表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/4

第3章「カリーナのために戦え」

2028年2月21日 04:23 ザポリージャ州


夜はゆっくりと去っていった。


東の空が明るくなり始めていた――夜明けではまだなく、ただ灰色になり、闇を失っていくだけだった。ヴィタリーは塹壕の縁に座って双眼鏡を覗いていた。何も動いていなかった。野原、遠くの防風林、左手の壊れた道路。昨日と同じ。一昨日と同じ。


隣にプリズラークが座っていた――胸壁に背を向け、膝の上に自動小銃、目を閉じて。眠っているのか休んでいるだけなのか、ヴィタリーにはわからなかった。プリズラークというのはそもそもわかりにくい男だった。


三時間前、ヴィタリーが第四中隊から増援として来たときに知り合った。プリズラークは「よう」と言って、それきり一言も話さなかった。それでよかった。前線では言葉がいつも必要なわけじゃない。


ヴィタリーは双眼鏡を下ろした。目をこすった。アガタのことを考えた――今ごろ学校にいる、ポーランドで、遠くに。最後に会ったのは三月だった。大きくなっていた。もっと真剣な顔になっていた。そのことを彼女には言わなかった――大きくなったねとは言わず、ただ見ていて、夕方ずっとそのことを考えていた。


昨日電話すればよかった。しなかった――交代があって、疲れて、番号を押す前に寝てしまった。


今夜電話する。


塹壕の中に足音。ヴィタリーが振り返った。


シュラムが腰を屈めて歩いてきた――習慣で、撃っていないときでも。背が高く、がっしりしていて、左の頬に傷跡があった。それが彼のコールサインになった傷跡だった。観測所のそばで止まって、二人を見た。


「よう、プリズラーク。」


プリズラークが目を開けた。「敬礼します、中尉。」


シュラムが顔をしかめた。「その堅苦しさはいい加減にしろ。」


「シュラム。」プリズラークが少し姿勢を正した。「外出休暇を申請したい。非公式で。出た後で。」


シュラムが彼を見た。「お前、ついこの間家に帰ったじゃねえか。また何だ。」


「必要なんだ。」


シュラムは一瞬黙った。それから手を振った。「好きなとこ行けや。」ヴィタリーの方を向いた。「お前がヴィタリーか。」


「そうです。」ヴィタリーが立ち上がった。「第四中隊の軍曹。増援として参りました。」


「コールサインは?」


「アーチェル。」


シュラムが頷いた。タバコの箱を取り出した。「吸うか?」


「吸いません。」


「それはいい。」シュラムが火をつけた。煙を横に吐いた。野原を見た。「今日は静かだな。」


「四時から静かです」とヴィタリーが言った。


「それは悪い。」シュラムが一口吸った。「静かなときは待て。」


ヴィタリーはまた双眼鏡を上げた。野原。防風林。壊れた道路。何も動かない。東の空はもう少し明るくなっていた――灰色が汚れた白へと変わっていた。


今夜アガタに電話する、と彼は思った。何もかも大丈夫だと伝える。彼女は「大丈夫」という言葉が嫌いだ――何も意味しないと言う。じゃあ具体的なことを言おう。今日は静かだったと。昨日防風林のそばでウサギを見たと。もうすぐローテーションだと。


三月に会いに行くと。


その考えを最後まで思い切る前に、風切り音が来た。


三人とも同時に身を屈めた――体が勝手に、脳が理解する前に。爆発が後ろを叩いた――地面が揺れ、耳が痛くなり、胸壁から土が降ってきた。


一秒の沈黙。


シュラムはもう無線機を握っていた。


「レドゥート、シュラムより呼ぶ。」


雑音。それから声。「レドゥート、どうぞ。」


「始まった。」


「了解。」


シュラムがチャンネルを切り替えた。声が変わった――硬く、抑揚なく、他の全てがもうどうでもいいときの声になった。


「全員戦闘配置。戦闘用意。」


二発目がより近くに落ちた。


ヴィタリーはもう自動小銃を持って立っていた。隣でプリズラークが音もなく素早く動いた――疲れも、寒い塹壕での三時間も感じさせなかった。シュラムがタバコを泥に投げた。


