表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
5/13

犯人を殺して私も死にます

 それから、二日が過ぎた。


 仕事が終わって帰ってきた。夕食をニュースを見ながら食べる。

”今日、東京郊外に隕石が落下しました。直径五十センチ程で、落ちた所が林の中だったため、幸い、被害はなかったです。次。”

 隕石?また、変なこと、起きなければ良いけど。

”最近、関東地方で、行方不明者が多発しています。”

 うーん、何か不穏だな…。

”東京都で三名。神奈川県で四名。千葉県で二名。埼玉県で一名。それらの人の共通点は、都心に来た後、いなくなっているということです。”

 都心で事件か…。十人もいなくなってる。

”また、新宿の繁華街の裏では、大量の血痕も見つかっており、警視庁では殺人事件の可能性もあると考え、捜査しております。”

 暗いニュース。

”続いてスポーツ。”

 私は夕食を食べ終わり、片づけた。後は…テレビを見るぐらいしかないかな…。殺人事件、ちょっと気になるな。犯人、早く見つかればいいけど。あ、あーあ、ちょっと早いけど寝るか。私は床に就いた。

 翌日の朝、八時半ごろ、玄関のチャイムが鳴った。

「はい。」

 ドアを開けるとスーツを着た女の人が二人、立っていた。

「済みません。警視庁捜査一課の森岡と申します。」

 長い黒髪をしたすらっとした女性が言った。

「同じく宮野と申します。」

 セミボブの茶系の髪をしたやや背が低めの女性が言った。

「刑事さん?」

 私は聞いた。

「はい。佐々木麗奈さんですね。今、ある連続殺人事件について神奈川県警と共同捜査をしています。その事件の重要参考人として、あなたの名が挙がっています。署までご同行願えますか。」

 森岡と自己紹介した刑事が言った。

「…判りました。少々、お待ちください。」

 私は急いで外出着を着て外に出た。外はまだまだ暑い。私は刑事さんたちと一緒に覆面パトカーらしき車に乗って、警視庁第九方面本部と呼ばれる場所に向かった。

「連続殺人事件って…。」

 私は聞いた。

「詳しくは署に着いてからご説明します。」

 宮野と自己紹介した刑事が言った。

 車は本部と思われる建物の前で止まった。私は刑事さんに案内され、建物の二階にある小部屋に入った。そして、机を挟んで刑事さん二人と私は座った。

「昨日夜遅く、新宿中央公園のちびっ子広場の砂場の砂の下から、バラバラに切り刻まれた多くの死体が見つかりました。その死体の切り方、切り口などから、我々は神奈川で起きた、二つの殺人事件と同一犯と考えました。」

 森岡と言う刑事さんは言った。まさか!あの寄生体が生きている!じゃあ、あの犬は…。

「神奈川県警の捜査で、一つの疑問点が浮かびました。それは神奈川県警が捜査を行う前に、刑事を名乗って郵便局、宅配業者の事務所で聞き込みを行った者がいるのです。郵便局の防犯カメラからその者の画像を割り出しました。宅配業者に訪れた者も同一人物と考えられます。それがこれです。」

 森岡と言う刑事さんが見せた写真は私の姿が映っていた。

「これ、あなたですよね。」

「…はい。」

 私は仕方なく返事をした。

「実は、目撃証言はほかにもあって、宅配業者の証言によるとあなたにある利用者に関する個人情報を話したらしく、その利用者の住むマンションの別の棟の住人があなたと一緒に病院へ行ったと証言しています。また、その住人の住居の近くで、次のような不思議なものが見つかっています。それが、これです。」

 刑事さんが見せた写真には、あの寄生体の右腕から伸びた触手が三つ、映っていた。

「その住人は、口の中に何か液体のようなものが、入ってきたと言う、体験を証言しています。疑問点を整理すると三つ。まず、どうやってあなたは刑事に成りすませたのか。次に、この写真に写っているものは何か。そして、住人の口に入ったと言う液体は何か。」

 一秒ほど、沈黙が流れた。

「さあ、あなたはどうやって刑事に成りすましたのですか?」

 森岡と言う刑事さんは聞いてきた。

「それは…。」

 どうしよう。この三つの疑問点を説明するには、全部本当の事を言うしかないけど、信じてくれるだろうか。多分、ごまかしは効かないだろうな。能力を使っても、捜査班全体から、この疑問を消すことは不可能だし。ええい。やけだ。本当の事話しちゃおう。

