↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
118/449

第118話《余韻》

 眩しい光が視界を満たした。

 石の扉が開き、模擬ダンジョンの外へと続く風が吹き抜ける。

 ナユは一歩外に出て、胸いっぱいに空気を吸い込んだ。


「……終わったのです」


 太陽の光が頬を照らす。

 汗を拭いながら空を見上げると、心の中に静かな達成感が広がった。


 観測台では試験官達が次々と記録を確認している。

 そして、赤髪の教官――ガルドナが腕を組みながら歩み寄ってきた。


「見事だった、ナユ=ハルメリア。お前の判断力、冷静さ、どれも一流だ」


 その声に、ナユはぴしっと背筋を伸ばした。


「ありがとうございます、教官!」


 ガルドナは短く頷くと、笑みを浮かべた。


「だが、気を抜くな。試験に合格しても、これからが本当の冒険の始まりだ。“生きる力”を学ぶのは、ここから先なんだからな」


「はいなのです!」


 はっきりとした返事に、周囲の試験官達が思わず笑みをこぼした。

 ガルドナはそれを見て、満足そうにうなずく。


「よし。……お前なら、きっとやっていける。明日の朝には合格者の発表が出る。それまでしっかり休め」


 そう言い残し、教官は背を向けて去っていった。

 その背中を見送りながら、ナユは深く息をついた。


(……やり切ったのです。お父様、お母様、セバスチャン、ミナ、先生、リカちゃん……皆の教えを、ちゃんと形に出来たのです)


 指輪がきらりと光を返した。

 その瞬間、心の奥で微かな声が響く。


『……同期率、安定。ミラ、再起動完了』


(ミラ!?大丈夫なのです!?)


『問題ありません。観測精度、以前より向上。学園環境への適応を確認しました。ナユ、次の段階へ進む準備が整いました』


(次の段階……?)


『はい。あなたの中にあるスキルを、次の段階に昇華する為に、二つの新しいスキルが必要です。《演算》と、《記録》』


(演算と、記録……なのです?)


『そう。思考を加速させる“演算”と、全てを残す“記録”。その二つが揃えば、あなたは“次の扉”を開く事が出来ます』


 ナユは胸に手を当て、小さく微笑んだ。


「……わかったのですミラ!なんかワクワクしてきたのです!」


 空を見上げると、夕陽が校舎の屋根を金色に染めていた。

 風がやさしく髪を揺らす。

 心の中に、新しい期待が膨らんでいく。


「今日の記録:学園都市での実技試験、全て終了!ガルドナ教官から“合格”をもらったのです!そしてミラが再び目を覚まし、《演算》《記録》という新しいスキルの必要性を教えてくれたのです。これを得たら、きっと“何か”が完成する気がするのです。……日報完了!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。