一分前まで静かだった朝が、火薬のにおいで満たされた。向こう側からの射撃。近くと遠くの爆発。無線機の怒鳴り声。誰かが座標を報告している。


ヴィタリーは自動小銃を上げて野原を見た。


防風林の方から来ていた。


2028年2月21日 09:47 ザポリージャ州


五時間。


戦闘中は時間を数えなかった――数える余裕がなかった。弾倉を数え、遮蔽物までの距離を数え、どこから撃っているか判断するために爆発の間の秒数を数えた。時間を数える余裕はなかった。


今は静かだった。


敵は引いた――退却ではなく、引いたのだ。寄せては返す波のように、また来る。ヴィタリーにはわかっていた。みんなわかっていた。だから誰もそれほど喜ばなかった。


彼は胸壁にもたれて弾倉を交換していた。手が勝手に動いた。耳にはまだ音が残っていた――強くはなく、ただ低い背景雑音として、慣れるのが望ましくないほど早く慣れてしまうやつ。プリズラークが隣に座って野原を見ていた。シュラムが無線機のそばに立っていた。


二十分ほど静寂が続いた。


それから無線機が動いた。


「シュラム、レドゥートより。」


シュラムが無線機を取った。「どうぞ。」


「集めろ。お前らを第六中隊と交代させる。」


間があった。


「了解」とシュラムが言った。


無線機を置いた。一瞬立っていた。それからぽつりと、自分に言い聞かせるように:


「くそ。野郎ども。野郎どもが。」


ヴィタリーが彼を見た。「何があった?」


「交代だ。」


「それの何が悪い?」


プリズラークが顔を向けた。表情なく、ヴィタリーを見た。「俺たちは今日来たばかりだ。俺たちの小隊はいつもどこかの肉挽き機に放り込まれる。」少し間を置いた。「お前が俺たちの増援に来たのは、第一中隊からもう五人しか残ってないからだ。」


ヴィタリーは答えなかった。


シュラムが吸い殻を泥に投げた。「うんざりだ。」


ヴィタリーは野原を見た。防風林は静かに立っていた。爆発の煙はもう散っていた――残ったのは匂いだけだった、酸っぱく重い、服に染み込んで抜けない匂い。


「突撃なら」とヴィタリーが言った、「行かない。」


シュラムが彼を見た。長く。それから肩をすくめた。「拒否書類に署名して、好きなとこ行けや。」


振り向かずに観測所を出ていった。


第六中隊は十五分後に来た。三人が若く、一人はまったく若かった――二十歳以下に見えた。最初に来た一人が観測所に入って見回した。


「よう、みんな。」


「よう」とヴィタリーが言った。


「交代に来た。第六中隊。」


「わかってる。」


彼らは無言で引き継ぎをした――どこに何があるか、死角はどこか、最後にどこから着弾したか。若い一人がノートに書き込んでいた。ヴィタリーは彼を見て、一年前の自分もそうだったと思った――全部書き留めて、全部が怖くて、怖いのを見せまいとしていた。


テーブルの無線機が別の声で喋り始めた。


「第一中隊、北方向に前進。」


ヴィタリーが自動小銃を取った。


彼らは防風林沿いを歩いた、六人、各自二十メートルの間隔で。地面は夜の後で濡れていて、泥になっていた。足が沈んだ。シュラムが先頭、プリズラークが殿。ヴィタリーは三番目だった。


アガタのことを考えた。


今夜電話する。北方向の後で。ウサギの話をする――昨朝防風林のそばで見た、小さくて茶色っぽい、塹壕を品定めでもするように座って見ていた。面白かった。アガタはこういう話が好きだ。


必ず電話する。


北方向は地面に埋まった掩蔽壕だった、防風林から半キロほど先に、低く、アンテナを屋根に立てて。中は狭くて煙草臭かった。少佐がテーブルの地図の前に立っていて、隣に大佐。壁に数人の兵士。テーブルにはノートパソコンと平板端末、ケーブル、無線機。


