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神様の手違いで死んだ社畜おっさん、まずは自由を願い、次に明日を願う!TS転生し美少女に!最強チート《願い》は一日一回だけど万能です!異世界スローライフで世界も人も未来も救ってみせます!  作者: 兎深みどり
第六章《迷宮都市ナユタ編》

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第314話《現出》

 白銀の召喚陣が回転する。


 闇を押し退ける光が空間を固定し、中央区画を覆っていた瘴気が一瞬だけ押し返された。


 召喚陣の中心が裂ける。


 落ちたのは光ではない。


 影。


 だが、黒ではない。


 深い、澄んだ夜の色。


 足先が石畳に触れた瞬間、音が消えた。


 黒い触手が止まり、魔物が硬直する。


 現れたのは、一人の男。


 外套を纏い、静かな威圧を放つ存在。


 そして、その右手に握られているのは――剣。


 白銀に輝く刀身。

 淡い光を帯びた紋様。

 柄から流れる清浄な魔力。


 聖剣ルミナリス。


 闇の中央に、あり得ない光。


 ザヴェルの目が見開かれる。


「……おいおい」


 サバリネの声が低くなる。


「どういう事ですの……何故ここに」


 魔王は周囲を見渡す。


 瘴気。

 魔物。

 空の黒いクジラ。


 静かに、剣を持ち上げる。


 その刃がわずかに光る。


 迫りくる闇が、焼けるように消える。


 黒い瘴気が後退する。


 魔物が悲鳴を上げる。


 聖なる光。


 それを握っているのは、魔王。


「突然呼ばれたと思ったら、あやつは近くにいないのか」


 低く告げる。


「ふむ、我を先行させたということは……危機的か」


 空を見上げる。


 黒いクジラが、大きく身を揺らす。


 初めて、明確に警戒した。


「奇怪な魔物だな……」


 魔王が一歩踏み出す。


 聖剣ルミナリスの光が強まる。


 闇が軋む。


 ザヴェルの喉が鳴る。


「……呼ばれた??」


 サバリネが呟く。


「ナユ……貴女、まさか」


 魔王は振り返らない。


「ナユが来るまで相手になってもらうぞ?」


 その瞬間、聖剣が閃いた。


 白い斬撃が空へ伸びる。


 黒いクジラの表層を、初めて裂いた。

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