蝉ですか?
私は急いで水を止めた。直後、アパートの管理会社から連絡が来た。何でも、下の階の住人から天井から水が垂れてくると言う、苦情がきたそうだ。今日中に解決しないと、アパートから出て行ってもらうことになると言っている。下の階の住人がそれを望んでいるそうだ。解決か…取り敢えず、この水を何とかしなければ。でも、どうすればいいのだろう。ポンプでもあれば何とかなるけど、そんなもの無いし。バケツすらない。どうしたもんだろ。これは悩む。タオル、雑巾、無いな…。あ!そうだ。コンビニで買って来ればいいか。私は急いでコンビニに行き、タオルを買ってきて、必死に水をふき取った。しかし、部屋一面に一センチ近くたまった水は、簡単に拭き取れるものではなく、三時間かかっても半分も減らなかった。はあ、疲れた。もういいや。どうとでもなれ!私はベッドで横になった。
目が覚めた!寝ちゃったんだ。今、何時?六時。あー。これはもう、無理かな。引っ越し先考えた方がよさそう。私はスマホで検索した。今すぐ入居できそうな所は…無いか。どうしよ。良い手、あるのかな…。私は、ワイアで坂崎さん、新藤さんに相談をした。
”うーん、難しいね。うちも下宿はできないし。”と坂崎さん。
”あ。そう言う事なら、ウィークリーマンションって言う手もあるわよ。”と新藤さん。
”そうか。それなら。”
”下宿代はちょっと上がっちゃうけど、すぐに入居できるものもあると思うよ。”
”新藤さん、ありがとうございます。。”
私はウィークリーマンションを検索した。引っ越す手間を考えると、八王子が良いな。新居が決まるまでだから、だいたい一週間ぐらいかな。それぐらい居られればいいか。うん、下宿代の高い安いを言わなければ、ありそうだ。アットアウト八王子、ここにしよう。一日九千円か。ちょっと高いけどね。背に腹は代えられないか。後、新居も検索しとかないと。出来れば八王子市内で。
その後、私はウィークリーマンションの手続きをスマホでした。手続きは結構簡単だった。私は入居手続きをしたウィークリーマンションを見に来た。その時、たまたま森岡さんに会った。
「あれ?佐々木。こんな所っで、何やってんだ?」
「あ、森岡さん。こんにちは。私、そこのマンションに入居するんです。」
「え!?ここに?」
「はい。」
森岡さんは顔を顰めた。
「今、不審な情報を聞いて、場合によってはお前を呼び出して、捜査するつもりだったんだが。」
「不審な情報ですか…。」
「ああ。何か、このマンションの住人が言うには、何か不審者が出入りして外の壁とか屋上を調べているらしい。」
「不審者?」
「そう。それが人間の顔をしてない様なのだ。だから、君の出番と言うわけ。」
「はあ。わかりました。」
「これは、あくまでも聞いた話だが、何か、蝉のような顔をしているらしい。」
「蝉ですか?」
「ああ。しかも、そういう噂が出てるマンションが五軒ぐらいあるらしい。」
「五軒も!」
「で、一軒目の調査地がこのマンションと言うわけ。」
「なるほど。じゃあ、一緒に行きます?」
「そうしてくれるとありがたい。」
二人でマンションの管理室のドアを叩いた。
「済みません。署の者ですが。」
管理人が出てきたので、森岡さんは警察手帳を見せた。
「こちらは?」
「こういう事象に詳しい佐々木です。」
「よろしくお願いします。」
私は挨拶をした。こういう事象って…。
「不審者が出たと聞いていますが。」
森岡さんが聞いた。
「はい。防犯カメラの映像があります。見ますか?」
「はい。」
私たちは管理室に入った。映像には一瞬であるが、黒ずくめの奇怪な顔をした男が映っていた。
「静止画にしてクローズアップしたものがこれです。」
横にあった、パソコンのモニターに蝉のような顔が映し出された。
「一瞬しか映ってないので、何をやっているかは良く判らないのです。」
管理人は言った。
「確かに。」
私は頷いた。
「何か、マンション内に変化はありましたか?」
森岡さんが聞いた。
「今のところ、目立ったものはありません。」
私たちは礼を言って、そこから出た。私は森岡さんに待ってもらって、管理人から鍵を受け取った。その後、四ヶ所マンションを回ってみたが、新しい情報はなかった。
「課長に言って、佐々木の警察手帳、作ってもらうか。」
「その方が、良いと思います。」
そして、私は森岡さんと別れ、引っ越し作業を開始した。
問題なく引っ越し作業は終了した。荷物のうち、半分は未開封。新居に移ってから開封することにした。はあ、取り敢えず、一息。その時である。もの凄い音がした。そして、全ての窓にシャッターの様なものが閉まった。な、何?いったい何が起こったの?ガタン!また、デカい音がした。そして、マンションが動き出した。何か、このマンション、浮かんでいるような。そして、二度、部屋が振動した。駄目だ。何が起きてるか全然わからん。一旦、宇宙船に転送してもらおう。
宇宙船から見た景色は凄かった。マンションが五棟、巨大ロボットの手足の様なものや頭の様なものが付き、立っていた。その右腕は長く先は二本指の巨大なアームになっており、左腕は短いが上下二つに分かれそれぞれアームが付いている。足の付け根には円柱状の突起物が前後に全部で合計四つある。円柱形の突起物は頭にもあり頭の横にやや斜め気味に有りその先にはアンテナの様なものが出ている。頭の横の円柱状のモノの上には円柱形のモノが円の面を前に向くようにあり大きな丸い目の様なものが付いている。マンション以外の部分はほぼ銀色で、何か、見たことあるような見たことないような。
ロボットたちは町を破壊し始めていた。私はバイオアーマーで出た。そして制御しているコンピュータを狂わせるため、”ミラクルウィルス”と囁き、全部のロボットたちに触れ、ウィンクをした。するとロボットたちの動きは止まった。しかし、五秒後、また動き出してしまった。
”これは再インストールしたとすると早すぎるわね。ワクチンソフトでも使ったのかしら。”
”え!?じゃあ、どうすれば良いの?”