少佐がシュラムを見た。


「シュラム。お前たちの防風林の前の集落を制圧する必要がある。」


シュラムが止まった。「六人で?」


「違う。」少佐が地図を指した。「お前たちの任務は集落右の防風林を確保して陣地を固めることだ。第二中隊が左から動く――三台のBMPで集落に突入する。お前たちは防風林から撃たれないよう彼らをカバーするだけだ。」


「集落には入らないのか?」


「今のところは入らない。防風林だけだ。第二中隊が前進したら、道路右側からの動きを監視しながらそこに留まれ。」少佐が少し間を置いた。「RPGとその弾頭を持っていけ。シュメル二発やれる。」


シュラムは地図を見た。「防風林には最低十七人はいる。」


「防風林と集落にはクラスター爆弾を撃ち込む。お前たちが出る前にFPVドローンも動く。」


シュラムは数秒黙った。防風林を見ていた、地図上で、集落の右に、道路に、陣地の印に。


「了解。」


彼らは計画を確認した。少佐がセクター、出発時刻、合図を説明した。ヴィタリーは聞きながら地図を見た。防風林は小さかった――長さ三百メートルほど、農道沿いに木が並んでいた。右に開けた野原。左に集落。


防風林に十七人。最低でも。


シュラムが彼を振り向いた。


「お前は拒否か?」


ヴィタリーは地図を見た。それからシュラムを見た。


「突撃に行く。」


シュラムが頷いた。「じゃあ準備しろ。」


2028年2月21日 11:23 ザポリージャ州


隣の掩蔽壕は低くて暗かった。土と軽油のにおいがした。マルチカムに青い腕章をつけた三人の兵士が黙って、慣れた手つきで、それぞれの装備を準備していた。


プリズラークが入口に止まった。


「準備できてるか?」


一人が顔を上げた。「今やってる。」


「ああ、そうだ。」プリズラークがヴィタリーの方に頷いた。「紹介する。ヴィタリー、コールサインはアーチェル。」


ヴィタリーが前に出た。「よう、みんな。」


最初に顔を上げた男が手を伸ばした。「俺はアンドリー、コールサインはヴォロン。」横に頷いた。「あそこはセルヒー、コールサインはオメガ。あっちはマクスィム、コールサインはアルファ。」


「よろしく」とヴィタリーが言った。


彼らは黙って準備した。ヴィタリーは弾倉を確認した――満タンが四つ、使いかけが一つ。防弾チョッキの肩紐を締めた。止血帯の位置を確かめた。ポケットから写真を見つけた――アガタとマリナが海辺で、夏、二人とも笑っている。戻した。


二時間後、シュラムが掩蔽壕に入ってきた。


「全員準備完了。」


沈黙が返事だった。


「俺についてこい。」


M777榴弾砲は防風林の後ろ五キロのところに陣取っていた。砲班が素早く動いていた――余計な言葉も動きもなく。砲身がゆっくりと正確に上がった。


照準手が叫んだ。「準備完了。目標二三二。」


二番手が叫んだ。「三〇〇。三〇。三。撃て。」


発射の衝撃がここまで耳を叩いた。


ピックアップトラックが防風林沿いを走った。ヴィタリーは荷台の縁に座って前を見ていた。五キロ後方で轟いていた――砲撃、爆発、何か重いものが前方の陣地を叩いていた。地面が細かく絶え間なく揺れた、まるで生きているみたいに。


