い物ばかりではあったが、その中にコーヒーを見つけた時は心が躍った。二杯目以降はともかく一杯目のみ大量にミルクと砂糖が入っていた。無意識に大量投下していたらしい。ただそのおかげで正気を取り戻すことができた。


 スイーツを食べることはあるが、それでもコンビニに売っているような小さめの物で充分だ。逆にそれ以上食べるとなると、ブラックコーヒーなど苦い飲み物がお供にいないと辛い。現在進行形で真白が口いっぱいに頬張っている二十センチ級のパフェなどもってのほかだ。


 食欲が衰えるどころか、さらに速度を増してパフェをかっ込んでいる。もうそろそろ七個目も終わりそうだ。スプーンでパフェをすくい取り口に運ぶ、その一連の動作を維持したまま視線だけはメニュー表に向いている。


(まだおかわりする……だと……)


 暖房が効いているとはいえ、温かい飲み物を一滴も口にせずに真白はパフェを食らい続けている。身体は冷えないのだろうか、お腹は痛くないのだろうか。後半の方になるにつれて驚愕よりも心配が先にくる。


 エナドリ中毒者は親御さん目線で暴食少女を静かに見守る。


 その表情が真白からは物欲しそうな顔に見えたらしく、ウエハースを一本だけ恵んでくれた。定番の『あ~ん』スタイルではあったが、博希は差し出されたウエハースを躊躇いなくかぶりつく。

 内心バクバクではあったが、真白に悟られたくない一心で冷静を装った。彼女は何やら不満そうな顔をしていたが、パフェを一口食べるとすぐ笑顔に戻っていた。


 結局、博希が昼食として口にした物はホットコーヒーとそのウエハース一本のみだった。真白は十杯という二桁に到達していた。グラスパフェがテーブルを占領する様は、圧巻の一言だった。


 雀の涙ほどの食事を終えた博希は、顔がテカテカになった真白を連れて一階に向かう。百均ショップやドラッグストアで必要な日用品を買い揃える。彼女は「これじゃない、こっち」などと呟きながら買い物カゴに次々と商品を入れていく。迷っている割には決め打ちしたかのような買い方に、どこか違和感を覚えたが、それが何のなのかまでは掴めなかった。


 買い物自体は真白の即買いにより、それほど時間もかけずに終わった。ただレジ袋に商品を詰め込んでいる時になって、ようやく博希はその違和感の正体を掴んだ。

 真白が選んだ食器は、全て博希が使用している同型の色違い。気づかぬうちに夫婦仲良しお揃いセットが完成していた。

最後まで読んでくれてありがとうございます。


面白いな続きが気になるなと思っていただけましたら、是非ともブックマーク、評価、いいねの方よろしくお願いします。作者の励みになります。

特に★★★★★とかついた日には作者のやる気が天元突破します。


他にも色々と書いておりますので、もしよろしければそちらも一読していただけますと幸いです。

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