胸の内と誓い
「幸風さん、私、幸風さんが好きです。」
小さな白い手を強く握りしめ、耳まで真っ赤に染めながらこちらを見上げる顔を見つめ、幸風は戸惑っていた。
「…華琳ちゃん、ありがとう。…嬉しいし、その…私も、華琳ちゃんのことが好きだよ。でも、華琳ちゃん…君は人間で、私は龍だ。そこを忘れている訳じゃないよね?」
「…分かっています。今この世界では違う種族との恋愛がよく見られていないことは。でも、それでも、幸風さんが私の恩人だっていうことを除いても、私は幸風さんが好きなんです。」
彼女の長い睫毛が震える。声は少し震えていて、彼女の頭をそっと撫でた。
「…ごめんね、少し意地悪だったかもしれない。…もし誰に何を言われたとしても、私は君のことが好きだ。私は君と出会ったその時から心を奪われていたのに、その気持ちから逃げていたんだよ、…怖くてね。…こんな遠回りをした馬鹿な私を許してくれるかい?」
「…いえ、そんな、その…うれしい、です…っ」
「そっか。…ひとまず、このままだと寒いよね?華琳ちゃんのお店に行ってもいいかな?」
「…そうですね、風邪引いちゃいますよね。大丈夫です、どうぞ。」
少し涙の溜まった彼女の瞳にドキッとしながら、彼女が少しでも濡れないように傘を傾けた。ゆっくりと歩きながら彼女とのこれからを想像して、幸せと不安を同時に感じていた。
彼女を傷付けないように、今度こそ、か弱く儚い人間の少女を本当の意味で守れるように。隣を歩く温かい体温を感じながら、そっと誓った。