2026/10/02 三木幹男は脱走し、いざ北野祭へ行かん。
確か俺は昨日、快く休みをくれる会社になんちゃらで、だから脱走はせずに治療に専念うんぬんと言っていた気がする。
でも、それは全部気のせいだ。
もし覚えてるようなら、何処かのゴミ箱にでもポイとしておいてくれ。
今日俺は脱走した。
早速すぎる。
舌の根も乾かぬ内に、真面目な顔して俺は華麗に脱走する。
手術3日目なので、当然そこまでの回復には至ってはおらず、謎の液体が鼻からとめどなく流れている。
そこについては、ティッシュをしこたまマスクに仕込み、きっと全てはマスクが覆い隠してくれるだろう作戦に託した。
日も落ちてきたし、俺の顔なんて誰も見てないだろ。
そうであれ。
しんどいのは薬を飲んだ。薬でしんどさをコントロール出来る位にはマシになっている。
夕方に外に出るのは2,3日ぶりだが、たったそれだけで、空気は肌寒いと感じるようになっていた。
秋は猛スピードで季節を進めてくる。
とても過ごしやすいいい季節なので、どうぞゆっくり茶でもしばきならこの京都に居座ってくれたらよい。
ど暑い夏をほぼ追いやったことは褒めてやらんこともないが、冬にさっさとその座を明け渡さぬようぜひとも気をつけて頂きたい。
そんな秋に合わせてさらりと上着を羽織り、俺はちゃりでかけていった。
目指すは北野天満宮の御旅所だ。
北野祭(ずいき祭)は10月1日に神幸祭、5日に還幸祭なので、現在菅原道真公は御旅所にお出かけ中である。
氏子達の様子をほうほうとご覧になっていることだろう。
俺は、すごーく信心深いので、菅原道真公にご挨拶をするが為に、こんな身体を引っ提げてちゃりを漕いで……というわけではなく、菅原道真公に奉納される太鼓の演奏を聴きたかったのだ。
初詣は毎度北野天満宮なので、無論菅原道真公を大事な神様だと思っているが、今回の俺はそんな奉納のおこぼれを拝聴したいしがない市民なのだ。
ごめんなさい。
神若会北野天神太鼓会奉納演奏は7,8曲もあり、太鼓の内臓まで揺らす音と演者の力強い迫力は、やはり生に限るとしか言いようがない。
笛と共に流れるような軽快な演奏、力の入る豪快な演奏、カッカッとテクニカルなバチ捌きの演奏……様々な演目を沢山楽しめた。
特にお客さんも手拍子を鳴らしながら楽しんだ演奏は、菅原道真公もノリノリだったに違いない。
皆、天神さんを大事大事にして、楽しんで貰えるようおもてなしをしてるので、このままノリノリで穢れを祓ってくれるとありがたい。
そんな天神さんには、ずいき神輿がご用意されている。
この北野祭の目玉の一つだ。
秋の実りに感謝するお野菜のお神輿だ。
毎度今年の流行や話題のものを取り入れる趣向で、過去には大谷翔平とかミャクミャクとかパンダとか鬼滅の刃とかちいかわとか。
今年はなんじゃろなと毎年の楽しみだ。
さてさて
パペットスンスン、suicaのペンギン、ぽこあポケモン、丙午、ミニオンズ、たまごっち、ハウルの動く城、ナウシカ、ちいかわ……などなど。
ちいかわは3年連続だ。セイレーンを出してくるとか対応が早すぎるが、ちいかわは絶対いると思った。長期政権である。
suicaのペンギンについては、ここはイコちゃんの陣地なので、イコちゃんも乗せてあげないと、イコちゃんがいじけると思う。
他も、成る程!そうだった!と思ったり、なんで今やねんみたいに思ったり、本当によく考えられていて面白い。
それに、お野菜で出来ているのがなんとも愛らしい。
ー……よく動いたのでマスクの中はびちゃびちゃだ。
でもマスクが全て覆い隠してくれる作戦は功を奏し、周りの人にも、そして天神さんにも、このびちゃびちゃはバレてない。
やはり来てよかったな。
ひんやりした風の中、涼しい顔して俺は思った。