ピックアップが二つの防風林の境目で止まった。


シュラムが叫んだ。「降りろ。」


彼らは荷台から素早く飛び降り、腰を屈めながら。防風林に散った。ここの木は疎らで、地面は古い塹壕で掘り起こされていて、前方のどこかで掩蔽壕が黒く見えていた。


ヴォロンとオメガが先に行った。十五メートル後にアルファとプリズラーク。さらに十五メートル後にシュラムとヴィタリーが殿を務めた。


ヴィタリーは歩きながら前を見た。何も考えなかった。それが正しかった――突撃中は何も考えないのが唯一の考え方だ。


ヴォロンの叫びが静寂を引き裂いた。「接触、二時方向。」


射撃。すぐに両側から、大量に、ばらばらに。ヴィタリーは木の後ろに倒れ込んだ。樹皮が顔から一センチのところで砕けた。転がって、弾痕の中に隠れて、覗き込んだ。


前方でヴォロンとオメガが塹壕に飛び込んだ。向こう側から誰かが飛びかかってきた――ロシア兵、若い、EMR迷彩に赤い腕章。ヴォロンが連射した。兵士が倒れて叫んだ。オメガが飛び込んで止めを刺した。


彼らはさらに塹壕を進んだ。


アルファが塹壕に飛び込んだ。シュラムが続いた。


シュラムが振り向かずに叫んだ。「プリズラーク。アーチェル。上から進め。カバーしろ。」


プリズラーク。「了解。」


彼らは塹壕の上を木々の間を腰を屈めながら進んだ。ヴィタリーが左翼、プリズラークが右翼。射撃が減った。防風林はほぼ制圧されていた、前方にあと二百、せいぜい三百メートル残っていた。足元の地面は血で黒くなっていた。遺体は倒れた場所に転がっていた。


プリズラークが止まった。


拳を上げた。ヴィタリーが止まった。


前方右手に、地面に埋まった掩蔽壕があった――ドアが閉まって、隙間から明かりが漏れていた。


プリズラークが小声で。「右に掩蔽壕。カバーしろ。」


「了解」とヴィタリーが言った。


木の後ろに陣地を取った。プリズラークが身を屈めて素早く、静かに掩蔽壕へ向かうのを監視した――地面を踏んでいるはずなのに音がしなかった。ドアのそばで止まった。手榴弾を取り出した。