「私、飛行機事故に遭って…」

 私は、この八月にあったことを全部話した。飛行機事故から救われたこと、住民票を偽造したこと、特殊詐欺検挙に協力したこと、そして、寄生生物のこと。

「で、あなたは我々にその話を信じろと?」

「はい。」

「ざぁけんじゃねぇよ!信じれるわきゃねぇだろ!」

 と、突然、口調が変わった。刑事さん、怖…。

「森岡さん!」

 宮野と言う刑事さんが、ちょっといさめた。

「う、ううん。確かに、それなら写真に写っている触手?それと口に入った液体?も説明がつきます。しかし、あまりにも常識からはかけ離れている。何かもう少し、証拠がないと信じることはできませんね。」

 しばらくの沈黙。

「私の能力を少し、お見せすることはできますが。」

 私は言った。

「ほう。なるほど。どんな能力です?」

「私は、相手と目を合わせることで、その相手を操ったり、暗示にかけたりすることができます。」

「ふむ。それを使えば、刑事に成りすますこともできるわけですね。じゃあ、それを宮野に使ってみて。」

 そう言うと、刑事さんは私の耳元でこう囁いた。

「宮野が調書をとるのに失敗したと思い込ませて。」

 私は会話している刑事さんの隣に座っている刑事さんと目を合わせた。そして、瞳に意識を集中させ、こう念じた。”あなたは調書をとるのに失敗した。”途端にその刑事さんの表情が悲壮感溢れるものに変わった。

「済み、済み、済みません。わ、私、ちょ、調書をとれなかったです。やっぱり、事務作業もろくにできない私が、刑事なんて間違ってたのかもしれません。でも、もし、この調書がとれないおかげで、この事件が迷宮入りし、犠牲者は増え、警視庁は無能と罵られ、森岡さんは責任を取って辞職。もしそうなったら、私、私、犯人を殺して私も死にます。」

 何だろう、この人。

「ありがとう。暗示を解いて。うーん、課長と相談してきます。」

 私は暗示を解いた。

「え?あ!私、何やってたんだろ。」

 森岡と言う刑事さんは退室した。そして、暫くすると戻ってきた。

「課長が会って話を聞きたいそうです。一時間ほどお待ちください。」

「少し、休んでもいいですか?」

 私は聞いてみた。

「はい。一時間後に戻っていただければ、外出も許します。」

「判りました。」

 私は退室した。私は一息つくと、ちょっとほっとした。少し、外に出て気分転換だ。このまま、警察に目を付けられたままじゃ、やりづらくてしょうがない。ああ、やっぱりまだ暑いか。私は建物の中に入った。自動販売機でアイスティーを買って飲んだ。そして、部屋に戻った。暫くすると課長さんらしき男の人が現れた。四十代後半ぐらいかな。ちょっと天パー気味の髪と、精悍な顔立ちの人だ。

「お待たせして済みません。警視庁捜査一課課長、山村と申します。」

「あ、佐々木麗奈と申します。」

「概略は森岡から聞きました。飛行機事故に遭って、宇宙人に助けられたとか。」

「はい。今の私の身体はその宇宙人のものです。」

「すぐには信じられない話ですが…。どうでしょう、今回の連続殺人事件、解決に手を貸してくれませんか。この事件が解決した段階で我々はあなたを信用しましょう。」

「課長?大丈夫ですか?」

 森岡と言う刑事さんは聞いた。

「うむ。多分、今回の事件、我々だけでは解決できないかもしれない。この殺人犯、得体が知れない。もし、得られている情報が正しかった場合、殺人事件がどんどん繰り返される可能性がある。そうなってからでは遅いのだ。」

