記念日 -幸風side-
「そういえば、幸風さんのお誕生日っていつですか?」
「え?私の誕生日…かい?」
店の中いっぱいに並ぶ花達を見つめて考え込んでいると、ふと彼女に声をかけられた。少し上目遣いに覗き込んでくる華琳ちゃんの綺麗な目から少し目を逸らしつつ、理由を聞いてみた。
「はい、今更ですけど、私幸風さんのお誕生日知らないな、って…。その、いつもお世話になってますし、お返し、っていうのも変かもしれませんが…。」
「…いや、全然変じゃないよ、むしろ嬉しいくらいだ。でももう随分長く生きているから、誕生日なんて忘れてしまったな…。」
「そうなんですか…。」
そう答えると、彼女はひどく残念そうに肩を落とした。何か代わりのことを提案しようと頭を巡らせていると、彼女が再び顔を上げて目を輝かせている姿が見えた。
「どうしたんだい?」
「えっと、その、私と幸風さんが初めて会った日にしませんか…!」
「…えっ、初めて会った日って、その…。」
「はい、2年前に幸風さんが私の店に来てくれた日です…!」
彼女の提案に昔を思い出したのかと少し期待をしたが、続きを聞いて違ったことに少し落ち込んでしまった。でも、それでも2年も前のことを覚えていてくれた事が嬉しい、と思う自分もいた。
「あぁ、いい提案だね、そうしよう。じゃあ、私も何か用意しようかな。」
「本当ですか?わぁ、照れちゃいますね…!」
頬を薄く染めた姿に少しドキッとしつつ、私は彼女に笑いかけた。
頼んでいた花束を受け取り店を後にしてから家に着くまで、頭の中は彼女へのプレゼントの事と最後に見たあの笑顔でいっぱいだった。