ピン。ドア。投擲。


爆発。中で叫び声。


二発目の手榴弾。


爆発。叫び声が止んだ。


プリズラーク。「アーチェル。入れ。」


ヴィタリーが近づいた。腰を屈めて掩蔽壕に入った。


遺体が二つ。若い――EMR迷彩、赤い腕章。一人は壁のそばに、もう一人はテーブルのそばに。テーブルの上に無線機、地図、まだ冷めていないお茶の入ったマグカップ。


ヴィタリーは一秒見つめた。


「二人、戦死。」


「進もう」とプリズラークが言った。


彼らは掩蔽壕を出てさらに進んだ。防風林の端まであと百五十メートルほど。前方の射撃が収まっていた――下の塹壕でシュラムたちが最後の敵を追い詰めていた。


プリズラークが突然止まった。


耳を澄ませた。


「聞こえるか?」


ヴィタリーが彼をちらりと見た。「何が?」


「ドローン。」


ヴィタリーは耳を立てた。戦闘後の耳はうなっていた――低い、絶え間ない音で、静かなものは何も聞こえなかった。


「少し衝撃を受けてる。何も聞こえない。」


プリズラークが口を開けた。


鋭い音が彼を遮った。


爆発が上から来た――警告も、風切り音もなく、ただ閃光と衝撃だけ。プリズラークが塹壕に飛び込んだ――体が勝手に、思考より先に。


地面。顔に木。土煙。


一秒の沈黙、それ以上ではなく。


それから射撃と爆発がまた、どこか遠くで、ガラス越しのように。


「アーチェル。」


プリズラークが塹壕から顔を出した。


ヴィタリーが三メートル先に倒れていた。人間が自分から取る体勢ではなかった。防弾チョッキが引き裂かれていた。脚は……


プリズラークが塹壕から飛び出した。


ヴィタリーは生きていた――喘いでいて、胸が上下していて、目が開いていた。空を見ていた。口が音なく動いていた。


プリズラークは防弾チョッキの肩紐を掴んで引きずった。地面の下が赤くなった。ヴィタリーの左脚が木の根に引っかかって、そこに残った。


プリズラークは止まらなかった。


掩蔽壕は十メートル先にあった。ヴィタリーを中に引き込んで、隣に膝をついて倒れた。無線機を取り出した。


「シュラム。アーチェル重傷。死亡と見なしていい状態。FPVドローン。」


シュラムの声。「くそ。アルファを今すぐお前のとこへ向かわせる。」


プリズラークは無線機を置いた。ヴィタリーは掩蔽壕の天井を見て横たわっていた。唇が動いていた。


プリズラークには何を言っているか聞こえなかった。


ヴィタリーは考えていた。


痛くない。痛くないのが不思議だ。たぶんそういうものなんだろう。


アガトカ。たぶん病院から書く。たぶん。全部大丈夫だと書く。お前は大丈夫って言葉が嫌いだ。じゃあウサギの話を書く。防風林のそばにいたんだ。茶色っぽい。面白かった。


マリナ。軍を除隊したら、どこかに行こう。お前が海に行きたがってたのを知ってる。海に行こう。約束する。


掩蔽壕の天井は木で、低かった。ヴィタリーはそれを見ながら、昨日電話すればよかったと思った。眠らずに、電話していれば。アガトカは出てくれた。深夜でも、彼が電話するときはいつも出てくれる。


脚に何かが巻かれていた。きつく、冷たかった。


プリズラークが屈み込んできた。顔が近い。何か言っている。


「持ちこたえろ、兄弟。」


ヴィタリーは持ちこたえていると言いたかった。大丈夫だと。聞こえていると。


目が勝手に閉じた。


プリズラーク。「アーチェル。眠るな。眠るな。聞こえてるか。」


声が遠くなっていった。または静かになっていった。ヴィタリーにはどちらかわからなかった。


アガトカ。


腕が上がった――自分でそれを感じた、上がった、なぜか、そして落ちた。


沈黙は温かかった。


プリズラークは二本の指を首に当てた。待った。


手を離した。


無線機を取った。


「シュラム。アーチェル、戦死。」


間があった。


「了解」とシュラムが言った。


プリズラークは無線機を下ろした。ヴィタリーを見た。それから立ち上がった。


外から。「プリズラーク。プリズラーク。」


「掩蔽壕の中だ。」


アルファがドアに飛び込んだ。止まった。床に横たわっているものを見た。


一秒黙った。


「惜しかった。」


プリズラークが自動小銃を取った。「先に進む。」


彼らは掩蔽壕を出た。


前進は続いた。


2028年2月21日 13:41 ザポリージャ州


防風林の中ほどの倒れた木のそばで合流した。


五人――シュラム、ヴォロン、オメガ、プリズラーク、アルファ。黙って立ち、辺りを見回した。アーチェルのことは誰も聞かなかった。五人になったことで全員わかっていた。


シュラムのベルトの無線機が雑音を出した。


「シュラム、レドゥートより。」


「どうぞ。」


シュラムは前方の防風林を確認した。木、塹壕、本物の静寂ではない静けさ――前方でまだ動きがある、それを彼は感じていた。


「残りは最後の塹壕と掩蔽壕だ。防風林の中央にある。」


「ドローンで観測中。前方の塹壕に三人。一人は負傷。」


「了解。」


シュラムが無線機をしまった。残りを見た。


「行くぞ。前進。」


彼らが動いた――ヴォロン先頭、プリズラーク続き、その後に残り。ここは防風林が密になっていた、木が近く、影が長く。足元の地面は古い塹壕と新しい塹壕と砲弾の穴で掘り返されていた。


無線機がまた。「ベーハーが動いた。」


防風林の向こうからどこかでエンジンの鈍い唸り。三台のBMPが歩兵を乗せて集落に向けて開けた野原を突進していた。ヴィタリーには見えなかっただろう。ヴィタリーはもう何も見えなかった。