 課長さんは断言した。暫くの沈黙。

「そう言うわけで、申し訳ありませんが、捜査への御協力お願いします。」

 そう言って、課長さんは頭を下げた。

「判りました。その方が、私の元の身体の持ち主も喜ぶと思います。」

 私は言った。

「じゃあ、森岡、宮野、佐々木さんと一緒に捜査を行ってくれ。」

「え!?私たちがですか?」

 森岡と言う刑事さんは課長さんに聞いた。

「ああ、頼む。」

「…判りました。」

「では、失礼します。」

 山村さんは退室した。森岡さんは深い溜息を一つ漏らした。

「佐々木さん、そこでだけど、寄生体?だっけ。そいつに寄生された人間の特徴、もう一度教えてくれる?」

「はい。これは私に身体をくれた宇宙人の話ですが、無表情に見えるそうです。神奈川の時は、これを手掛かりに割り出しました。」

「そう…。じゃあ、関東でここ一週間で無表情になった人間を洗い出せばいいわけね。宮野、可能だと思う?」

「最初は範囲を絞った上で、警官や刑事を総動員すれば、可能だと思います。また、佐々木さんがやったように、宅配業者への聞き込みも効果的かと。」

「うん。まずは東京都心かな。殺害現場は新宿周辺の可能性が高いからな。次は、埼玉、神奈川、千葉の都心に近いところ。それでも見つからなければ、関東全域と言うことになる。じゃあ、そういうことで、宮野、手配してくれるか?」

「判りました。一応、課長の了承を取っておきます。」

「じゃあ、佐々木さん、今日はこんなところかな。今後ともよろしく。あ、佐々木さんの携帯番号、教えてもらっといて。」

「はい。」

 私は宮野さんに、携帯番号を教えた。二人は今から、他の刑事と手分けして聞き込みを行う地区を決めると言っていた。早くて明後日にも聞き込みの結果はわかるそうだ。私は容疑者が割り出された後、捜査に参加することになるらしい。私は自分の会社の事務所に行って社長とマネージャーの篠原さんに事情を説明した。

「警察に協力か…。それは仕方がないけど、あなた、協力なんてできるの?」

 社長は言った。

「え、ええ、まあ。」

 いつかは飛行機事故の話、しなくちゃだめかな…。坂崎さんにもフォローして貰わないと駄目だけど。

 話はそこで終わって私は仕事を始めた。今日の仕事は新しく配信するイメージビデオの撮影。仕事でも露出度高め、悪人と戦うのも露出度高め、私、一体何をやってるの?何か、羞恥心が薄らいでいくような気がする。


 二日後、宮野さんから連絡があった。容疑者が特定されたそうだ。新宿中央公園の防犯カメラにもそれらしき人物が映っているらしく、ほぼ間違いないとのこと。私は宮野さんに呼び出されて霞が関に向かった。

「ご苦労様です。今から、容疑者確保のため、荒川区三河島に住むチェ・ギウ宅に向かいます。ご同行、お願いします。」

 宮野さんは言った。

「行く前に、作戦と立てたいと思います。まず、寄生体を寄生先から分離することは可能でしょうか?」

 森岡さんが聞いてきた。

「一回、戦っただけですから、はっきりしたことは言えませんが、寄生先の意志が思うように動かせなくなると判ると、寄生先を変えようとして動き出す様です。」

 私は答えた。

「なるほど。でも、そんなことが可能ですか?」

「私には、相手の心を奪うような技があります。」

「はあ。それであのような状況が生まれたわけですね。」

「はい。問題は分離した寄生体をどうするかです。液体だから、踏んでも無駄です。火も効果ないかも。」

 私は付け加えた。

「凍らせたらどうでしょう。動きは止められるかもしれません。」

 宮野さんが言った。

「それは良いかもしれない。でも、どうやって凍らせるかだ。」

 森岡さんが訝った。

「液体窒素はどうでしょう。あれを使えば、急速に凍らせられる可能性はありますが。」

「あれは扱うのに高圧ガスの知識がいるんじゃなかったっけ?」

「はい。サポートする専門家が要りますね。手配しましょう。」

「じゃあ、液体窒素とそれを入れる容器も手配してくれ。後、凍らせた寄生体を入れておく保冷ケースも要るな。後は何かあります?佐々木さん。」

 森岡さんが聞いてきた。

「寄生体は、刃物の付いた触手を物凄い速度で動かします。多分、目で見るのは難しいほどです。」

 私は答えた。

「うーん、シールドがあった方が良いかな。用意しよう。全部で三枚かな。じゃあ、手配が終わったら出かけよう。」


「科捜研、法科学第一部生物第五研究室、新人の佐野と申します。専門は細菌やウイルスですが、試料の凍結保存等で、液体窒素は使い慣れています。また、寄生体に関してもどのような遺伝子構造・細胞構造を持っているのか、興味があります。」

