夢見る魔法使いはひとりぼっち
【前回のあらすじ】
魔導者で色々自分の特性を知ったりお、そして、りおの過去を知ってしまった、ルイス。りおの行方とルイスの野望はどうなるのか。
家を出てからしばらく歩くと周りの景色がさっきより暗くなっていた。何かが囁いている気がする。
ここは、気味が悪いよね。
それと、ここ悪魔の棲家は世界のいろんなところに裏口が繋がっているからくれぐれも逸れないように気をつけるんだよ。
霧が濃くなって来たな、ほんとに僕からはなれ……
ルイスが振り返った時にはすでにりおの姿はなかった。
りお……? はぁぁ… まじか。
ルイスーー??どこにいるんですかー??
はぁ…急に霧が濃くなったと思ったらどこにいってしまったんだろう。
りおは仕方なく今まで歩いて来たであろう方向に引き返していった。少し歩くと山の麓なのだろうか、壁の隙間にちょっとした洞窟のようなものがあった。
ここは…?
洞窟の奥に光が差している。ゆっくりと歩きいていくと向こう側の景色が見えて来た。
きれい……。
まだ5月の終わりで暖かい季節であったがここは雪もおそらく1m以上積もっている。そして、銀色に光り輝く雪がパラパラと降っていた。絶景の雪景色に見惚れながら少し歩いていくと森の洋館のような建物を見つけた。
流石にこの服だと寒い…
ずずぅっと鼻を啜ると少し休ませてくれないかと洋館に向かって歩いていくと。
ヒュゅゅーんと、何かかすめる様な音がして後ろを振り返ると。
イタッ…
矢がりおの頬をかすめた。りおの左頬から赤い血が流れた。
何…?
すると振り返った先から、まだ矢が飛んでくる。
まずい、誰かに狙われている。とりあえず身を隠さなきゃ。
すかさず自分の体を木の後ろに隠した。射線が切れているのか次の矢は飛んで来なかった。
どうしよう、敵の位置がまだわからない。
どうしたら…、そうだ昨日見た、魔導書に確か敵の潜在的なオーラを把握する魔法が…
思い出した、確か…
「サウンドウェーブ!!」
魔法を唱えると自分の意識の中で超音波の様なものが円を描いて広がっていく。
いた、あそこの木の裏と、茂みの裏だ。
場所さえわかれば。
「アイススピア」
氷の結晶が集まり始めて、巨大なツララがでた。そして、勢いよくそれは発射され見事に木を貫通し隠れていた敵を1人排除した。
グハッ。と木の裏に隠れていたものが倒れ込むと。フードが少し外れ横顔が見れた。
人…間…?
いや、違う耳がやけに長い。あれは、エルフだ。でもなんでこんな寒いとこにエルフが…?
考え込んでいると、後ろから重いものが振り下ろされそうな気配がした。
死ねえぇぇぇぇ。
咄嗟に体を反転させ間一髪攻撃を避けると。
「ファイヤーボーールッッ!」
りおの手から速射式に飛ばされてもう1人のエルフも吹き飛んでいった。
危なかった……
昨日、少し通常魔法について勉強していてよかった…
と、安堵しようとしたその時。
ぼかぁぁーーん。と。雪の中からずば抜けて背の高い熊が飛び出して来た。
ぐわああぁぁぁー。
大きい…こんなにデカかったらさっきの魔法もあんまり効果ないかも…
と咆哮を浴びせられると。間髪入れずに両腕で攻撃した。
速い…
ビリッと来ていたローブが引きちぎれる音がする。
まずい。このままじゃ。
ん? これは…
りおの魔法書がとどめられているところが光っている。
「オープン」
魔法書がでてくると、すかさずあるページを見せてくれた。
これは…これなら、この熊を倒せるかも。
熊がりおを追いかけてまた攻撃しようとした時。
「ハイドロエクスプロージョン」
ドライアイスのような冷たい氷と燃え盛る炎が交わり、熊の方めがけてものすごい爆撃砲をはなった。
ぐわあぁぁぁ。
放たれた衝撃波と共に熊は消し炭になった、そして熊の数十メートル先の木すら木っ端微塵になくなっていた。
す…すごい。でもこれを使う場所はちゃんと考えなきゃ…
綺麗な森を壊してしまった罪悪感と自分の成長にどう喜んだらいいのだろうと少し考えていたら。
「また…誰かの視線を感じる…」
周りのオーラを確認したけど近くにはいない…
さっと洋館に目をやると2階くらいの窓に人影のようなものがあった気がする。
気の…せいかな…?
