雨と記憶
商店街を回ったりカフェに寄ってのんびり話したり、いつものお出かけと変わらないようなルート。どんどん時間は過ぎて行くけど何となく渡すタイミングが掴めなくてプレゼントを渡せなかった。
そのまま夕方まで一緒に過ごし、そろそろ帰ろうと思った頃、急に雨が降ってきた。
「あ…雨だね。しまったな…傘を持ってくるのを忘れてしまったよ。華琳ちゃんも…だよね?」
「はい…今日降るとは思っていなくて…。このあと、どのくらい降り続くんでしょう…。」
「ちょっと聞いてくるよ。誰か知っているかもしれないし…ついでに傘も借りれるかもしれないから。ここで待っていてもらってもいいかな?」
「はい、大丈夫です。…すみません、お願いします。」
しばらくすると幸風さんが傘を持って戻ってきた。どうやらしばらく雨は止まないらしく、店員さんが傘を貸してくれたらしい。外は少し気温が下がっていて、そんなに寒くなるような格好をしていた訳ではなかったけど少し肌寒かった。
幸風さんが少し大きめの傘を差して、私の手をそっと取った。
「…はい。じゃあ、ゆっくり帰ろうか。」
「あ、ありがとうございます…。すみません、傘持ってもらって。」
「いや、全然大丈夫だよ。…それにしてもまだ梅雨だからかな、少し肌寒いね。華琳ちゃんは大丈夫かい?」
「私も少し寒く感じます…。夏が待ち遠しいです。多分暑くなっちゃって途中で嫌になりそうですけど…。」
「はは、それは私も同じかな。」
そんな他愛のないことを話しながら少し前を歩く彼の後ろ姿を見つめていて、ふと思い出した昔のこと。
降りしきる雨の中、とても幼い私の手を同じように誰かが引いて歩いていたこと。その背中が、今少し前を歩いている彼に、そっくりだということ。
「…突然すみません。…幸風さん、私、小さい頃に幸風さんに会ってましたか…?」