 二十代ぐらいの黒縁眼鏡を掛けたスーツ姿の男の人がやって来た。

「よろしくお願いいたします。では、行きましょう。」

 森岡さんがそう言うと、四人は車に乗り込んだ。私は後部座席、佐野さんと隣り合わせ。運転は宮野さん。車は四十五分ほど街中を走った。

「容疑者は、韓国食材店のオーナーです。今の時刻は、店にいるものと思われます。」

 宮野さんが運転しながら言った。

「店の中か…、中であの武器を使われると被害者が出そうだな。」

 森岡さんが言った。

「私が出ていくと間違いなく攻撃し始めると思います。」

 私は確信していた。

「先に私たち二人が店に入って、外に連れ出すのが正解かな。」

 森岡さんが言った。

「そうしましょう。」

「佐野さんは、出番が来るまで車の中で待っててください。危険なので。」

「判りました。」


 車は片側二車線の大通りに止められた。森岡さんと宮野さんは先に降りて路地に入り、店の前にいた。私はその後を追って、店の前、店の入り口からは少しだけ陰になるところにシールドを持って立った。佐野さんはトランクから液体窒素の容器を取り出した後、車の中に入ったようだ。

「じゃあ、私たちは店へ入る。佐々木さんはここで待ってて。」

 森岡さんはそう言うと、二人はシールドを地面に置き、店に入った。一、二分経っただろうか。二人は一人の男を連れて出てきた。四十代後半ぐらいのちょっと見美男子系のおじさんだ。やはり私を見るまでは無表情だったが、店から完全に出て私が視界に入った時点で凶悪なものに変わった。

「危ない!」

 私はシールドに隠れながら叫んだ。森岡さんはとっさに警棒を使って避けた様だが、宮野さんの首が飛び、血柱が上がった。大通りから路地に入ろうとした通行人から、悲鳴が上がった。

「宮野!」

 森岡さんがシールドを拾いながら叫んだ。男の触手が容赦なく私と森岡さんに襲ってくる。

「良くここがわかったな。折角倒されたふり、してやったのに。ははははは。」

「イントゥ・プベ」

 その時、強烈な一撃が私のシールドを襲い、シールドが弾き飛ばされた。な、何?男の顔の右側、頬のあたりが触手となって、私のシールドを突いてきたらしい。

「その手は食わない。」

 男の触手が私を狙った。

”パン!”

 森岡さんが銃を撃ち、男の右腕に当たった。右手から伸びている触手の動きが止まった。

「イントゥ・プベティ」

「しまった!」

 男は叫んだ。

「バーニング・ラブ」

 光が周囲に満ちた。しかし、予測通り、男の右手から黒い液体が滴り始めた。液体は森岡さんの方へ動き始めた。

「森岡さん、逃げて!」

 森岡さんはこっちを見てる。嫌な予感がする。私は”バーン・イントゥ・メモリー”と囁いて元の姿に戻り、森岡さんの手を引いて車まで逃げた。黒い液体は追いかけてくる。

「佐野さん、あの黒い液体を凍らして!」

 私は叫んだ。

「あ!佐野!液体窒素を!」

 森岡さんが正気に戻った。佐野さんが車から降りて、液体窒素の容器を持ち、黒い液体に液体窒素をかけ始めた。白い煙のようなものを上げて、黒い液体が急激に凍り始めた。数秒後、黒い液体は完全に凍り付いた。森岡さんは、宮野さんの死体に近づいた。

「宮野……、てめえ!超科学とかあんだろ!どうにかできねぇのかよ!宮野が!宮野が…。」

 森岡さんが詰め寄ってきた。

「この身体の元の持ち主に聞いてみます。」

”シャルファーレンスさん、首を切り落とされた人を生き返らせることって、出来ます?”

”切り落とされてからどのくらい経ってる?”

