2026/10/10② 三木幹男はチェコフェスティバルに参戦する。
今日の俺はここで終わらない。
なぜなら京都のイベントが多すぎるのがいけない、さぁハシゴして第2ラウンドである。
吉田山に登って疲れたとは言わせない、鴨川を跨いで、俺はちゃりでびゅんびゅん駆けていく。
目指すは
京都市役所前
チェコフェスティバル
だ。
うーん、割と元気だな、俺。
一応、万全じゃない身体に配慮して、人だかりレベルマックスのアフター万博イベントは諦めたのだ。
大阪で体調悪くなったら戻るまでのインターバルが精神的にもちょっときつい。
その点、ちゃり圏内である本日のコースは俺なりの俺の身体への気遣いだ。気遣いという割には爆走しているが、それは知らん。
太陽の陽は限りなく横から差していて、さっぱりした暖かさのみを残していた。これだけ走っても汗はかかない。
時計は17時よりちょっと前。
間に合った。
17時からは「チェコの音 秋風の古都へおこしやす」チェコ音楽の演奏会だ。
出店のメニューがどれもこれも、選びきれない程美味しそうで、且つ、見慣れないチェコ料理が並んでいる。
ビールもよく分からん程沢山の種類が来ていて、ビール好きには堪らないはずだ。……俺、恥ずかしながらビール飲めないからそれは残念なのだけど、チェコビールの種類圧巻さは見るだけでワクワクする。
あーー、演奏会始まるかもしらんけど、何か買っておきたい。
食欲に負けて10人程の列に並び、やきもきと時間を気にする。直ぐに17時をまわったが、列はまだまだ縮まらない。あぁ、早くしないと‥‥ん、まだ音楽聞こえてこねぇな??
戦利品を手に持って、いそいそステージをのぞくと、まだ前のプログラムをのんびりとやっていた。
……はは、緩いなぁ。
だけど、すごく好きだ、こういうの。万博もそうだった。大概の海外パビリオンはゆったりのんびりしていて、予定時間があってないようなものだった。
日本人はきっちり時間通りに、なんなら5分前行動なんかもしちゃうのに、そんなものはどこ吹く風なのだ。
俺も肩の荷をおろして、他に食べたいものをゆっくり見てまわり、気になる食べ物を物色した後にステージ前のテーブルに戻ってきた。
まだ演奏は始まっておらず、前座のお話をしているところだった。
ゆったりと時間が流れている。
俺は、トルデルニー(チェコのスイーツ、中身が空洞のチュロスみたいなやつ)とクロフリーク(チェコのホットドッグ)を手に入れた。
どちらもうまい。
パリパリの甘すぎないチュロスらしきものに、ジャリジャリのチョコがよく合っている。
ホットドッグのパンは噛むとパン自体が独特の甘さだ。
そう、このよくわからん異国の料理との出会いがとてつもなく楽しいんだよな。それを教えてくれたのは万博だ。
演奏会が始まった。
チェコの音楽は1つ1つが短い。
民謡やクラシック、楽器だけのアンサンブル等くるくると種類が変わり、沢山の音楽がリズミカルに繰り出されていった。
半分位は自然に手をたたいてしまうご機嫌でノリの良い音楽だ。
それを食べたり飲んだりしながら、時には手を叩き、時には一緒に歌ったりしながら、肩ひじ張らずに演奏会を楽しむのだ。
なんて贅沢なのだろう!
それに、すっごく楽しい!!
観客に目を移すと、万博のチェコパビリオンのキャラであるレネちゃんのぬいぐるみをふりふりして、盛り上げている人がいた。
レネちゃんーー……!!!
最後は、落ち着いたクラシックで、美しい音色と綺麗に伸びていく声を全身で浴び、しっとりと暗くなった夜の中からぽぅと光るステージを見つめていた。
食べ物はいつの間にか食べ終わっていた。
横目に見ると、チョコパビリオンの思い出と書かれた万博に出店していたビールの店があった。
俺はそれに目を細めた。
全ての演奏会が終わり、出来る限りの拍手を送る。周りの皆も楽しかった気持ちを伝えんと大きく拍手をしている。
胸がいっぱいだ。
アフター万博に行けなくても、俺の中には確実に万博レガシーが息づいているのだ。
DJステージが始まり、チェコ音楽も含めつつ愉快な音楽が広場を包み、皆好き好きに飲んだり食べたり話したりしている。
その空間をゆったりと歩きながら、俺は今日の締めくくりをじっくりと噛み締めた。




