追憶と告白
突然の言葉に幸風さんは驚いたように足を止めた。じっと見つめる彼の瞳から少し視線を外しながら、浮かんだイメージを言葉に変えた。
「何となく、なんですけど。一緒に歩いてて、ふと思い出したんです。もやがかかってるみたいでよく分からないんですけど、私が小さい頃に今と同じように歩いてたことがあるんじゃないか、って…。違ったらごめんなさい。」
「…いや、大丈夫。その…歩きながらでもいいかな?」
そういうと幸風さんは再び前を向き、ゆっくりと歩き始めた。思い出しながら話しているのだろう、どこか遠くを見つめているようなその顔を、そっと見つめた。
「…確かに同じようなことはあったよ。10年程前か…それより前か、詳しい時は忘れてしまったけれど。
華琳ちゃんは、生まれながらの能力持ちではないだろう?きっとどこかで他の能力持ちの奴から譲り受けたんだろうね。…知っての通り人間の間では能力持ちは忌み嫌われる存在でね、華琳ちゃんはその能力のせいでその時いた街から追い出されてしまったんだよ。
追い出された時に酷く傷付いてしまった君は座り込んでしまっていて。雨に打たれて泣いてる君を放って置けなかった、っていうのが理由かな…帰り道の途中で君を見つけて、私の家に連れ帰ったんだ。その時の状況は今と似ているとは思う。」
「…そう、だったんですね。その時のことはあまり詳しく覚えていなかったので、教えてくれて嬉しいです。」
「あっ、ごめんね、変な話しちゃって。嫌なこと思い出させちゃったかな…?」
私の顔を覗き込む幸風さんはとても心配したような顔をしていて、その顔が可愛く思ってしまって少し笑った。
「…いえ、大丈夫です。私、いつかこの記憶にいる人に恩返しをしたいと思っていて。その人に会うためにお店を開いて、ずっと探していたんです。なかなか思い出せなくて、出会えなくて…でも、やっと見つけられました。」
「華琳ちゃん…。」
「…幸風さん、私…私、凄く幸せです。こうしていられること、幸風さんと二人で笑って過ごせることが。だから、その…」
震えそうになる声と手をそっと抑えて、彼の綺麗な瑠璃色の瞳を見つめて、
「幸風さん、私、幸風さんが好きです。」




