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前世の記憶でセラピスト ~甘い香りで男の人を虜にしちゃう!?~  作者: 藤谷 葵


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第二幕(16)

第八回アイリス異世界ファンタジー大賞に参加します。

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 家に帰り着いた。


「さて、スコット。私の部屋で作業をしましょうか」

「はっ? メ、メアリーの部屋! なんでだよ!」

「何でって、私の部屋に道具があるから……」


 真っ赤な顔で動揺しているスコット。動揺している理由がわかったわ。うん。

 女性の部屋に男が入るというのが問題なのだ。前世の記憶が戻ったせいか、その辺の境が私の中で曖昧になっていた。まあ、悲しいかな。前世の私は家に来るような男性はいなくて、アロマの香りが漂う部屋の中でカップラーメンを啜っていたりしました。そのことはいいとして、とりあえず発言を訂正。


「間違い! 今のは無しってことでお願いしますわ!」

「あ、当たり前だ!」


 そっぽを向いて腕組しているスコット。前世なら別に気にしないんだけどね。いや、普通は気にするのか? もう異性とは縁がないと思っていたから考えたこともなかった。前世の私はね。


「サロンに行きましょう」

「ああ……」


 私がやらかしたせいか、スコットの頬にはまだ熱が残っているように赤かった。


 サロンに辿り着くと、お母様とマークお兄様がくつろいでいた。


「ただいま」

「お邪魔しております」

「あら、スコット。いらっしゃい。今日は何しに?」

「ちょっとメアリーと犬カフェの作業をしにきました」

「そうなの。そういえば私も時間が取れれば犬カフェやらに行きたいわ」

「お母様、今、まさに暇そうじゃないですか……」


 お母様は眉間にしわを寄せる。


「これからお友達とお茶会の予定が入っているのよ」

「そうですか。残念でしたね」

「ええ、残念ですわ」


 とても悔しそうにしている。


「僕は時間あるよ? 今からでも行けるよ?」

「マークお兄様。すみません。今から作業なので、犬カフェは閉まっています」

「今の母上との会話の流れだと、希望すれば行けるんじゃなかったの?」

「例え話です」

「可愛い妹の仕事ぶりを観たかったのに」


 両手の人差し指を合わせて、とほほとしている。愛されているのは嬉しいが、シスコンがちょっと重い。逃げたいが作業があるので仕方なく道具を手に取り、テーブルに広げて席につく。スコットも私に合わせて席についた。


「さてと、ではゴムバンドを作りましょう……ってスコットは裁縫できるの?」

「いや、できない。教えてくれよ」


 なんと! できないのに一緒に作業をしようとしていたとは。いや、男性が裁縫をできないというのは普通か。スコットなら父親であるカイゼル子爵から才能を受け継いで、なんでも器用にできそうな印象がある。期待できるかもしれない。


「じゃあ、教えるから一緒に作っていきましょう」


 期待に反して苦難の道を歩んだ。


「……スコットが作ったものはお店に出せそうもないわね」

「ごめん……」


 犬がしょぼんとしたように耳が垂れているように見える。なんか可愛らしい。


「私が作るからスコットは見ていなさい」

「はい……」


 私がゴムバンドを縫って、ポケット部分もはめていると、何やら熱い視線を感じる。視線の方向に目を向けると、スコットと目が合った。


「……何? 私の顔に何かついてる?」

「い、いや、別にそういうわけでは」


 そう言うとスコットは目を逸らした。そこへマークお兄様が来る。お母様は出かける準備を始めた。


「スコット……メアリーはだめだぞ?」

「い、いや、そんなんじゃないですし」


 二人仲良しだな~と思いながら、ゴムバンドを完成させた。


「ところで肝心の小物入れは?」


 マークお兄様にいじられいたスコットが逃げるように私に話しかけてきた。マークお兄様はスコットの肩をぽんぽんと叩いて退室した。


「そうね。お父様に家具としての追加をお願いしないとね。夕食の時にでもお願いしてみるわ」

「わかった」


 スコットが返事をした後、室内はシンと静まり返った。話題が切れてしまった。ちょっと気まずい。

 そんなことを考えていたら、スコットが口を開く。


「メアリーって好きな人いる?」

「ん? いないわよ。なんで?」

「いや、その……クラレンス様のことを好きなのかな~って思って……」


 私の好きな人として、スコットの口からクラレンス様の名前が出て、ボッと顔に火がついたように熱くなる。


「い、いや、そんなことないよ?」

「そうなの?」


 じっと熱を帯びた視線で私のことを見つめてくるスコット。私はどうしてこんな甘い感じの空気になったのだとたじろぐ。


「コホン」


 咳払いが聞こえた方にスコットと共に顔を向けると、メイドさんが立っていた。なんか変な感じになっていたので、とても恥ずかしい。私も「コホン」と咳払いをして「作業も終わったことだし、今日はお開きよ」とスコットの背中を押して、メイドに玄関まで見送らせた。

読んで頂きありがとうございます。


スコットの気持ちをメアリーは察していないのに、マークは察している。作者の意図に反してどこまで鈍いキャラになってしまったのだ、メアリーよ。


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― 新着の感想 ―
いつも楽しく拝読させて頂いています。 スコット君の気持ちに気づいたマークお兄様が「ダメだぞ」って 嗜めるがその後メアリー嬢の歯牙にもかけない態度で同情したのか マークお兄様から肩をポンポンと叩かれる…
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