エルフの女「あのこ、私の専属護衛とジャイアントベアーをあんな簡単に倒しちゃうなんて…」
「でも、なんでそのような強い方がここに…」
「私を……」
するとエルフの女は廊下を走っていった。
とりあえず、罠かもしれないけど流石に一度温まりたい。中へ入れるか見てみないと。
そうして玄関の方に向かっていると。
玄関には大きな錠前があった。
鍵がかかってる…
「メモリーピックアップ」
りおの頭の中に情景が映される。
さっきのフード被った人が鍵をかけてる…
あ、横にある花瓶の中に鍵を入れてる…
そうして意識を戻して、横にある花瓶の中から鍵を取った。
ガチャッ。と大きな錠前を外すと扉が開いた。
ギギギギギ。どれくらい使われていないのだろうか。少し錆びついたような鈍い音が扉からした。中は思ったより綺麗で埃すら無い、まるで誰かが住んでるみたい。
ん…? あそこ扉が開いてる?
罠かと考えたが十分に警戒しながらその扉に向かってゆっくりと進んだ。
灯りがついてる…
そーと扉を開けて中に入ると。そこには誰もいなかった。
だれも…いない?ん、机に手紙が…
机に手を触れようとした時。
後ろからドテッと音がした。
振り返るとエルフの女が椅子を叩きつけようとしてきた。女の力が弱いのかあまり速いスピードではなかったから避けることに成功した。
待って、落ち着いて…私は外があまりにも寒くて休ませてもらおうと思っただけなの…
嘘よ。こんな辺境の地に入ってくる人なんて絶対あたしを殺そうとしてるに決まってる。
女の手が少し震えている。
あたしは…あたしは…
ドサッとその場に女が座り込んだ。
大丈夫??
「ヒール」
すかさずりおが駆け寄り回復の魔法をかけた。
そのおかげか女の息が少し落ち着いた。
一度貴方は休んだほうがいい。
そう言ってりおは休める部屋がないか近くを探してベットのある部屋まで女を運んだ。
少しすると女の目が覚めた。
う、うぅ…あたしは…
と女が飛び起きた。
まだ…生きてるの…?
女は混乱していた。
大丈夫だよ…私は君を殺したりする奴なんかじゃない。
貴方は…?
私は、夢見 理愛、りおって呼んでね。
りお…。
女の目から涙が溢れてきた。
ごめんなさい。あたし貴方のこと勝手に勘違いしちゃったみたいで、ほんとにごめんなさい。
大丈夫、私の方こそ何も言わずに家に上がっちゃってごめんね。
ごめんなさい、あたしボルシェヴィキ=シェルフィフォードというの。シェルフィーって呼んでね。
よろしくね、シェルフィー!!
シェルフィーの顔が少し赤くなった。
こちらこそ、よろしく、りお……
ところでどうしてシェルフィーはこんなところに住んでいるの?
シェルフィーが俯いた。
あたしはね、エルフなんだけど…村から追い出されてしまって。
そんな…どうして?
エルフって回復魔法がどの種族よりも得意なんだけどね。
あたしね、エルフが覚えちゃいけない魔法を覚えちゃったんだ…
なんていう魔法なの?
腐敗の写鏡って言う映り込んだものに腐敗の魔法を覚えさせるっていう魔法なの。
映り込む…?
魔法っていうかもの?
