本当にあったギャラクシーな話 4 狩りの名手
本当にあったギャラクシーな話 狩りの名手
「おあよー、キャバ嬢」東区と墨田区の境にある、小さなオフィスビルの1階にある日本天球儀警備保障のオフィスに出勤してきたロシアンブルー…ミィが、大あくびをしながら受付のキャバ嬢に声をかける。「おはようございます、ミィさん。眠そうですね」「んあー。徹夜しちゃってさー」「お仕事ですか?」「いんや、ゲーム。いいにゃー、ワンコはこんな時間からお昼ねかぃ?」恨めしそうにつぶやき、とてとてっとキャバ嬢の足元で丸くなるキャバリアに近づいて
「にゃー にゃーん」
と耳元で囁く。
「!!」
ミィの声に反応してむくっと起き上がるもちゃ。ひょいっと、受付テーブルに上って逃げるミィ。
「ふひひ。耳元まで近寄られるなんてまだまだ甘いですにゃぁ」
悪戯っぽく笑いながら、テーブルの隅からしっぽを垂らしてフリフリと振る。
「わうっわうっ」
こっちもこっちで、しっぽをパタパタ振りながらしっぽに飛びつこうと二本足でぴょんぴょん飛び跳ねる。「ふひひ。つかまえてごらんなさーい?」
「わうっわうっ」
「うきゃっ!痛い」
「わふー」
「きゃっ、ミィさんのしっぽ食べちゃダメですっ」
キャバ嬢の声を余所に、誇らしげにミィのしっぽを咥えてぶら下がるワンコ。
「このぉ~」
ドロン!
「うりゃうりゃうりゃー、まいったかー」
人の姿になったミィが、足でワンコのお腹を撫でる。「ハッハッ♪」参ったのポーズでしっぽをブンブン振るもちゃ。
「こらっ!ミィ!!」
「うにゃ!?
」馴染みの声に怒られて硬直したミィが恐る恐る振り向くと、美月が鬼の形相で立っていた。
「あんた、朝っぱらからそんな恥ずかしい格好で何やってんのよ…」「美月、いつからそこに」
「ついさっき」
シュルルン
「待ちなさい!」
猫の姿に戻って逃げようとするミィの首根っこを掴んで捕まえる。
「受付なんて人目に付くトコに出るならちゃんと服着てきなさいよ」「だいじょうぶだよ。ミィの野生のカンで誰か来る前に猫に戻るもーん」
「あたしに不覚取っておいて何偉そうに言ってるの」
「それは…それは、美月に存在感が無いから悪いんだよ」
「はぁ?」
「ほーんと、美月って
存在感無いよねー。そんなんだからいつまでたっても売れない…
痛ーい!」ポカリと美月に叩かれ
て頭を押さえるミィ。「あんたが鈍いだけでしょーが!!バカ言ってないで、さっさと自分の席行きなさい!」言い放って、ぽいっとミィを放り投げる。「もぉ、キャバ嬢もニコニコ見てないで、あのバカ猫止めてよね」「あ、はぁ。あまりにも楽しそうでしたので、つい」「はぅぅ、緊張感無いなぁ」額に指をあて、ため息をつく美月。
と、「わふっ」というワンコの声に呼ばれ振り向く。
「ん?どうした、のぉぉおっ!?」
見ると、ミィの首根っこを咥えたもちゃが「褒めて褒めて?」と言わんばかりに。いや、もしかしたら「もう一回投げて?」かもしれないが…とにかく目をキラキラさせて美月をじっと見つめていた。
「ミィ…なにやってるの?」
ごく当たり前の質問に、ミィはばつが悪そうにもちゃに咥えられたままの姿で「てへ、ダイビンキャッチされちった…」
とだけポツリと言って目を逸らした。
それからしばらく、美月が
ミィを放り投げる。モチャが空中でくわえて戻ってくる。と言う遊びが流行ったのだが、ミィの名誉的にそれはミィでは無く犬用あみぐるみだった事にされた。




