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神様の手違いで死んだ社畜おっさん、まずは自由を願い、次に明日を願う!TS転生し美少女に!最強チート《願い》は一日一回だけど万能です!異世界スローライフで世界も人も未来も救ってみせます!  作者: 兎深みどり
第六章《迷宮都市ナユタ編》

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第313話《包囲》

 中央区画へ、魔物が追い込まれていく。


 バルゴの戦斧が道を切り開き、依子の拳が黒い殻を砕き、銀翼の斬撃が群れを裂き、雷神の重撃が地面ごと抉る。


 ザヴェルが前を焼き払い、サバリネの腐食が後続を崩し、セバスチャンの指示で隊列が再編され、ミナが負傷者を即座に引き抜く。


 各所で散っていた戦力が、ひとつの流れになる。


「中央へ押せ!」


 誰かが叫ぶ。


 逃げ場を潰し、包囲を狭め、穴の真下へ追いやる。


 黒い魔物達が密集する。


 削る。

 砕く。

 焼く。

 斬る。


 激しい戦闘が続く。


 石畳が消える。

 瓦礫が舞う。

 瘴気が渦巻く。


 だが確実に数は減っている。


 押している。


 誰もが、そう感じた瞬間。


 空が歪んだ。


 上空。


 黒いクジラが、わずかに口元を歪める。


 ――笑った。


 その直後。


 中央区画の周囲で、地面が黒く染まる。


「……何だ?」


 瘴気が渦を巻く。


 逃げ場を塞ぐように、円を描く。


 外側から、闇が迫る。


 壁のように。


 波のように。


「罠か……!!」


 ザヴェルが歯を剥く。


 闇が一斉に跳ね上がる。


 黒い触手のようなものが伸び、魔物も、人も、区別なく絡め取ろうとする。


 押し込んだはずの中央区画が、今度は“檻”になる。


 銀翼が斬る。

 雷神が砕く。

 依子が叩き潰す。

 バルゴが押し返す。


 だが闇は減らない。


 吸い込む。


 力を奪う。


 瘴気が濃くなる。


 サバリネの腐食すら、飲み込もうとする。


 セバスチャンの声が飛ぶ。


「皆さん!気をつけてください!!」


 だが遅い。


 闇が迫る。


 包囲が完成する。


 空の黒いクジラが、ゆっくりと身を傾ける。


 中央区画の真上へ。


 喰らうつもりだ。


 その瞬間。


 空が震えた。


 黒い穴のさらに上。


 夜空に、光が走る。


 巨大な召喚陣。


 白銀の線が幾重にも重なり、回転し、空間を固定する。


 ザヴェルが目を見開く。


「……これは」


 銀翼が息を呑む。


 依子が空を見る。


 闇の中で、ただ一つの光。


 そして。


 召喚陣の中心が、開いた。

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