シュラムが前を見た。


「動け。」


ヴォロンは塹壕の中を腰を屈めて進んだ。プリズラークが後ろで三メートルの間隔を保ち、自動小銃を肩に当て、目を前に向けていた。


塹壕が分岐した。


ヴォロンが分岐点で止まった。二方向――左と右。彼は右を見て、脚が見えた。誰かの脚、ベルツを履いた、動いていなかった。


それから脚が急に右に引かれた――誰かがコーナーの向こうから素早く引いていた。


ヴォロンは振り向かなかった。「プリズラーク。右の塹壕に手榴弾。」


プリズラークはもう手榴弾を持っていた。「投擲。」


手榴弾がコーナーの向こうへ飛んだ。


爆発。塹壕の壁から土が降った。


ヴォロンが素早く分岐点へ出て右方向を自動小銃で制圧した――銃、角度、セクター。誰もいなかった。プリズラークが後ろで左を制圧した。


「クリア。行き止まり。」


彼らは右に動いた。塹壕が左に曲がっていた――プリズラークが今度は先頭、ヴォロンが後ろ。


「投擲。」


コーナーの向こうへ手榴弾。爆発。


ヴォロンが慎重に覗き込んだ。


クリア。負傷者も、引いた者も、誰もいなかった。ただ地面と薬莢と、先へ続く血の跡だけ。


彼らは進んだ。


無線機が雑音を出した。「シュラム、レドゥートより。六人がお前たちの防風林から集落へ撤退中。負傷者を引いている。やっつけろ。」


シュラム。「了解。」


だが彼らはもう木々の後ろだった――ヴォロンには百メートル先の影が見えた、素早く、腰を屈けて、集落の端の建物の方へ向かっていた。一人がもう一人を担いでいた。遠すぎた、木が邪魔だった。


ヴォロンが二発撃った。外れた。


彼らは建物の後ろに消えた。


最後の掩蔽壕は防風林の端に深く埋まっていた――ドアが閉まって、隙間から明かりが漏れていなかった。


ヴォロンが止まった。手榴弾を取り出した。プリズラークを見た。


プリズラークが頷いた。


ヴォロンがドアを開けて中に手榴弾を投げた。飛び退いた。


爆発。


沈黙。


プリズラークが入った。腰を屈けた。見回した。


「クリア。」


シュラムが防風林の端まで塹壕を歩いた。目の前の全てを確認した――野原、道路、集落の端の建物。どこにも誰もいなかった。


無線機を取った。


「シュラム、レドゥートより。」


「レドゥート、どうぞ。」


「敵影なし。」


「彼らは集落の中だ。右の道路を監視しろ。」


「了解。」


シュラムが残りの方を向いた。「陣地を固めろ。」


彼らは無言でそれぞれの陣地に散った。塹壕にはヴォロンとプリズラークが先ほど通ったところにEMR迷彩の遺体がいくつか転がっていた。プリズラークが一つ一つ丁寧に、慎重に回っていた――仕掛け爆弾やピンを抜いた手榴弾がないか確認しながら。ゆっくりやらなければならない仕事だった。


集落の方角で轟いていた。


シュラムは防風林の端に立って屋根の上の煙を見ていた。向こうで激しい戦闘が続いていた――射撃、爆発、共通チャンネルの無線機からの叫び声。第二中隊が集落の中で動いていた。BMPが見えた、一台が端の建物のそばに止まり、一台が通りを進み、一台が燃えていた。


それから集落の上空が変わった。


グラードの最初の一斉射が警告なしに来た――空に白い線が走り、一秒、集落が叩かれた。爆発が続いた、密に、通りと庭を叩いて。シュラムは屋根の上に煙が上がるのを見ながら、これは味方のグラードか敵のグラードかと考えたが、わからなかった。


戦争ではそれがわからないことがある。


オメガとアルファが防風林の端の観測所に座っていた――土と丸太で作った二つの胸壁、狭い銃眼。右の道路を監視していた。道路は空だった――灰色のアスファルトの帯、両側に野原、遠くに電線が垂れた電柱。


オメガがスコープで覗いていた。


アルファが双眼鏡で見ていた。


静かだった。


それから胸壁の前が光った。


爆発が下と横から同時に来た――地面、木、暗闇。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