第二幕(10)
第八回アイリス異世界ファンタジー大賞に参加します。
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「久しぶりの庭園は気持ちいいな」
お日様の温かさとそよ風が心地いい。
「ローレンスお兄様、お日様に当たるとビタミンDが体内でできますから、元気が出ますわよ」
「ビタミン……D?」
ローレンスお兄様とクラレンス様が首を傾げている。この世界ではわかりにくいことを言ってしまった。
「えっと、脳に必要な栄養が作られるのですわ。お兄様の心の病気にも多少は効果があります」
そこへクラレンス様が不思議気に質問してくる。
「心は胸にあるのだろう?」
「それが心は脳にあるのですわ」
これに関しては尚更説明が難しい。恋にときめいたときは、自分の気持ちを抑えるように胸に手を添えたりするしね。その仕草は胸の鼓動を落ち着かせるためだろうけど。
「ほぉ~、メアリー嬢は博識なんだな」
クラレンス様が感心してくれているけど、前世の知識の所謂チートなんです。チート知識なんです。
ずるをした気分で心の中で謝っておく。面と向かって謝られても何のことか分からないでしょうね。まあ、ローレンスお兄様が日向ぼっこしてくれれば難しいことはスルーして頂ければありがたいですわ。
庭園を散歩していると、あるものが目についた。というか見つかってしまったわ。
「何でここだけ薔薇の花が咲いてないんだ?」
「そうだよな……他の場所の薔薇は咲いているのに。日もきちんと当たっている」
私は脂汗をかいた。いや、暑いわけじゃないわよ? まだ、エメラルド期。前世で言うと五月。原因は私がその部分のバラの花びらを摘んだからである。
「あの~ですね……そこの所はアロマオイルを作るために私が摘みました……」
「「アロマオイル?」」
二人が聞きなれない言葉に反応する。
「はい、植物から抽出した油。精油とも言います。色々な香りや効能があります。今回は花びらを使って抽出しましたわ」
それを聞いたローレンスお兄様が思案する。
「そうか! この前の薔薇の香りがするハンカチは、アロマオイルをつけたのか」
「その通りですわ。ローズのアロマオイルには『多幸感』があります。お兄様を元気づけたかったのでつい……」
ローレンスお兄様はまるで眩い日差しを見るように目を細めて私に微笑む。
「私のためにアロマオイルを作ってくれたんだね。ありがとう、メアリー」
手を私の頭に置き、優しく撫でてくれた。
あまり無理をしてまた体調を崩してもいけないので、ローレンスお兄様の寝室へ戻った。また眠るのでシーツをかけてあげる。
「じゃあ、私もそろそろ帰るとするかな」
「あっ! 途中までご一緒させて頂きますわ」
「どこか行くのかい?」
「ええ、商業ギルドにちょっと用事がありまして」
「その用事にご一緒させて頂いてもいいかな?」
クラレンス様がニコリと微笑む。先ほどのお日様のように温かな笑顔だ。私の心も薔薇のように花開いてしまいそうだわ。
「そんな面白いことありませんよ?」
「メアリー嬢と一緒にいることが楽しいよ」
その言葉に開花しました。
読んで頂きありがとうございます。
おかしいですね? クラレンス様をメアリーに溺愛させたかったのに、メアリーが開花してしまった。なんでこうなったのだろう? 作者の未熟故ですね。まあ、これはこれでいいのかな?
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