”七分ぐらい。”

”急いで宇宙船に転送させて。脳細胞だけなら、蘇生し、生かすことが出来るわ。”

”わかった!ハルに言って、私とすぐ近くの人、五秒後に転送させて。”

「脳だけなら生かせると言ってます。すぐ宇宙船に転送してもらうので、宮野さんの頭を持って私の近くにいてください。」

「あ!佐野!寄生体を保冷ケースに入れておいてくれ。」

 森岡さんが言った。

「判りました。」

 私たちは宇宙船に転送された。

「これが、宇宙船の中か…。あ!早く宮野を!」

「これが蘇生させ、生かしておく脳が入っている頭ですね。了解しました。」

「誰?」

「あ、この宇宙船のAIです。ハルと言います。」

 私は紹介した。

「春?何か、脳天気な名前だな。」

「そこにあるテーブルの上に頭を置いてください。すぐ分析と手術を行います。」

 森岡さんが、テーブルの上に宮野さんの頭を置いた。すると、上から色々な器具が付いた数本の機械の腕が付いた円柱型の機械が下りてきて、手術を始めた。

「IPS細胞から、身体を復元しますので、培養に約一年かかります。それまで、脳だけで生きてもらいます。」

「脳だけ!?会話とかできないの?」

 森岡さんが聞いた。

「生体インターフェイスと言うものがあって、脳からの神経信号を電気的に解析して、メッセージとして出力し、映像信号や音声信号を神経信号として送ることができます。だから、会話等は可能です。」

 ハルが言った。

「へえー。良かった。」

 森岡さんの安堵の声。

「今日の夕方には、会話が可能になります。」

「どうやって会話できる?」

「スマホを使えます。少なくとも、ワイヤで可能です。」

「じゃあ、私のアカウント、教えとく。」

「了解しました。可能になったらメッセージを送らせましょう。」

「ありがとう。さて、戻ろう。」

 私たちは寄生体を確保した現場に戻った。

「さあ、警視庁本部に帰ろう。」

 森岡さんが言った。

「二人は何処へ行っていたんですか?」

 佐野さんが聞いてきた。

「それは…車の中で話しましょう。」

 森岡さんが言った。三人は車に乗った。運転は森岡さん。森岡さんは私の飛行機事故以降の話を、佐野さんに話した。

「へー、宇宙人の科学技術ですか。興味ありますね。」

「この寄生体も宇宙生物だし。」

 運転しながら森岡さんは言った。

「これは、この身体の持ち主が言っていたことなんですが、何でも宇宙に穴?が開いたらしくで。」

 私は売る覚えだが、シャルファーレンスさんから聞いたことを話した。

「穴?」

 森岡さんは聞いた。

「はい。それで宇宙犯罪者がそこから入って来るみたいな話をしてました。」

「何か、判るような判らないような話だな。でも、今回のような不可思議な事件が増えてゆくとなると、それはそれで困りものだぞ。」

 森岡さんが言った。

「個人的には、未知の文明との接触が増えるのは、もの凄く興味を掻き立てられますが。」

 佐野さんは言った。

「友好的ならいいけどな。」

 森岡さんが言った。そうこうしているうちに、車は警視庁本部に着いた。佐野さんは、トランクから保冷ケースを取り出した。三人は小会議室に戻った。

「この寄生体はどうしようか?」

 森岡さんが聞いた。

「危険だと思います。私の力で無害な生物に変えてしまった方が良いと思います。」

 私は言った。これは間違いない。

「うん、課長にも聞いてみようと思うけど、賛成だな。」

「検査だけさしてください。重要な資料です。」

 佐野さんは言った。

「わかった。どれぐらいかかる?」

「一時間ぐらいでしょうか。持って行って良いでしょうか?」

「ああ。」

 佐野さんは保冷ケースを持って出て行った。

「私、寄生体の事、課長に聞いてくる。」

 森岡さんも出て行った。私、一人、取り残された。まあ、これで今度こそ寄生体が片付いた。めでたしめでたし。私は手を上に上げ、背伸びをした。ふー。何か、疲れた。もう、こんな思い、御免だぁ。って言う訳にも行きそうもないな…。あ、森岡さんが帰ってきた。

「課長も、同意見だ。佐野が帰ってきたら、やってくれ。」

「わかりました。」

 私は理解した。

「あーあ、出来ればこういう事件は、終わりにしたいものだ。」

「全くです。」

 私と森岡さんは頷いた。それから、三十分ぐらいして、佐野さんが保冷ケースを持って戻ってきた。

「お待たせしました。検査は終了しました。」

「じゃあ、佐々木さん、やってくれ。」

 私は保冷ケースから凍っている寄生体を取り出してキッスをした。するとそれは虹色に輝いた後、薔薇の山に変わった。

「その技のメカニズム、解き明かしてみたいです。」

 佐野さんは言った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