本当にあったギャラクシーな話3 夢で逢えたら
本当にあったギャラクシーな話 夢で逢えたら
俺はもうとっくに卒業して就職もしているはずなのだが、その場所は学校の教室だった。実際に通った教室か、はたまたテレビか何かで見た教室か、それは解らない。黒板があり机が並んでいて…制服姿の男女がワチャワチャとしている。つまり、漠然と「記号としての教室」だ。よく見るとクラスの面子は高校と中学のクラスメイトががごちゃ混ぜ、小学校の頃の友人と思われる顔ぶれもあるが、相応に歳をとって周囲に溶けこんでいる。つまり、漠然と「俺が今通っている学校」なのだろう。俺は状況が掴めないまま、つまらなそうに机に向っていた。ふと、声がかけられ、顔を上げる。ショートカットの小柄な女子が立っていた。周囲の面々とは違い、この子だけは名前が解らなかった。この子は誰だろう?そんな俺の思いにまったく気づかない様子で、少女は親しげに話しかけてくる…。『キミはいったい……』
ここで目が覚めた。
神崎利道は勤めの警備会社からヘッドハントされて関連企業である本天球儀警備保障という宇宙人専門の警備会社に移籍してからというもの、
毎晩同じような夢を見るという不思議な体験に頭を悩ませていた。
悪い夢ではない。悪い夢ではないのだが…。あの子は誰なんだろう?思い出せないがクラスメイトだったのか?いや、そんなはずはない。
そんなもやもやする日々がしばらく続いたある日。出社すると、オフィスで美月がなにやら騒いでいる。「通販でこんな機械買ったんだけどさー、ダメなのよね。やっぱ、宇宙人の機械は地球人には合わないのかねぇ?」
「合わないのかねぇ?って、買う前に確認しろよ」
東郷が面倒くさそうにあしらっている。
「一応、英語の説明も書いてあったからいけると思ったのよ」
「それならいけるんじゃないか?普通」
そんな会話が耳に入り、神崎も話に割ってはいる。
「美月、お前今日は仕事非番だろ?なにやってんだ?」
「いいじゃない、暇なんだから。それよりさ、この機械使えないんだけど、壊れてるのかな?返品きくと思う?」
「なんだよ、この変なのは…」
「夢を共有する機械」
どう見てもそばがらの枕にしか見えないそれを抱えながら力説する。
「はぁ?なんでまたこんな変なのを…」
「夢の中で撮影会やろうと思ったのよ。ほら、夢の中ならスタジオ代も衣装代もタダじゃない。ファンサービスよ」
「ファンなんて居たのか?」
痛い所を突かれて少し機嫌が悪くなる。
「うっさいわね。いいから見てみてよ」
そういって、投げるように押し付けられる。
「へいへい」
まずは取説を軽く確認する。意外にも判りやすい図説付きで難しい単語も使われてはいない。
「なぁ、美月。ターゲット設定したか?」
「なにそれ」
「なにそれって…説明書読めよ」
「えー、ハイテク機械ってボタン1個ポチッとで動くんじゃないの?」
「どこのお婆ちゃんですか、その発言…」
仕方なく現在の設定を調べて読み取ることにする。
「えーと今の設定は、と。え?俺の部屋?て事は俺か。それともう一箇所は…。病院?行ってみるか」
その後、毎晩のように美月の機械が神崎と誰かの夢を繋いでいたことが判明。神崎がその相手を探すと、
夢の相手は、怪我は治っているのに意識が戻らない少女だと言う。みなし公務員の警察権限を使って病室に入ってみると、確かに年を取って大人にはなっているが、夢の中の少女の面影がある女性がいた。とはいえ、自分だって夢の中とは違う大人なのだから良いではないか。
美月に頼んで、また夢で逢うことにする。
俺は目の前にいるから目を覚ませと伝えるために。
そして次の夜。夢の中で神崎は再び少女と出会った。
互いに学生の姿で2人話し込む。
でほかの生徒はほとんどが帰ってしまった夕日の差し込む放課後の教室で、話がしっとりしてきたところで、神崎は突然空気銃で後ろから撃たれる。
「いってぇ!」
振り向くと、プロテクターとバイザーで完全武装した美月がエアガン片手にニヤニヤっと笑っていた。「いってぇ、美月…なにやってんだ、お前は」
「サバイバルゲームよ。夢ならやり放題とか言って、なんか隊長が盛り上がっちゃってさぁ。あんたも連れて来いってさ」
「はぁ?」
訝しげな顔を向ける神崎の前に次々と同僚が姿を現す。
「ほら、行くぞ」
「やってみると案外楽しいですよ!」
「ワン」
「大人しくやられてミィのスコアになるがいいのさ!」
「て?おい!東條さん。あんたは陸自で訓練受けて本物射ってた人だろう」
「わはは。それがどうした」
「ズルいだろうが!」
「本格的な訓練をつけてやろうか?」
「いらねーよぉ」
半泣きで拒否をする。
「さぁ、キミも一緒に行こうよ」
美月が少女に笑顔を向ける。
最初は面食らったような顔をしていたが、突然吹き出す。
「アハハハ、いいわ。楽しそうね」
「それじゃあ、チーム分けして散開だ。油断するんじゃねーぞ」
「東郷くんが張り切っているから、東郷くんvsその他でも良いんじゃないかなぁ」
「課長、そりゃないですよ。自分だって元自衛官じゃないですか」
「そんな昔のことを言われてもだねぇ。もうノーカンだよ」
飄々とかわしてしまう。
その後どうなったのかというと 、眠り姫は目を覚まし、神埼とちょっとだけいい感じになったという。
夢の中で遊べる機械はヘビーローテーションで活躍し、毎晩明け方まで遊びまくった結果。
夢の中で遊んでいると寝た気がしなくて疲れるという理由で、その機械は1週間後押入れに封印された。
押し入れの奥にひっそりと、そば殻枕。なんだか一周回って落ち着いたとか。
小咄第3弾です。
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