そうなんです…
あたしが小さい頃エルフの故郷の街を抜け少し散歩していると見知らぬ杖を持ったお婆様に手鏡をもらってそれをみたらたちまち頭が痛くなって倒れ込んだの…そしたらもう回復魔法は使えなくなってて…そしたら、なんか、もうね……
そうなんだ…
治す方法はないの?
たしか、その手鏡が別の誰かを写すとその写った人に呪いが移動するみたい。でもそんなの無理だよね。誰もこんな呪い受け取りたくないよ…
「まって、私は確か魔骸種の楔があるから呪いは効かないんじゃ」
そうだ!私にいい考えがあるの。
その手鏡はどこにあるの?
え…?手鏡なら確かその引き出しに。
待って、まさか、やめてよ。
りおが手鏡を引き出しから取り、鏡を覗こうとすると。パシッと手を止めた。
待って、だめだよ、いくらなんでも初めて会った人にそれはやりすぎだよ。お願いその手に持っているものを置いて…
シェルフィーの目から涙が落ちる。
聞いて、シェルフィー…
私にはね魔骸種の楔って言う鎖が結ばれていて大抵の呪いの効果は受けないの。だからもしかしたら私には呪いの影響がないかもしれないの。
でぇも。ぐすん。もしうまくいかなかったらどうするのよ。あたしそれでリオが傷付いたら自分を許せない。
お願い、シェルフィーどうか私を信じて欲しい。
強い眼差しがシェルフィーに向けられる。
わかったよ。
シェルフィーが泣き止み、りおの手を離した。
じゃあ、いくよ。
腐敗の写鏡を覗き込むと眩い光が放たれ出した。あたり一体が強い光で埋もれていくとすぐにその光は治った。
終わったのかな?
「ファイヤーボール」
小さな火の玉を蝋燭に向けて放った。すると小さな火がでて蝋燭に火をつけた。
成功したみたいだね。
シェルフィーも何かやってみて。
え…、ヒ、ヒール。
りおの頬にできた傷と破れたローブがみるみる元通りに治っていく。
すごい、すごいよ、りお、ほんとにありがとう。
シェルフィーがりおを力一杯抱きしめる。
エルフの回復魔法って生き物だけじゃなくて物も治せるんだ。さすがだね。でもちょっと苦しいよ…
あ、ごめんなさい、つい喜びが抑えられなくて。でもほんとにありがとうこの力を取り戻せてあたしほんとに嬉しい。
そう喜んでいると外から鈴のような音がたくさん聞こえる。
リンリンリン。
これはエルフの熊避けの鈴の音。
きっとお婆様が何かあったか確認しに来たんだわ。
シェルフィーが玄関まで走っていった。
待ってシェルフィー。
あとを追うようにりおも走った。
玄関を出ると、エルフたちがおよそ30人ほど立っていた。
お婆様にお伝えしたいことがあります。
あたしについていた呪いが解けたんです。
だからどうかあたしを故郷に戻してもらえませんか?
エルフの長老がゆっくり目を開けるとやけに紫色に目が光っていた。
ダメじゃ…お主はもう、呪いに汚染されておる、その穢らわしい姿で故郷に入ることは決して許さん。
そんな…
シェルフィーは崩れ落ちて号泣した。
そして、そんな穢らわしいエルフはうちの村にはいらない。ここでお別れです。さようなら、愛しかった孫よ。
他のエルフが魔法を唱え始め、シェルフィーに向かって魔法を放った。
登場人物
名前 夢見 理愛
ルイスの弟子。
使える魔法
心の念写 ファイヤーボール アイススピア
サウンドウェーブ ハイドロエクスプロージョン ダストブラスター
使える禁術
メモリーピックアップ
ソウルイーター
パッシブスキル
魔骸種の楔
名前 ルイス=デモス
りおの師匠。 多分他の悪魔からも恐れられてる。多分…
名前 ボルシェヴィキ=シェルフィフォード
エルフの女の子 エルフの中で最高峰のヒーラー
今回もご精読ありがとうございます。
1日1話更新目指して頑張ります