”うーん、操縦室があれば、そこに乗り込んでみるしかないわね。”
”じゃあ、ハルに言って、操縦室があるかどうか調べさせて。”
”わかったわ。”
私は暫く待った。
”一台のロボットだけ、操縦室があるらしいわ。行く?”
”行く!”
バイオアーマーを宇宙船に回収してもらって、私はロボットの操縦室に転送してもらった。私の一時の住処の為にも!
操縦室は何故か薄暗かった。人影が三つある。人影は私に気付いた。良くは見えないが、人影は蝉のような顔をしているようだ。球体の様な目が二つ見える。その中の一匹がふっと消えた。すると、見の前に突然現れ、手刀を私の首に決めようとした。私はとっさに避けようとしたが、手刀は私の右肘に当たり、私の右手は折られた。痛い!すっごく痛い!
奴は執拗に私の首を狙ってくる。私は後ろにさがったが、奴はもの凄い速度で近づき手刀を繰り出した。私は左手で受け止めようとした。左手の骨が折れた。両手が使えなくなった。奴はまた手刀を振り下ろそうとしている。私は倒れながら囁いた。”イントゥ・プベティ”
私は倒れることで手刀を何とか避けた。奴は今度こそと言う感じで手刀を振りかざした。
「バーニング・ラブ。」
操縦室は光で満たされた。奴の手刀は止まった。はあ、危なかった。しかし、残りの二匹は効いてないみたい。どゆこと?一匹の姿が消えた。まずい、今襲われたら勝てない!私はたまらず、宇宙船に転送してもらった。両腕の骨折を応急処置してもらって、必死にどうするか、考えた。術が効かないのは、距離の問題だろうか。なら、近くに行ってやってみるしかない。そう考えていると、突然、蝉顔の一匹が宇宙船内に現れた。え!?そんなの、有り?
現れた奴は、右腕を伸ばしてやや後ろに持っていき、右掌の所に光の玉のようなものを出した。そして、姿を消し、私の目の前に現れ、右手を私のお腹のあたりに押し付けようとした。私はもの凄く嫌な予感がして、慌ててそれを右側に倒れて避けた。避けれた!しかし、奴は右手を避けて倒れた私に押し付けようとした。私はもう一度避けた。宇宙船の床には三十センチぐらいの穴が開いた。
「イントゥ・プベティ」
私は囁いた。奴の動きが止まった。はあ。はあ。後一匹だ。
”麗奈ちゃん、一つ、考えがあるんだけど。”
私はシャルファーレンスさんの一か八か作戦を聞いた。そして、私はまたロボットの操縦室に転送してもらった。ただし、場所は操縦する場所から見え辛い場所にしてもらった。私は操縦桿の前にいる一匹を盗み見した。まだ、私には気付いていない。どうやって近づくかだ。うーん、でも気付かれづに近づくのは難しい。あの速度で動かれると、気付かれたら次の瞬間襲われる。こうなったら一か八か、操縦桿の前にいる奴の真後ろに転送してもらおう。
私は奴の真後ろに転送された。”イントゥ・プベティ”そう囁き終わる前に、奴が新たに四匹ほど現れた。え!何が起こったの?
近くにいた三匹には術が効いたようで、私を見ているが、後の二匹は駄目。凄い速度で襲ってきた。私は宇宙船に転送してもらった。そして、奴ら二匹が追ってきた瞬間に囁いた。
「イントゥ・プベティ」
奴らは私の目の前で動きを止めた。はあ。何とかなった。シャルファーレンスさんの考えは、私の能力を阻害するようなフィールドが操縦室に作られているのではないかと言うものだった。どうも、当たった様である。ありがとう。シャルファーレンスさん。私はまた操縦室に転送してもらって、マンションを元に戻すよう言った後、宇宙船に転送してもらい、治療を受けた。その後、宇宙船に残っている動かなくなった、蝉の顔をした奴三匹の内、一匹に私は聞いた。
「あなた達の母星は何処?」
すると突然、そいつと他の二匹は溶け始めた。そして、十秒後、奴らは全て黒い液体になってしまった。こ、怖。




