↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
銀髪碧眼の美少女暗殺者から「拒否したら心中する」と激重求婚されたので、ひとまず結婚を確定で同棲することになりました。  作者: 虎柄トラ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
20/39

第20話 暗殺者の好きな食べ物

 正面奥の店も人が来ないように臨時休業させていたようで、いつも開いている扉が閉じていた。徒歩で向かっている途中で、ガラス越しから辰爾が店奥から出てくるのが見えた。どうやら通常営業に戻ったらしい。真白の姿はここからだと見えない。カリスマ店長がよく言っている乙女の楽園とやらに、まだ滞在しているのだろうか。


 博希は駆け足で辰爾に近寄り声をかける。


「お~いカリスマ店長。完全なる調和(トータルコーデ)はできたか?」

「もっちの論よ! そっちもバカ姉の暴走を止めてくれてありがとうな」

「あーそのことで話がある。おまえが気づいたように、あの人も気づいていたよ。それを言われた時、マジで焦ったけどな」

「へぇ~あの人が気づくって相当だぞ? おまえ、よっぽど楽しそうに話してたんだろうな。まあそれはまた今度詳しく聞くわ。それよりも真白ちゃんが待ってるから、ちょっと呼んでくる」

「ちょい待ち! ありがとうな辰爾マジで助かった!」


 博希は店内に戻ろうとする辰爾を呼び止める。両手で握手を彼の手を包み込むように感謝しながら代金を握らせる。


「おぅ、すっげぇ仰々しいな。つうか、それぐらい感情を出せるんなら真白ちゃんの前でもそれやれよ。反応が薄いとか愚痴ってたぞ……」

「それはできん……なんか負けた気がして嫌だ」

「そういうとこ子供だよな、おまえ。まあいいや、毎度あり」


 辰爾はそう言い残し店内に消えていった。しばらくすると、真白が退店してきたのだが予想外の姿に言葉を失った。


 真白は別れる前と何ら変わらない、いつもの真っ白な服装だった。ぶかぶかパーカーに裾の折れたデニム、中敷きまで白いスニーカー。長い髪もフードを被る際に一纏めにして仕舞い込んでいる。

 てっきり辰爾が見繕った衣装に身を包んだ姿で登場すると思っていた。その博希の淡い期待は脆くも崩れ去った。だが、同時に変わらぬ姿に安堵する我儘な自分もいた。


「博希用事は終わった? 手ぶらだけど買い物はできたの?」


 何事もなかったかのように真白は話しかけてきた。彼女も何も持っていないし、その背後にいるカリスマ店長もまた素手で紙袋の一つも手にしていない。


「できたぞ、スーツは配送してもらう。そっちも手ぶらってことは……」


 辰爾に視線を向けると、肯定の意思表示としてサムズアップしてきた。彼もまた姉と同じように機転を利かせくれたようだ。


 二人は最高の買い物を満喫すると、少し早い昼食を取るために三階に向かうことにした。その際、別れ際に真白は辰爾から何やら助言を受けていた。耳打ちのためほとんど聞き取れなかったが、彼女が大きく何度も首を縦に振っていた。悪巧みをする気満々なようだ。


 気概に満ちた暗殺者が何をしでかすか、今から楽しみでしょうがない。向こうがその気ならこっちもそれ相応の武器を用意するしかない。問題は本人に気づかれないようにどうやって入手するか。


 策を講じようにも頭が上手く回らない。まずは糖分を、栄養を摂取しないと何も始まらない。


 休憩なしにぶっ通しでカロリーの高い会話をしたことで、博希の空腹は限界に近かった。このすきっ腹でエナドリ飲んだら効くだろうなという愚考が、健全な思考を破竹の勢いで侵略してくる程度にはエネルギー不足に陥っていた。


 三階は飲食店フロアとなっている。空調により空気を流れを制御していることで、各店舗からの多彩な料理の匂いが混ざるないように工夫がされている。


 今日は真白の誕生日ということもあり彼女が食べたい物にしようと思ったのだが、彼女は特に食事に興味がなかった。料理が上手かったのは、好き嫌いの多い師匠にバランスの良い食事をとってもらうために、腕を磨き続けた賜物であった。

 真白にとって食事とは栄養さえ摂取できれば、毎日兵糧丸でもいいぐらいのどうでもいい作業の一つでしかなかった。


 真白を連れて各店舗の展示されている食品サンプルを見て回ったが、やはりいま一つピンとこないようで、どれを見ても興味なさそうにしていた。


 博希が揚げ物の揚がる音と油の匂いによるコンボに苦悩しているのに対して、真白は機械仕掛けのように一定距離進んでは停止して、また進むという動作を繰り返していた。


 ただその中で唯一、窓に顔をへばり付けて凝視する食べ物があった。グラスにコーンフレークやカラフルなゼリーにウエハース、フルーツ、アイスクリームやホイップクリーム。色鮮やかにデコレーションされた、あのスイーツであった。


 パフェ専門店の前で真白の足がピタリと止まる――。

最後まで読んでくれてありがとうございます。


面白いな続きが気になるなと思っていただけましたら、是非ともブックマーク、評価、いいねの方よろしくお願いします。作者の励みになります。

特に★★★★★とかついた日には作者のやる気が天元突破します。


他にも色々と書いておりますので、もしよろしければそちらも一読していただけますと幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。